講演者紹介

第1日9月13日シンポジウム・大型パネル討論



小沢 鋭仁

環境相

東京大学法学部卒。東京銀行での勤務を経て、1993年7月の総選挙に日本新党から立候補し、39歳で初当選。96年民主党に加わり、国民運動委員長などを歴任。2008年1月に党地球温暖化対策本部副本部長。09年9月から現職。10月の「国連地球生きもの会議」では議長に。



オランダ王国・ウィレム・アレキサンダー皇太子(オレンジ公)

国連・水と衛生に関する諮問委員会議長

国連「水と衛生に関する諮問委員会」議長として世界的な水問題に取り組んできた。安心して飲める水がない所に住む人たちは、途上国を中心に10億人近くもいる。十分な衛生施設を使えない人たちも約26億人。こうした人たちの数を2015年までに半減させる国連ミレニアム開発目標の実現を目指している。水をめぐる問題は、気候変動による洪水や渇水などの異常気象にとどまらず、病気や汚染の拡大、食糧やエネルギーの不足、国境を超えた水の奪い合いなど安全保障の領域にも波及。事態の深刻化が懸念されるなか、豊かな「水の惑星」を次世代に引き継ぐため、地球全体での取り組みを呼びかけている。



オリビア・ラム

シンガポールの大手水処理企業ハイフラックス社グループCEO

1989年、水処理会社ハイフラックス(当時はハイドロケム)を従業員3人で創業。逆浸透膜を使う濾過(ろか)技術などの研究開発に力を入れながら、下水を処理して工業用水や飲料水として再利用する「ニューウォーター事業」に成功した。水処理施設の設計、建設、運営まで手がけるようになるとともに、海水の淡水化にも乗り出し、アジア、中東、アフリカの水不足の地域へと進出。2000人近い従業員を抱えるまでの急成長ぶりが注目を集め、「水の女王」と呼ばれる。複数の企業の社外取締役を務めるほか、シンガポール政府の公職も兼務している。シンガポール国立大学の名誉科学学位を取得。



パトリック・クローニン

新米国安全保障センター<CNAS>上級顧問・同アジア太平洋研究部長

防衛や外交、開発援助等の政策に精通し、米政府や研究機関には通算して25年以上在籍している。英国の国際戦略研究所(IISS)やワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)などで研究活動を続ける一方、ジョージタウン大学、ジョンズ・ホプキンズ大学で教鞭をとった。フロリダ大学を卒業の後、オックスフォード大学において修士号と博士号を取得。近著には「国際戦略検証2009:変容する世界で米国が果たす安全保障の役割」などがある。



石 定寰

中国国務院参事、科学技術省・元秘書長

1980年、中国科学技術部(省)に入る。渉外・広報の役目も担う「秘書長」などの要職を歴任する間、エネルギー、交通、環境、技術革新などの政策、戦略づくりに深くかかわった。中国全体の目標や達成手法を示す「5カ年計画」に関しては、7次から10次計画まで4回、科学技術分野の策定や遂行で参加。2004年に国務院参事に任命されてからも、国内外を飛び回り、中国政府への助言を続けている。現在、中国再生可能エネルギー学会理事長など、4つの主要団体のトップも兼務しており、気候変動問題、国際協力といった面での知識、経験にも富む。43年生まれ。清華大学卒。



長谷川 閑史

経済同友会副代表幹事、武田薬品工業社長

人事などの労務畑を経て国際営業部門に。1995年、米合弁会社TAPホールディングス社長、98年医薬国際本部長(コーポレート・オフィサー)などを歴任し、03年代表取締役社長に就任した。在米中は胃潰瘍などの治療薬の市場開拓で実績を上げ、米州事業を「稼ぎ頭」のひとつに育てた。持ち前の英語力と機動力を生かして、国内外に幅広い人脈を持つ。経済界で屈指の論客として国土交通省の成長戦略会議座長に起用され、積極的な発言で注目されている。10年5月からは日本製薬工業協会長も務める。



船橋 洋一

朝日新聞社主筆

1968年に入社。北京支局員、ワシントン支局員、アメリカ総局長、本社コラムニストなどを経て2007年、約30年ぶりに復活した「主筆」に就任。1986年にボーン・上田記念賞、94年に日本記者クラブ賞を受賞。主な著書に「冷戦後-失われた時代」「ザ・ペニンシュラ・クエスチョン-朝鮮半島第2次核危機」「青い海をもとめて-東アジア海洋文明紀行」「通貨烈烈」(いずれも朝日新聞出版)など。

 


竹村 真一

京都造形芸術大教授・Earth Literacy Program代表

1959年生まれ。東京大学大学院文化人類学博士課程修了。「触れる地球」(05年グッドデザイン賞・金賞)、「100万人のキャンドルナイト」、Sensorium(‘97年アルス・エレクトロ二カ:グランプリ受賞)、ユビキタス携帯ナビ「どこでも博物館」(国連情報社会サミット日本最優秀賞)など、地球環境をテーマに先駆的な社会実験プロジェクトを企画・推進。また環境セミナー「地球大学」を東京丸の内で主宰。07年秋、地球の水問題をとりあげた「Water展」を、東京六本木デザインサイト21-21で佐藤卓氏とともに企画制作。著書に「地球の目線」(PHP新書)「宇宙樹」「22世紀のグランドデザイン」(慶応大学出版会)など。

 
     
   野村 真季   テレビ朝日アナウンサー
横浜市出身。98年にテレビ朝日入社後、これまで「スーパーJチャンネル」「スーパーモーニング」などを担当。現在は、「ANNニュース」や「医療の現場」(BS朝日)等
で活躍している。
 

 

第2日9月14日「」/「」



南川 秀樹

環境省地球環境審議官

1974年4月環境庁(現環境省)に入庁。自然環境局長、地球環境局長、官房長などを経て、10年8月から地球環境審議官。地球環境局長の在任中は、地球温暖化対策推進法の制定や改正に力を尽くした。また、生物多様性条約の締約国会議など多くの国際会議に日本政府代表として参加している。



あん・まくどなるど

国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長

1965年、カナダ・マニトバ州に生まれる。ブリティッシュコロンビア大学で日本語を修めた。88年熊本大学に留学。イグサ農家に住み込む体験学習をきっかけに農漁村の暮らしに興味を持つ。フィールド・ワークを積み重ね、沖縄南部から知床半島まで日本の海岸線の8割を走破した。「にほんの里100選」の選定委員も務めた。宮城大学国際センター准教授などを歴任し、08年から国連大学高等研究所が取り組む環境プロジェクトの責任者をしている。名前をひらがなにしたのは、「やわらかい感じがいいから」。著書は「原日本人挽歌」(清水弘文堂書房)など多数。

第1会場 
最先端ビジネスと政策対応 10:05~12:00
パネリスト


マイケル・リーブライク

英ブルームバーグ・ニュー・エネルギー・ファイナンスCEO

地球規模の気候変動に備え、ビジネスを通して持続可能な社会に向けた経済基盤づくりに取り組んできた。温暖化ガスを減らす手段として炭素市場が注目されるなか、先行する欧州などでは市場を支えるさまざまなビジネスが本格化しているが、04年に英国で代替エネルギーなどに関する最新情報を提供するニュー・エネルギー・ファイナンスを創業。ダボス会議の世界経済フォーラムでは長期的テーマに取り組む評議会委員も務める。起業家として約25社の立ち上げに携わり、90年代はメディアのAPテレビジョンなどに在籍。英国スキーチーム員として92年冬季五輪に参加。



フィリップ・スウェーゲル

米ジョージタウン大ビジネススクール客員教授、米財務省経済政策担当前次官補

パワーポリティックスの舞台・米ワシントンで経済政策の立案と運営に携わってきた。現在は経済を教える。06~09年はブッシュ前政権の財務省で次官補・首席エコノミスト。経済政策全般を担い、金融大手ゴールドマンサックス会長から転じた環境派のポールソン前財務長官のもとで活躍した。危機に襲われた米経済の救済・緊急対策を打ち出す一方、温暖化などの環境対策づくりを視野に入れ、持続可能な社会経済に向けた政策を検討。米大統領経済諮問委員会(CEA)の首席補佐官、米連邦準備制度理事会(FRB)や国際通貨基金(IMF)のエコノミストなどを歴任。



島田 久仁彦

環境省地球環境局国際調整官

世界的な温暖化対策で、各国の利害が衝突する国際交渉の最前線にいる。日本政府・環境省の交渉を担当する一方、国連気候変動枠組み条約事務局(UNFCCC)でとりまとめ役も担い、「ポスト京都」をめざすCOP(気候変動枠組み条約締約国会議)で市場メカニズムや技術移転の分野の議長を務める。今年で16回目となるCOPには京都議定書を採択した1997年のCOP3から出席。環境に取り組む前は国連事務局政治局や平和維持活動局で安全保障なども担当し、国際通貨基金(IMF)や地球環境基金(GEF)などにも在籍。第1次救急救命士や労務管理士の資格も持つ。

コーディネーター


西崎 香

朝日新聞社フォーラム事務局主査

1960年生まれ。静岡支局などを経て経済産業省、財務省、外務省や流通・ソフト産業、エレクトロニクス業界を担当。その後、ニューヨークを拠点に金融や自動車など米経済の変容を取材し、シリコンバレー(サンノゼ)からハイテクや防衛ビジネス、民間経済をリポート。英ケンブリッジ大ペンブローク学寮客員、デスクなどを経て、米ワシントンを拠点にブッシュ・オバマ政権の政策やグローバル経済危機、激しい金融破綻を伝えた。現在は環境フォーラムを担当。

分科会紹介:

 地球の温暖化によって環境が激しく変わり、さまざまな深刻な問題が起きることが予想されています。それをくいとめたり、和らげたりすることが人類の重要な任務になりそうですが、なかでも役割を期待されているのが「環境ビジネス」です。
 消費者や企業、自治体、政府などをまきこんで、ビジネス活動として温暖化ガスを減らしてゆく取り組みは、どのように社会を変えてゆくのでしょうか。この分野で先行例がめだつ欧米では、どんな先鋭ビジネスや政策が登場し、日本にも影響を与えるのか。はたして環境ビジネスは、温暖化対策としてどこまで効果が期待できるのか。消費者や企業、政府の役割は?懸念される悪影響は?そういった問いに最前線で活躍するパネリストが具体例と展望を示し、ともに考えるのが、この分科会のねらいです。
 英国・欧州の動向にくわしいリーブライク氏は、温室効果ガスの排出量を減らす方法のひとつとして注目されている「炭素市場」にかかわるビジネス起業家。さまざまな代替エネルギーの開発が急ピッチで進んでいますが、温暖化や環境政策にあたえるインパクトをにらんだスピーディーなビジネス感覚で知られます。米国の政策に精通するスウェーゲル氏は、環境対策をめぐり、世界に大きな影響を与えてきたワシントンでくりひろげられる攻防の激しさを肌身で感じています。迫る中間選挙を意識してビジネス界などの利害と思惑が交錯した温暖化対策法案の世界的な影響も分析してきました。島田氏は「ポスト京都議定書」をめざし、温室効果ガスの削減目標を決めるCOP(気候変動枠組み条約締約国会議)に密接に携わってきました。急成長する環境ビジネスが、政策や国際交渉に与える影響を実感してきた担当者のひとりです。コーディネーターは朝日地球環境フォーラム2010事務局の西崎香が務めます。

グリーンITが描く社会 13:30~15:15
パネリスト


渡邊 宏

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)理事

1984年通商産業省(現・経済産業省)入省。以降、基盤技術研究促進センター、工業技術院産業技術融合領域研究所、NEDO企画調整部、経済産業省産業技術環境局など、技術開発部門を中心とした業務に携わる。2010年8月よりNEDOの理事として、国際事業およびスマートグリッド関連部門を担当。



江崎 浩

東京大学大学院情報理工学系研究科教授

1987年東芝入社。90年から米ベルコア社、94年から米コロンビア大学で客員研究員。同年、高速ネットワーク技術・セルスイッチルータをインターネット技術の標準化団体・IETFに提案。IETFではパケット転送技術・MPLSや次世代アドレス・IPv6の分科会で標準化活動に貢献。2005年から現職。ネットワーク技術を生かした省電力化実証実験「グリーン東大工学部プロジェクト(現・東大グリーンICTプロジェクト)」を08年から主導。インターネット技術の研究団体・WIDEプロジェクト代表。国際団体・インターネット協会(ISOC) 名誉理事。工学博士。



村上 憲郎

グーグル日本法人名誉会長

ミニコンピュータシステムのエンジニアとしてキャリアをスタート。米ディジタル・イクイップメント(DEC)の日本法人、日本ディジタル・イクイップメント(日本DEC)のマーケティング担当取締役などを歴任し、マサチューセッツの DEC 本社にも5年勤務した。1997年から1999年の間、ノーザンテレコムジャパンの社長兼最高経営責任者を務め、後にノーテルネットワークスと改名された同社で2001年中旬まで社長兼最高経営責任者を務めた。2003年4月、米グーグル副社長兼グーグル日本法人代表取締役社長としてグーグルに入社以来、日本におけるグーグルの全業務の責任者を務めたが、2009年1月1日付けで退任し、名誉会長に就任。京都大学で工学士号を取得。

コーディネーター


平 和博

朝日新聞社編集委員

1986年に入社。社会部、企画報道室デジタル編集部などでメディア、インターネットの取材を担当。2003~05年、米シリコンバレー駐在。アサヒ・コム、千葉総局、科学グループのデスクを経て09年から現職。長期連載「メディア激変」を担当。インターネット技術や環境技術など、イノベーションと社会の変化が取材テーマ。訳書「ブログ 世界を変える個人メディア」、共著「メディア・イノベーションの衝撃 爆発するパーソナル・コンテンツと溶解する新聞型ビジネス」。

分科会紹介:

 情報技術(IT)は、生活のあらゆる場面で人々とつながる一方で、環境負荷の低減にも生かしていくことができる。グリーンITという考え方です。最前線の当事者にパネリストとして参加していただき、その現状や将来について考えていきます。
 エネルギーとインターネットの融合は、あらゆる機器がネットにつながることを意味します。パネリストの一人で、 インターネット技術の研究団体・WIDEプロジェクト代表も務める江崎浩・東京大学大学院教授は、ネットワーク技術の活用で、屋内機器の省電力化を目指す実証実験「東大グリーンICTプロジェクト」を主導しています。
 国際的な非営利団体「クライメート・セイバーズ・コンピューティング・イニシアチブ」などを通じて、ITの環境負荷の低減に取り組むのが、検索大手のグーグル。日本法人の村上憲郎名誉会長には、大規模データセンターをつなぎ、ネット上から様々なサービスを提供するクラウド・コンピューティングとスマートグリッドのかかわりなどを語っていただきます。
 コーディネーターは平和博編集委員が務めます。

特別講演


篠原 弘道

NTT取締役研究企画部門長

1978年4月、日本電信電話公社(現・NTT)へ入社。アクセス網研究所担当部長などを経て、2003年4月から、NTTアクセスサービスシステム研究所の主席研究員を務める。同年6月、アクセスサービスシステム研究所長に就任。07年6月から情報流通基盤総合研究所長を務めるなど、研究企画に関する要職を歴任している。09年6月より現職。環境推進室長を兼務している。

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ICTサービスによる環境負荷低減に向けた取り組み

要旨:
 近年のICT(情報通信技術)の進展によって、インターネットを利用したハイビジョン動画が自宅で手軽に楽しめるなどブロードバンド通信が急速に普及してきました。ICTによる通信サービスの普及は、安全・安心な社会の実現と、個人のライフスタイルや企業のビジネスモデル変革に大きく寄与するとともに、人やモノの移動の削減や業務の効率化などを通じ、地球温暖化問題の解決への大きな貢献が期待されています。
 本講演では、NTTグループのICTサービスによる環境負荷低減に向けた取り組みを中心にご紹介します。

森と水と人々の営み 15:35~17:20
パネリスト


ラッセル・ミッターマイヤー

環境NGOコンサベーション・インターナショナル会長

霊長類学者。年間の8割は世界を回り、熱帯雨林での調査や保全に費やす。霊長類、保護地域の研究や、現地政府やコミュニティーへの助言を行う。最近は主にブラジル、スリナム、マダガスカルでの調査・保全に取り組む。NGO世界自然保護基金のプログラム部長、科学担当副理事を歴任後、1989年より現職。77年から国際自然保護連合(IUCN)種の保存委員会霊長類専門家グループ長、85年より同委員会副座長も務め、2008年より北米カリブ海地域理事。600以上の学術論文・記事を発表、著書多数。98年、米タイム誌の「ヒーロー・フォー・ザ・プラネット」に選ばれた。



川島 良彰

日本サステイナブルコーヒー協会理事長

コーヒー輸入販売会社「Mi Cafeto(ミ・カフェート)」社長、コーヒー栽培技師。高校卒業後、エルサルバドルの国立コーヒー研究所で学ぶ。1981年、UCC上島珈琲に入社、海外で直営農園の開発に携わる。99年、絶滅したと思われていた仏領レユニオン島のアラビカ種「ブルボン・ポワントゥ」を発見し、復活させた。07年、UCCを退社。栽培技師として、熱帯雨林や土壌、水などを保全しながらコーヒーを生産し、労働者の人権や収入も守る「持続可能な(サステイナブル)コーヒー」の普及を目指す。07年に協会を設立、理事長に就任。日本で普及を図っている。



太田 猛彦

東京大学名誉教授

森林が水循環にどう影響しているかを研究する、森林水文学が専門。土砂災害防止や渓流生態系保全の研究にも携わった。砂防学会、日本森林学会、日本緑化工学会の会長を歴任したほか、日本学術会議会員を務めた。適切に管理された森林の中で、持続的に生産された木材を使う製品には「FSC」という認証マークをつける活動が広がっているが、この活動を柱のひとつにする「NPO法人日本森林管理協議会」の代表でもある。森林・自然環境技術者の養成、市民向け環境講座でコーディネーター、講師を務めるなど、活動の幅は広い。著書に「水と土をはぐくむ森」など、水と森に関する著書多数。

コーディネーター


神田 明美

朝日新聞社名古屋本社報道センター記者

東京社会グループなどを経て、2009年4月より名古屋報道センター。08年の年間連載企画「環境元年」の取材班に参加し、地球温暖化のほか都市交通や食料、持続可能な資源の利用とからめて環境問題を取材。現在はおもに、10月に名古屋市で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生きもの会議=COP10)の取材を担当している。共著に「地球よ 環境元年宣言」など。

分科会紹介:

 森林はわたしたちに様々な恵みを与えてくれます。多様な生きもののすみかとなり、二酸化炭素を吸収したり、水源をはぐくんだり。でも、特に発展途上国にある熱帯雨林は、大規模農場開発や鉱山開発、焼き畑で、急激に破壊が進んでいます。日本など先進国に住む人々に無関係なことではありません。熱帯雨林を切り開いて作られる 中には大豆畑やコーヒー農園があり、わたしたちの食卓にも関係しています。保全のためには、その地域に住む人々が森林を守りながら、収入を得られる仕組みを作ることも大事です。
 2010年10月、名古屋市で生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生きもの会議=COP10)が開かれます。保全のための新しい目標を設定する節目の会議です。多様な生きものをどう守っていくのか、自然の資源をいかに持続可能に利用していくのか、なども話し合われます。分科会では、COP10を見据え、国際社会や企業、市民のそれぞれが何をすべきなのかも提案したいと思います。
 ラッセル・ミッターマイヤーさんは、世界屈指の霊長類学者です。40年以上にわたり熱帯雨林で生きものや熱帯雨林の調査・保全をするほか、現地政府 などに保護を働きかけています。具体的な現場のお話をうかがいます。
 川島良彰さんは長年、コーヒー栽培地に足を運んできました。森林が破壊され、栽培が行われている現状も見てきました。生産者といっしょに進めている、環境保全と両立したサステイナブル(持続可能な)コーヒーのお話をうかがいます。
 太田猛彦さんは、森林と水の関係について長年研究されてきました。日本の森林が持つ機能を水と関係づけてお話しいただくほか、急速に減少する熱帯雨林の特徴も語っていただきます。
 コーディネーターは神田明美記者が務めます。

特別講演


小嶋 幸次

サントリーホールディングス常務執行役員 エコ戦略本部長 品質戦略部長

1978年、サントリー株式会社に入社。プロセス開発部長、高砂工場長、エンジニアリング部長などをへて2005年、取締役に就任。技術開発部長、生産技術部長、環境部担当を兼ねた。09年4月から現職。特筆すべきは「エコ戦略本部」で、サントリーがグループ全体の環境への取り組みを加速する司令塔として新設した。この部門のトップとして、水源涵養(かんよう)活動、工場の省エネ、太陽光発電の活用、共同物流、廃棄物削減、次世代環境教育などにも腐心する。また09年4月からは、サントリービジネスエキスパート株式会社の専務取締役・品質保証本部長も兼務している。

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水のサステナビリティーを目指して

要旨:
 酒類・食品メーカーにとって、良質な水は事業の生命線と言える資源です。近年の地球環境の変化とともに、水を取り巻く状況が懸念されるなかで、サントリーグループが永続的に豊かな自然の恵みをお客様にお届けするためにできること、その答えが「水のサステナビリティー(持続可能性)」の実現に向けた活動です。
 本講演では、地下水の持続可能性を守るため、サントリーの「天然水の森」で行っている「水源涵養(かんよう)」活動を中心に、工場で徹底している「水の3R(Reduce, Reuse, Recycle)」にも触れ、飲料メーカーとしての水へのこだわりについてお話します。

第2会場
原子力、自然エネルギーをどう使うか  10:05~12:00
パネリスト


近藤 洋介

経済産業省政務官

山形県出身。1988年、日本経済新聞社に入社。記者として産業部や経済部に所属し、各業界や運輸省、旧通産省、日銀、農水省、建設省などを担当した。99年に退社。政界に転身し、2003年に山形県2区で初当選。現在3期目。09年9月に民主党政権で経済産業大臣政務官に就任。以来、原子力政策のほか、再生可能(自然)エネルギーの全量買い取り制度の構築などを担当。再生可能エネルギーの推進を新成長産業に結びつける戦略を主張するなど、エネルギー政策全般に詳しい。



鈴木 達治郎

内閣府原子力委員会委員長代理

大学で原子力工学を専攻。米マサチューセッツ工科大のエネルギー環境政策研究センター客員研究員、(財)電力中央研究所の研究参事などを務めたあと、2006年から東京大学公共大学院客員教授に。10年1月から現職。一貫して原子力政策、エネルギー環境政策を研究し、最近では東京大での研究成果にもとづき、「日本の未来社会:エネルギー・環境と技術・政策」を共同執筆した。また、核兵器廃絶を目的とする科学者団体パグウオッシュ会議の評議会メンバーになるなど、核廃絶運動にも取り組んできた。



服部 拓也

日本原子力産業協会理事長

1970年に東京電力に入社。その後、原子力発電部原子力技術課長、原子力計画部長、福島第一原子力発電所長、原子力本部副本部長、副社長など、一貫して原子力部門の中枢を歩んできた。06年に原子力産業協会副会長に就任、07年から現職を務める。09年からは「原子力国際協力センター」理事長も併任。日本の原子力政策、エネルギー政策に大きな影響力をもつ電力業界、原子力メーカーの事情に詳しい。原子力を中心とした日本のエネルギー政策の充実、競争力のある原子力メーカーを生かした海外戦略を主張している。



飯田 哲也

環境エネルギー政策研究所所長

大手鉄鋼メーカー、(財)電力中央研究所での原子力研究開発に従事後、ルンド大学(スウェーデン)で環境エネルギー政策を学ぶ。その後、非営利の研究機関ISEPを設立し、環境エネルギー政策などの研究・政策提言・地域実践などを行う。自然エネルギー政策論の第一人者で、国や東京都などに積極的に政策提言している。21世紀の再生可能エネルギー政策ネットワークREN21理事を務めるなど国際的ネットワークも豊富。民主党政権で温暖化中期目標達成タスクフォース委員、行政刷新会議の事業仕分け人に指名された。

コーディネーター


竹内 敬二

朝日新聞社編集委員・論説委員

朝日新聞では和歌山支局、科学部、ロンドン特派員、論説委員などを経て現職。チェルノブイリ原発事故の現地に4度の長期取材をするなど、主に環境、エネルギー、原子力問題を担当してきた。温暖化の国際交渉は1990年から取材し、昨年、コペンハーゲンで開かれた締約国会議(COP15)にも参加した。最近は、環境の連載シリーズ「環境元年」(08年)、「エコウオーズ」(09~10年)などを担当している。

分科会紹介:

 温暖化が進行する一方で、ピークオイル(石油生産の頭打ち)も近いといわれます。この時代に、世界と日本はどのエネルギーに多くを頼るべきなのでしょうか。
 原子力と自然(再生可能)エネルギー。この二つが二酸化炭素を出さないエネルギーとして注目されています。原子力は世界の電力の約16%を、自然エネルギーは主流の風力発電が約2%をまかなっています。トレンドでは原子力の総出力は横ばいですが、自然エネルギーは、風力や太陽光発電を中心に急増しています。
 温暖化の時代といっても、原子力政策は各国ばらばらです。中国やインドは大きく増やそうとしていますが、欧米では原子力比率を維持するのが精一杯というところです。日本はいま、原発54基をもつ世界第3位の原子力大国ですが、自然エネルギーの導入後進国です。
 こうした世界と日本の現状を踏まえ、日本は今後、バランスあるエネルギー政策をつくるには何をすべきでしょうか。当然、原子力も自然エネルギーも使うことになるのですが、日本では、「原子力推進派」と「自然エネルギー派」がそれぞれ、「自然エネルギーは小さくて頼りにならない」、「原子力は段階的になくすべきだ」と主張して、正面から対立することが多く、「どの程度に増やすべきだ」など、量をきちんと考える合理的な議論がなかなかできません。
 政府は、原発14基の増設、国をあげての原発輸出を進めようとし、同時に自然エネルギーの「全量買い取り制度」もつくりつつあります。シンポジウムでは、これらを検証し、「日本の原子力はどの程度が適当か」など、原子力をメーンテーマにして、日本のあるべきエネルギー政策について「リアルな議論」を展開します。

特別講演


田中 幸二

日立製作所執行役常務 電力システム社社長

1974年、日立製作所入社。日立工場電力設計部長、半導体製造装置グループ製品戦略本部長、日立ハイテクノロジーズ グループ戦略本部副本部長などを経て、2002年10月、日立製作所 ライフサイエンス推進事業部長&CEO。07年4月、執行役常務・電力グループ日立事業所長兼副グループ長となり、同年7月に原子力事業統括本部長を兼務。09年10月から現職で、新エネルギー推進本部長を兼務している。

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低炭素社会構築へのエネルギー事業での取り組み

要旨:
 私どもは、持続可能な社会を実現するため、製品・サービスの提供を通して地球環境保全への貢献、具体的には2025年度までに年間1億トンのCO2排出抑制を目指しています。発電分野では、長年培ってきた技術力と製品力を活かし、CO2排出量の少ない原子力発電や風力・太陽光等の再生可能エネルギーの普及・拡大への貢献のほか、電源構成比率の4割を占める石炭火力発電の効率向上やCO2回収・貯留技術の開発に努めています。電力流通分野では、再生可能エネルギーの大量導入によって生じる出力変動の影響を抑制し、安定した電力を供給するスマートグリッド技術の開発・提供に貢献しています。本講演では、低炭素社会構築に向けた課題と私どもの取り組みを紹介します。

エコモビリティーと都市づくり 13:30~15:15
パネリスト


大島 仁

京都市地球環境政策監

1952年生まれ。京都大学法学部卒、1977年京都市に入り、民生局、清掃局、総務局などを経て、2004年都市計画局長。「新景観政策」を担当し、京都に愛着を深めたという。08年からは環境政策の責任者である現職に。京都は京都議定書が誕生した都市として、環境政策を重視、政府の「環境モデル都市」に選ばれ 、「歩くまち・京都」「木の文化を大切にするまち・京都」「DO YOU KYOTO?(環境にいいことしていますか?)」などのプロジェクトを進めている。



岡本 一雄

トヨタ自動車副会長

1944年生まれ。東京大学工学部航空学科卒、1967年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)に入り、技術開発部門を歩む。車体開発の専門家として、高級車「セルシオ」のチーフエンジニアなどを務め、96年取締役。自動車開発部門やデザイン部門などを担当し、05年に副社長。技術管理本部本部長として、自動車のハイブリッド車などの環境技術、高度道路交通システム(ITS)などの取り組みを統括した。08年から現職。座右の銘は「迷った時は難しい道を」。



村木 美貴

千葉大大学院工学研究科准教授

日本女子大学大学院住居学専攻を修了し、1991年三和総合研究所に入る。その後横浜国立大学大学院計画建設学専攻を修了し、97年東京工業大学大学院社会工学専攻助手。米ポートランド州立大学客員研究員を経て、02年から現職。専門は都市計画マスタープラン、広域都市計画、中心市街地活性化など。国内外の都市計画に詳しく、低炭素型都市づくりのための規制・誘導方法などを研究している。著書に「英国都市計画とマスタープラン」(共著)など。

コーディネーター


安井 孝之

朝日新聞社編集委員・論説委員

1957年生まれ。経済雑誌記者を経て88年、朝日新聞社に入る。東京経済部、大阪経済部で自動車、流通、金融、財界など産業界を取材する一方で、経産省や財務省などを担当し、産業政策、財政についても取材した。05年に編集委員。企業の経営問題や産業政策を担当。環境車開発の動向をまとめた「クリーンカーレース」などの連載を執筆した。09年7月から論説委員を兼務。著書に「これからの優良企業」(PHP研究所)など。

分科会紹介:

 ネット技術が今後いくら発展したとしても、人やモノが実際に動く人流、物流はなくならないでしょう。ネット通販で商品を買っても、宅配便で商品が運ばれてきます。インターネットで世界中の観光地の情報は得られますが、実際に観光地を訪れる人が減るわけではありません。
 低炭素型の環境都市をつくるには、人やモノの移動の際にできるだけCO2を排出しない「エコ・モビリティ」を実現することが不可欠です。これまで都市交通の中心は電車や化石燃料で動くバス、タクシー、自家用車でした。都市交通をどう変えてゆけばいいのを探る分科会です。
 これからは自動車の役割も仕組みも変わるでしょう。都市内の交通をゼロエミッションにしようとする動きもあります。その際には自動車は電気自動車や燃料電池車の出番が増えそうですが、充電施設などインフラ整備を進めなければなりません。自動車の流れを効率化する高度道路交通システム(ITS)などの整備も必要かもしれません。
 公共交通機関も新たな工夫が必要です。一時は自動車の普及で道路から姿を消した路面電車でしたが、「ライトレール(LRT)」と呼ばれる新型の路面電車を復活する動きも出ています。小回りのきくミニバスを運行する自治体も増えています。
 高齢化社会は一層進みます。地方都市では中心市街地が空洞化し、高齢者が移動に苦労し、住みづらい事態もすでに起きています。環境への負荷を減らしつつ、住みやすく、訪れやすい街をつくるにはどんな工夫が必要なのでしょうか。いろいろな制約が増える中で、エコ・モビリティを実現する都市づくりの条件を探ります。

エコハウス・エコシティー 15:35~17:20
パネリスト


長島 俊夫

三菱地所専務

1971年に入社。2001年に取締役丸の内開発企画部長、06年に代表取締役専務、今年4月から大阪支店大阪駅北地区プロジェクト担当。社団法人日本都市計画学会理事。入社以来、おもに都市再開発、ビル事業を担当する。横浜事業所副所長として「横浜みなとみらい21」の開発にかかわったほか、東京・丸の内地区の再開発では計画段階から参画し、環境に配慮した新たな都市の実現、運営を主導した。大阪駅北地区プロジェクト(通称・北ヤード開発)では、「先行開発区域7ヘクタール」の開発に深くかかわっている。この新しい街は2012年に完成予定で、大阪・関西の活性化を担う再開発として期待されている。



花木 啓祐

東京大学大学院工学系研究科教授

1980年に東京大学博士課程修了後、東北大学、アジア工科大学(バンコク)、米ピッツバーグ大、東京大先科学技術研究センターなどを経て、1998年より現職。専門は都市環境工学で、都市の持続可能性を基本として、都市の物質代謝の問題、低炭素都市の構築など幅広いテーマに取り組んでいる。また、2005年に東京大学が設置した「サステイナビリティ学連携研究機構」の兼任教授を務める。国内4大学などと連携して、サステイナビリティ学の確立、大学キャンパスのサステイナビリティ活動にもかかわっている。著書に「都市環境論」(岩波書店)などがある。



児玉 久

パナソニック本社R&D部門 環境・エネルギー技術担当 上席理事

1979年、松下電器産業(現パナソニック)に入社。米国留学を経験した後は、中央研究所、住環境システム研究所、生活環境研究所といった同社内の研究部門に長く在籍。その間、家庭用エネルギー管理システム、燃料電池、ホームネットワーク、住環境シミュレーションシステムなどの研究や技術開発に取り組んだ。2001年12月、くらし環境開発センター所長。この職を兼ねたまま、10年4月で現職に。10年7月からは、エナジーソリューション事業本部副本部長も兼ねている。

コーディネーター


多賀谷 克彦

朝日新聞社編集委員

神戸市出身。4年間の百貨店勤務の後、1988年に入社。東京、大阪経済部で、おもに流通・小売業、証券、医薬品業界などを担当するほか、ウェブサイト「アサヒコム」の編集にも携わる。2000年前後の大手流通企業の相次ぐ経営破綻を取材。2007年4月から大阪在勤編集委員。関西に集積しつつある太陽光パネル、二次電池など環境関連産業のほか、関西経済界が地域活性化の方策として進める産学連携、中でもバイオ、医療機器産業の可能性を取材している。

分科会紹介:

 地球環境のために、私たちができることとは何でしょうか。家庭で、職場で、学校で、あるいは都市全体、街ぐるみの環境への配慮が必要なのかもしれません。私たちの日常生活からでる二酸化炭素(CO2)は、国内の2割を占め、過去20年間に3割以上増えています。分科会「エコハウス・エコシティー」では、私たちの生活シーンごとにできる環境への配慮を考えます。
 まず、都市への機能、人口の集中がヒートアイランド現象をもたらしていると指摘されます。環境に優しい都市、環境に配慮した都市とはどんなものなのでしょうか。2009年1月、千代田区が「環境モデル都市」に選定されました。その中心、大手町、丸の内、有楽町は「環境共生型ビジネスタウン」を目指しています。
 その再開発・運営に携わったのが三菱地所です。地域冷暖房施設の高度化、自然エネルギーの積極活用という設備面だけではなく、テナントやそこで働く人々を巻き込んだソフト面でも、様々な工夫を凝らしています。これから開発される大阪駅北側プロジェクトでは更に一歩進んだ環境への取り組みが期待されています。
 では、家庭ではどんなことが可能なのでしょうか。例えば、パナソニックは「家まるごと、ビルまるごと、省エネ、創エネ、蓄エネ」を事業戦略の柱に掲げています。太陽光パネル、二次電池を使えば、家庭のエネルギーを効率よくマネジメントできるかもしれません。
 温室効果ガスだけではなく、我々の生活には、廃棄物、水など環境に関わる分野は様々です。東京大学の花木啓祐先生には、幅広い視点から「都市環境」への問題点、課題を提示いただく予定です。
 コーディネーターは多賀谷克彦編集委員が務めます。

特別講演


松村 幾敏

JX日鉱日石エネルギー顧問

会社統合を重ね、石油元売り会社から総合エネルギー企業へと拡大する中で、エネルギーにかかわる新技術の研究開発に長年とり組み、新エネルギー事業をリードしてきた。
1970年、日本石油精製株式会社に入社。日本石油株式会社開発部長、日石三菱株式会社技術開発部長などをへて、2000年6月に取締役技術開発部長。その後、新日本石油株式会社取締役開発部長、常務取締役執行役員研究開発本部長、代表取締役副社長執行役員などを歴任し、2010年7月より現職。

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低炭素社会の実現に向けた「新エネルギーシステム事業」

要旨:
 私たちは石油製品の販売のみならず、「環境に優しいエネルギーシステム」を開発・展開し、総合エネルギープロバイダーとして、地球温暖化対策に貢献していきます。とくに太陽光発電と家庭用燃料電池は、新エネルギーシステム事業の中核であり、「つくって」「ためて」「つかう」分散型エネルギーネットワークの構築を推進中。また私たちは水素エネルギー社会の実現を視野に、「北九州水素ステーション」実証事業などを通じ、水素供給インフラの構築にも乗り出しました。このような新エネルギー基盤の上で、家庭やオフィス、店舗、学校などをつなぐ「創エネタウン」づくりをめざしており、本講演ではその構想と、具体的な取り組みをご説明します。

第3会場
中国とインドの水の安全保障 10:05~12:00
パネリスト


黒田 東彦

アジア開発銀行総裁

東大法学部卒業後、1967年に大蔵省(現・財務省)に入省。1971年、英オックスフォード大にて経済学修士号を取得。大臣秘書官などを歴任後、国際局長としてアジア通貨危機を経験、99年に財務官に就任した。2003年に退官し小泉政権で内閣官房参与を務めた。05年2月にADBの第8代総裁に就任し、アジア・太平洋地域の開発支援と貧困削減に精力的に取り組む。近年は、アジアの急成長とその後の金融危機を経て、世界経済に関する発言機会も増えている。主な著書に「元切り上げ」(日経BP社)、「通貨の興亡」(中央公論新社)などがある。



周 牧之

東京経済大学教授 中国国家発展改革委員会 国土開発与地区経済研究所 高級顧問

1963年、中国湖南省生まれ。湖南大学システム工学専攻卒業。中国機械工業部(省に相当)勤務を経て、日本に留学。95年、東京経済大学経済学博士号を取得。日本開発構想研究所研究員、国際開発センター主任研究員などを歴任。2002年に東京経済大学助教授、05年に財務省財務総合政策研究所客員研究員、07年から現職。中国において都市化政策や地域計画の策定に携わった経験をもつ。著書に「中国経済論――高度成長のメカニズムと課題」(日本経済評論社)など。米国のマサチューセッツ工科大学客員教授、ハーバード大学客員研究員を歴任。



チャンドラシェカール・ダスグプタ

気候変動に関する首相諮問機関委員 元駐中国大使

1940年生まれ。1962年からインドの外交官として、駐中国大使(1993~1996)、駐欧州連合(EU)大使(1996~2000)などを歴任。現在は、気候変動に関する首相の諮問機関委員、インドのエネルギー資源研究所顧問、国連の経済社会理事会(経済的、社会的、文化的権利委員会)の委員を務める。著書に「War and Diplomacy in Kashimir, 1947-48」があり、国際政治や地球環境問題に関する論文や記事を多く執筆している。インド政府が社会、公共などの分野において功績のある人物に贈る「パドマ・ブシャン」(インド国勲章)を授与している。

コーディネーター


梶原 みずほ

朝日新聞社GLOBE編集チーム記者

大阪社会部を経て、政治記者として首相官邸や外務省、自民党を担当。カタールやエジプトなど水不足が深刻な中東での暮らしと取材の経験、神戸支局時代に遭遇した阪神大震災の体験などから水問題に関心があり、09年5月にGLOBEの大型特集「水が、足りない」を執筆。同年10月、東京・六本木ヒルズにおいて水環境や水ビジネスを考えるシンポジウムを企画し、コーディネーターを務めた。現在も、国交省や民間企業、海外取材を通して、水ビジネスの最前線と、水を巡る国際政治の動きを追っている。

分科会紹介:

 21世紀は「水の世紀」といわれています。分科会「中国とインドの水の安全保障」では、人口の急増と急速な都市化などの影響によって、水の不足や汚染、地下水の過剰取水など様々な水問題を抱えるアジアに目を向けます。
 とくにヒマラヤ地域には、水問題が凝縮されているのではないでしょうか。地球上で最も標高が高く、温暖化の影響とみられる氷河の融解が進んでいます。インダス川、ガンジス川、長江などの水源として多くの人々の生活や農業を支える一方、近年は中国やインドなど新興国の工業化による水需要の高まりを受けて、河川の管理や利用を巡って政治・外交問題にまで発展しています。
 中国の国家発展改革委員会国土開発与地区経済研究所の高級顧問でもある周牧之・東京経済大学教授は、中国の都市化政策に関わった経験があります。世界一の人口を抱える中国がいまどのような水問題を抱え、将来どのように取り組んでいく考えなのか。水のガバナンスを巡る事情をより深く知り、理解することは、地域の安全保障とも関係します。
 さまざまな水問題を解決するための資金需要は年々高まっており、日本をはじめ、世界の金融機関が注目しているところです。元財務官で、国際金融に精通しているアジア開発銀行の黒田東彦総裁には、アジア各地でどのようなファイナンスのあり方が求められているのか、日本はどのように関わることができるのか、開発支援と貧困削減というグローバルな視点から水問題を語っていただきます。
 水ビジネスの海外進出の動きが活発化している日本ですが、日本企業がこの市場を開拓し、成功するまでにはどんな壁を乗り越えなければいけないのでしょうか。日本経済を活性化させるための成長戦略の柱として水ビジネスを位置づけている民主党政権。この1年、国土交通省を率いてきた前原誠司大臣とともに、日本の針路を考えます。
 コーディネーターはGLOBE記者の梶原みずほが務めます。

特別講演


清水 康利

TOTO 環境経営企画室室長

1984年、東陶機器株式会社(現TOTO株式会社)に入社。同社の研究開発部門、水環境事業開発センターで長く、「生活排水の浄化」「生ごみのリサイクル」などの環境研究・技術開発に携わってきた。論文や講演による発表を積極的に行っている。また、筑波大学、長崎大学、九州工業大学で通算10年間、客員教授を兼任し、若手研究者の指導にあたる。現在は独立行政法人・建築研究所や明治大学の客員研究員を兼ね、水まわり住宅設備や上下水道・廃棄物処理インフラの環境負荷削減のための評価・技術開発に関する共同研究に取り組んでいる。

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節水型ライフスタイルへの提言:「巧水(たくみ)スタイル推進チーム」について

要旨:
 世界的に節水規制化が進む中、日本の水使用量は生活水準の向上に伴って年々、増加傾向にあります。私たちは、家庭の水消費を減らす効果の大きいトイレ、シャワーといった水まわり機器の節水性能を大幅に高めてきました。家庭で使う水を減らせば、浄水、下水処理など各工程のエネルギー消費を節減でき、その結果、温室効果ガスの削減に大きく寄与します。節水型ライフスタイルを普及させ、日本が温暖化防止に積極的に寄与するには、生活者の節水・省エネ行動が重要です。今年7月30日の「水の日」に節水型ライフスタイルの普及をめざす、産学官連携の推進チームが発足しました。本講演で概要を紹介します。

気候変動と闘う日本の戦略 13:30~15:15
パネリスト


斉藤 鉄夫

前環境相

清水建設勤務の後、米プリンストン大学客員研究員を務めた工学博士。1993年の衆院選(旧広島1区)で初当選した。衆院文部科学常任委員長、公明党・政務調査会長をへて、2008年、福田改造内閣で環境大臣に就任し、次の麻生内閣でもそのまま留任した。2020年時点の温室効果ガス削減の中期目標を決める際、日本経団連が「90年比4%増」という緩い案を支持していることについて「世界の笑い物になる」と批判。「同15~25%減」という意欲的な目標を掲げて温暖化防止に貢献するべきだと、麻生首相に直談判した。高い目標は技術革新を促し、経済の競争力を高めると考える。



豊田 正和

日本エネルギー経済研究所理事長

1973年、通商産業省(現・経済産業省)に入省。米プリンストン大学で修士号(MPA)を取得後、IEA(国際エネルギー機関)に派遣された。97年に京都であった国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP3)では、環境立地局総務課長として「京都議定書」の国際交渉に携わった。通商政策局長、経済産業審議官などを歴任し、2007年にインドネシアのバリであったCOP13には政府代表メンバーとして参加。08年に退官後、内閣官房・宇宙開発戦略本部事務局長に就任。内閣官房参与としても歴代政権の地球温暖化対策づくりにも深く関わった。今年7月から現職。



西村 六善

内閣官房参与・気候変動問題担当

外務省に入り、官房総務課長、在シカゴ総領事、欧亜局長、経済協力開発機構(OECD)駐在大使、メキシコ駐在大使などを歴任。2005年から地球環境担当大使や、気候変動担当政府代表を務め、地球温暖化を食い止めるための数々の国際交渉、調整に携わってきた。07年、当時の福田康夫首相が北海道洞爺湖サミットを目前に、気候変動問題担当の内閣官房参与を新設して現職に。それ以来、自民、民主の両政権、四つの内閣にわたり、幅広い人脈を生かしながら、国際情勢の把握や政府への助言に努めている。

コーディネーター


村山 知博

朝日新聞社「GLOBE」副編集長・論説委員兼務

1989年に入社。科学部記者として、環境ホルモンやダイオキシン問題を取材した。その後、AERA編集部員、アメリカ総局特派員、記事審査委員、科学部次長などを経て2008年から論説委員(環境・エネルギー担当)として、地球温暖化問題や自然エネルギー、原子力の社説を執筆。昨年12月にデンマーク・コペンハーゲンであった国連の気候変動枠組み条約・第15回締約国会議(COP15)の国際交渉や、民主党が提出した地球温暖化対策基本法案の国会審議などを取材した。今年7月から現職。

分科会紹介:

 「地球温暖化をなんとかして食い止めよう」という機運が、今年に入って国内外で、急速にしぼんだような気がします。
 昨年末にデンマーク・コペンハーゲンで開かれた気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)では、先進国と新興国・途上国とが対立し、地球温暖化を防ぐための新たな枠組みである「ポスト京都」をまとめられませんでした。その後遺症が今年に入っても残り、国際交渉はずっと停滞してしまいました。11月末からメキシコ・カンクンであるCOP16で、「ポスト京都」に合意するのは難しい見通しです。
 国内に目を向けても、温暖化防止の取り組みは、首相の交代や参院選といった政治の大きな動きにかき消されています。温室効果ガスの「25%削減」を盛り込んだ地球温暖化対策基本法案が、通常国会で衆議院を通過したものの、参議院では時間切れのため廃案になってしまいました。温暖化対策の大黒柱である基本法の成立が遅れれば、自然エネルギーの利用促進や排出量取引、環境税などの温暖化対策は足踏みしかねません。
 こうした国内外の難局を乗り越えて気候変動と闘っていくため、日本はどんな戦略をもつべきなのでしょうか?福田内閣と麻生内閣で環境相を務めた斉藤氏、今年7月に日本エネルギー経済研究所の理事長に就任した豊田氏、数々の国際交渉に携わってきた西村氏に多角的に議論してもらいます。
 コーディネーターは村山知博GLOBE副編集長が務めます。

特別講演


渕上 巌

京セラソーラーコーポレーション代表取締役専務

1981年に京セラ株式会社へ入社。以降一貫して、太陽光発電システムの普及、販売業務に携わる。国内初の住宅用太陽光発電システム販売の中心的役割を担い、その普及拡大に努める。96年に国内向け販売会社「株式会社京セラソーラーコーポレーション」の立ち上げに尽力。98年には取締役に就任。2007年に営業本部長、08年に常務取締役を歴任し、10年4月より現職。

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国内太陽光発電の現状と課題

要旨:
 国内の太陽光発電、特に「住宅用発電システム」の設置導入が、補助金の復活や、余剰電力を買い上げるという「固定価格買い取り制度」により加速度的に進んでいます。
 本講演では、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)住宅部会の副部会長を経験した立場から、市場の分析を中心に現状把握を行います。そして、今後到来する「太陽の時代」に向け、さらなる普及促進を果たしていく上での課題や、解決策の糸口も探りたいと考えます。

環境経営の新しい姿 15:35~17:20
パネリスト


小西 雅子

世界自然保護基金(WWF)ジャパン・気候変動プロジェクトリーダー

米ハーバード大学院修士課程修了。中部日本放送アナウンサーなどを経て、1997年に気象予報士を取得し、民間気象会社の天気専門チャンネルで世界の異常気象に関する環境番組などをプロデュースする。2005年に環境NGO「世界自然保護基金(WWF)ジャパン」の気候変動プロジェクトリーダーに就き、国連気候変動枠組み条約などの国際交渉や排出量取引制度といった国内政策への提言に従事。共著に「脱炭素社会と排出量取引」など。2009年11月には、国際交渉や各国の取り組み、日本の温暖化対策などの最新情報を解説した「地球温暖化の最前線」(岩波ジュニア新書)を出版。



ウィル・オルトン

コンサルタント会社大手「マーサー」欧州・中東・アフリカ地域の責任投資プロジェクトリーダー

SRI(社会的責任投資)のための国際的な指標として知られる指数「FTSE4Good」の開発など、FTSEグループで責任投資の統括責任者を担ってきた。2010年5月に年金や財務・人事などのコンサルタント大手「Mercer」の欧州・中近東・アフリカの責任投資責任者に就任。欧州のSRIを促すための業界団体 「Eurosif(欧州責任投資フォーラム)」の副議長も務めるほか、英ノッティンガム大学の「社会的責任センター」でSRIの特別講義をしている。編著「インベストメント・オポチュニティーズ・フォー・ア・ロー・カーボン・ワールド(低炭素社会に向けた投資機会)」を09年6月に出版。



木内 孝

環境コンサルタント会社イースクエア会長

ドイツ・ハンブルグ生まれ。慶応大学卒。カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学大学院修士。三菱電機では、常務取締役としてアメリカ社長・会長を歴任。米国赴任中の1995年、次世代に住みよい社会を残す企業・団体のネットワーク「フューチャー500」を創設。日本では、2000年に企業の環境ビジョン策定などを支援する会社「イースクエア」を設立し、代表取締役会長に就任。都心の自宅では太陽光パネルを張り詰め、3万匹の日本ミツバチを飼育する。著書に「新学問のすすめ~エコ経済への道」「熱帯雨林が教えてくれること~21世紀型企業経営とは」など多数。

コーディネーター


小森 敦司

朝日新聞社編集委員

1987年入社。千葉、静岡支局、名古屋経済部などを経て、1995年に東京経済部に。金融や通商産業省(当時)を担当。ロンドン特派員(2002~05年)として、欧州経済のほか石油産油国の動向を取材。2006年にアジアとの情報のかけ橋を目指す「朝日新聞アジアネットワーク」の主査になり、アジア域内のエネルギー協力策を研究。08年にエネルギー・環境担当の編集委員に就き、「エコ・ウオーズ」取材班の一員として、環境経営・環境産業の動向などを取材。著書に「資源争奪戦を超えて―アジア・エネルギー共同体は可能か?」、共著に「失われた〈20年〉」、「エコ・ウオーズ~低炭素社会への挑戦」。

分科会紹介:

 地球環境への負担を減らす「環境経営」が、企業の経営戦略の最重要キーワードになってきました。従来は企業のイメージアップという意味合いでしかなかったのが、いまや真剣に、二酸化炭素(CO2)の削減や、省エネ・環境技術の向上に取り組む企業が増えています。
 それこそが、コスト削減や製品の競争力強化に加え、環境規制の強化や資源価格の高騰への備えにもなる、との認識が国内の経営者の間にも広がっているからでしょう。環境経営が企業の生き残りをも左右する時代に入っていると言えます。
 実際、気候変動をめぐる国際交渉の進展に応じて、排出量取引制度をはじめとする新たな制度が内外で広がり、対応を迫られています。一方で、自然破壊や「エコ偽装」などに注がれる目は厳しさを増しており、環境への意識の欠如は、経営上の大きなリスク要因にもなっています。
 そこで、この分科会では、各方面で活躍される方々から、今後、求められる「環境経営の新時代」を議論してもらいます。かつて三菱電機の常務取締役を務め、現在は環境経営の指南役として知られる木内孝・イースクエア会長には、環境経営に必要な経営トップの覚悟や気構え、幅広い海外人脈を通じて感じた内外の認識の差を、また、「WWFジャパン」の小西雅子・気候変動プロジェクトリーダーには、国際交渉や排出量取引制度など内外の制度設計の動向と、それに応じて求められる企業の取り組みを語ってもらいます。
 SRI(社会的責任投資)の国際指標「FTSE4Good」の開発などFTSEグループで責任投資にかかわり、現在、コンサルタント大手「Mercer」の責任投資分野の欧州責任者を務めるウィル・オルトン氏には、SRIの最近の動向を語ってもらいます。

特別講演


伊藤 雅俊

味の素 代表取締役社長

1970年4月、味の素入社。食品事業本部冷凍食品部業務用グループ長兼新事業グループ長、同本部食品部長などを経て99年、取締役に就任。2001年6月には「味の素冷凍食品」(株)副社長、03年4月には同社社長に就任した。05年4月からは「味の素」常務執行役員となり、同社食品カンパニーバイスプレジデントとカンパニーマーケティング企画部長を兼ねる。同年6月には代表取締役。06年8月、食品カンパニープレジデントとなり、09年6月から現職。

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「地球持続性」「食資源」「健康な生活」に貢献する

要旨:
 2009年の創業100周年を機に、味の素グループは、“食と健康”そして、“いのち”のために働く、を理念に掲げ、「グローバル健康貢献企業グループ」を目指す将来像としました。「食」「アミノ酸」「医・健康」の各事業領域を通じ、21世紀の人類の社会課題「地球持続性」「食資源」「健康な生活」に貢献していくことを成長戦略の中心に据えています。
 食べることは、いのちを維持すること。私どもの事業は、自然の恵みに支えられ、また、世界の各地域の生活に密着して発展してきました。生物資源維持・生物多様性保全と事業活動の両立を図ることが、味の素グループの基本的な姿勢となっています。本講演では、創業以来の弊社の「持続可能なビジネスモデル」をご紹介いたします。

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