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10月20日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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スペシャルトーク
「技術革新による地球環境への貢献」 講師:中村 修二 ノーベル物理学賞受賞者・カリフォルニア大サンタバーバラ校教授
聞き手:滝川 クリステル フリーアナウンサー

中村 修二
ノーベル物理学賞受賞者・カリフォルニア大サンタバーバラ校教授

世界の人口は増え、エネルギー、食料、水をどんどん使う。これが環境破壊につながる。エネルギー、食料、水を作る方法、科学技術が発達しないと大変な環境破壊が起こるだろう。 LEDは1960年代から開発が進んだ。私は青色LEDを93年に発明し、ノーベル賞を受賞した。LEDは寿命が50年。LED電球一つで白色電球22個分の光量が得られ、効率がいい。

カリフォルニアでは、電力の35%が照明に使われている。LEDの普及で、米国では2030年に、照明に使う電力が46%減るという。1億8500万トンの二酸化炭素、火力発電所にすると30基分が減らせる計算だ。これは巨大な量で、温暖化対策に大きな効果がある。太陽電池でそれだけ減らそうとすると、非常に時間がかかる。

一方、世界の15億人が電気のない生活を送っている。電気照明の代わりに油を燃やしている。LEDに太陽電池を組み合わせた装置が行き渡れば、電気のない国で使われている大量の油が必要なくなる。地球環境の改善につながる。

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滝川 クリステル
フリーアナウンサー

滝川
LEDは環境に大きく貢献すると期待されています。今後、LEDでどんな未来をつくろうとお考えですか。

中村
注目されるのは、LEDやレーザー照明を使った通信です。LED通信を使えば、iPhone(アイフォーン)で迷子になった子どもの居場所もセンチメートルの精度でわかります。従来の電気信号でなく、LEDの光で非常に高速で動き、熱を発しないコンピューターができる可能性もあります。効率のいいレーザー照明にも力を入れたいですね。

滝川
私は昨年、動物保護の財団を立ち上げました。生物多様性を守るためにLEDが貢献できることもありますか。

中村
植物工場ですね。LED照明のクリーンルームの中で野菜を育てるので、植物工場を増やせば、農業被害をもたらすシカやクマなどを駆除せずに済みます。少ない水で育てられ、できた野菜は洗わずに済むので、環境にやさしい。
LED照明には虫が好きな紫外線がありませんから、虫が照明に寄ってきて死ぬこともありません。