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朝日地球環境フォーラム2011

世界を支える環境技術 組み合わせで効果大

2011年9月25日

写真拡大金谷年展氏

写真拡大鈴木敦子氏

 日本から世界を支えられる環境技術を生み出すためには、何が必要か。東日本大震災後の日本経済の再生にもつながる課題をめぐって、循環型社会など社会システムを研究してきた専門家と、環境ビジネスに数多く携わってきた企業経営者が意見を交わした。

 議論の過程で浮上したキーワードは「組み合わせ」と「目利き」だ。

 例えば自動車。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)ももてはやされるが、「むしろ今おもしろいのは内燃機関」と慶大大学院教授の金谷年展氏は明かす。HVより燃費の良いガソリン車や、飛躍的に排ガスレベルが改善されたディーゼルエンジン車。これらの組み合わせが、環境に良い自動車社会になるとの主張だ。「地味だが、成熟し、低コストで、しっかりと実績を積み重ねた技術がある」と金谷氏は説く。

 太陽光発電に、その発電時の排熱を冷暖房などに利用する「コージェネレーション」技術を組み合わせる。断熱窓を使う一方で、天候や風向きを測るセンサーで風の通りを計算し、空調いらずの家を追求する。新旧技術の組み合わせは、「高コスト構造の偏り解消にもつながる」。

 コンサルティング会社の環境ビジネスエージェンシー社長の鈴木敦子氏も、「日本の技術を世界に発信するために、組み合わせの発想が重要」と呼応した。鈴木氏はさらに、太陽光パネルで2004年に世界シェアが5割超あった日本が、4年間でシェア2割弱に低下した例を挙げ、「有望な環境技術があるのに、システムにまとめるインテグレーター(融合者)がいない」と課題をあげた。

 もうひとつ、鈴木氏が問題提起したのが、優れた環境技術と、そうでないものを見極める目利き人材の乏しさだ。

 その理由の一つに「新技術に投資すべき金融機関が、短期間で投資回収しようと単年度のキャッシュ収支を追う風潮がある」と指摘。だが、低炭素社会は50年、100年単位で語られる。「地味でも長い年月で回収する仕組みも認められるべきだ」と訴えた。

 このほか、金谷氏は自治体が公共事業の中で新技術を導入するなど、「自国の技術研究の手助けになる公共のあり方」にも言及。鈴木氏は「1400兆円とされる個人資産が環境投資に向かうよう、税制の工夫も必要」などと述べた。(和気真也)

■悲観せず先駆的モデルを

 日本の技術立国の将来を悲観する必要はない。大震災からの復興を創造的に成し遂げることができれば、そこから世界に発信できる技術や商品、システムが育ってくる。金谷氏と鈴木氏の話を聞いて、そう思った。

 たとえば、耐震社会の先駆的モデルを東北から築き上げるため、「安心・安全」と「地産地消」に思いっきりこだわって復興を進めてはどうか。

 たとえば住宅分野では、太陽光発電とコージェネ、燃料電池や蓄電池を組みあわせ、災害に強く、効率の良い「エネルギー自給システム」を開発し、それを世界市場に輸出する。多くの人びとに歓迎され、新産業に育つだろう。

 そのためには政府や自治体、金融機関や経済団体などがもっと力を合わせ、明確な復興ビジョンと産業政策を打ち出す必要がある。(コーディネーター=編集委員・小此木潔)

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