安価で軽く、加工しやすい人工素材プラスチック。耐久性も高く、第2次世界大戦後、急速に普及した。今やプラスチックなしには生活できないほどだ。しかし、ごみになると一転して解決困難な問題を引き起こすようになった。プラスチックごみが海に流れ込み細分化され、微小な粒「マイクロプラスチック」となる。分解されるまで数十年から数百年かかるとされる。すでに、魚や海鳥など生き物の体内や、人間の便からも見つかっている。海洋プラスチック汚染が深刻化している。


マイクロプラスチックとは

荒川河川敷にたまったマイクロプラスチック=2018年11月、東京都江戸川区、諫山卓弥撮影
マイクロプラスチック化の一例

 経済の急成長に伴ってプラスチックの使用が急増している。その分、発生するプラスチックごみも増えている。

 街中に捨てられたレジ袋やペットボトルなどのプラスチックごみの一部が雨水などと一緒に排水溝に流れ込み、河川を経由して海に流れ込んでいるとみられる。服の化学繊維くずや自動車のタイヤの摩耗でできたカスなども同様だ。

 世界経済フォーラム(ダボス会議)は2016年、少なくとも世界で年800万トンのプラスチックが海に流出しているとの推計を示している。

 最近では、アジア諸国の浜辺に打ち上げられたクジラの体内からは大量のプラスチックごみが見つかる例が相次いでいる。魚や海鳥の体内からマイクロプラスチックが検出されている。

 人間も含め、生きものへの長期的な影響についてはまだ明らかになっていない部分も多いが、マイクロプラスチックが有害物質を吸着して魚介類に取り込まれ、食物連鎖で人間を含む多くの動物に悪影響を及ぼす恐れがある。


  • 海に流れ出るおそれのあるプラごみの国別量
  • 海洋では?
  • 2010年時点の推計。米ジョージア大など提供
  • 30年分のシミュレーション。米南カリフォルニア大など提供

 これまでの調査で、太平洋や大西洋、インド洋など世界各地の海で、プラスチック片が密集する海域が見つかっている。地中海でも同じレベルのプラスチック片が検出されている。

 米ジョージア大などの研究チームの推計によると、プラスチックは年間で最大1270万トンが海に流れ込んでいる。流出が最も多いのは中国で最大353万トン、最大129万トンのインドネシアが続く。上位30カ国中、13カ国がアジアの国々だ。日本は30番目で5・7万トンと推計されている。

 米国やブラジル、エジプト、南アフリカなど世界各地に排出量の多い国がある。プラスチックごみは海流に運ばれるなどして特定の海域に集積していると考えられている。


プラごみの累計発生量

2016年からは予測。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校など提供

 プラスチックが初めて工業化されたのは、1870年。象牙の代替として米国でセルロイド(半合成プラスチック)が使われ始めた。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校のローランド・ガイヤー教授らの分析によると、第2次世界大戦後になって軍以外の民生品として本格的に広まったという。

 軽量で思い通りの形に加工するのが簡単で、耐久性もあるため、1970年代の石油危機や2008年のリーマン・ショックを契機とした世界金融危機の時を除いて、ほぼ一貫して生産量は増え続けた。2015年の生産量は推計で4億トン。世界で最も普及した人工素材だ。

 ガイヤー教授は「リサイクルは成功しているとは言えず、世界のプラスチック汚染を減らすには、まず生産量を減らす必要がある」と指摘している。


世界中に広がる汚染

【動画】インドネシアのペニダ島。リゾート地の海にプラスチックごみが漂う=諫山卓弥撮影

広がる規制の動き

【動画】貧困層が支えるインドのプラスチックリサイクル=諫山卓弥撮影

あなたのそばでも

【動画】マイクロプラスチック、日本の河川からも海へ流出

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