朝日地球環境フォーラム2011
2011年9月15日~17日 ホテルオークラ東京

記録(要旨)

プログラム・記録一覧

3・11後の農業と環境

パネリスト:大泉一貫 針生信夫 長谷川久夫  コーディネーター:一色清

一色

朝日新聞の一色です。本日はよろしくお願いいたします。きょうは朝日地球環境フォーラムということなのですが、「3.11後の農業と環境」というテーマでやりますので、どちらかというと環境というよりは、最終的に環境のお話には持っていきますが、基本は復興の話になるのかなと思います。朝日復興フォーラムというようなところの位置づけと考えていただいたほうが近いかもしれません。ただ、復興をまず全力をあげてすること、これは津波に洗われた田畑を塩害から再生させる。

放射能に汚染された土壌、そこからとれる作物をまた生き生きとした安全な、おいしい作物に持ってくるというようなことが再生であり、それがまた環境を維持し、環境をよくしていくと。そういう方向と一致するわけなので、そういう方向で議論を進めたいと思います。そして、最終的には3.11後、日本の農業は今後、どういうふうにあるべきなのかと、少し大きな話に持っていければいいかなと思っております。

きょうは、お三方が来られたので、私からもずっと簡単にご紹介させていただきます。皆さんから向かって右側からご紹介させていただきます。

みずほの村市場の社長さんで長谷川久夫さんです。長谷川さんは、知る人ぞ知る有名な、いわゆる農産物直売所の経営者であります。年間で2,000人ぐらいの人が全国から視察に来ると。なぜこんなに売れるの? というようなところの名物社長さんで、2年ぐらい前ですか、テレビ東京の『カンブリア宮殿』という番組に出て、大きな反響を巻き起こした長谷川理論を持っておられるところの社長さんです。

今回は茨城県も放射能の出荷停止の問題とか、いろいろなものが3月に降ってきまして、長谷川さんのところでは放射能検査を全部やって、公開するみたいなことで、一生懸命頑張っておられます。その辺の苦闘ぶり、放射能被害に対してどんなふうに立ち向かえばいいのかみたいなおはお話が伺えるのではないかと思っております。

真ん中におられるのは宮城県仙台市若林区にあります舞台ファームという農業法人の代表取締役、針生信夫様です。針生さんのところの仙台市若林区といいますと、私なんかもすぐ思い浮かぶのは、あの3月11日のNHKが撮ったヘリコプターからの映像、あれは若林区も一部含まれていたと思うのですが、どんどん津波が農地を、あるいはビニールハウスを、家を飲み込んでいく。あの風景、あれはほんとうに忘れられない衝撃的な映像でありましたが、その若林区に六次産業化と言っていますので、農家というイメージとも違うのですが、いわゆる契約農家の方々から作物を栽培してもらって、それを加工して、さらに最終的には、お寿司屋さんとか、レストランみたいなものも経営されているという一次産業、二次産業、三次産業を合計して六次産業という、そのあたりのことをやっておられるトップバッターであります。しかも、3.11以降、どうやって塩害から立ち直るかで、大規模なエコパネルを使って、エネルギーを使った野菜工場みたいなものを被災農地につくろうという計画の中心人物にもなっておられます。

そして一番手前の方が大泉一貫先生です。宮城大学の先生です。農業経済学、あるいは地域政策、そのあたりをずっとやってこられた方です。今回はもちろん被災地の中の研究者ということで、南三陸町の復興計画策定の委員長もされております。

ということで、この3人の方からお話を伺いますが、大体1時間半ぐらい、17時30分ぐらいまでトークをして、あと15分ぐらいは会場からの質問をお受けしたいかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

まずは津波で非常に今、克服に戦っておられます舞台ファームのお話から始めたいと思います。まずDVDをごらんになってください。3分半ぐらいのものなので、ごらんになってください。DVDをお願いします。

###DVD上映###

一色

ということで、舞台ファームについて針生さんから語っていただこうと思いますが、まず3月11日午後2時46分、針生さんは何をされていて、それで、そこからどんな動きをされたのか。そして、どれぐらいの被害に遭われて、どう復興されようとしているのか。そのあたりのところをお話しいただけますか。

針生信夫

針生 信夫
舞台ファーム代表取締役

針生

わかりました。皆さん、どうもこんにちは。宮城県の仙台市若林区から参りました針生と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

私はちょうどお隣の岩手県の温泉街、花巻温泉に向かっていました。私はいろいろなお話はそんなにしないのですが、そのときたまたま、六次化のお話し合いを是非してほしいということで、高速道路を大変速いスピードで移動しているときに、たまたまドコモの携帯電話が緊急速報みたいなことが鳴って、減速をして、その10秒後ぐらいに大きな地震が来たということです。今から34年ぐらい前に宮城県沖地震がありましたから、僕が高校のときだったので、その3倍以上の揺れと物すごい、ちょうど震度7と言われるようなところのエリアを横断していましたから、ほんとうに驚くべき地震でした。

ですから、宮城県沖地震を経験していた上においても腰を抜かすぐらいの感じだったのですが。たまたまうちの家内が会社から電話がつながりまして、勝手に15秒ぐらいで切れちゃったわけですが、うちの家内も悲鳴のような声を出して、「これは大変なことだ!」ということでカチャンと切れたものですから、これはえらいことだということで、まず当日、会場には駆けつけて、皆さん、もう外に出ていましたものですから、すぐ帰れということで、折り返し戻りました。そして150キロ離れているのですが、13時間かけて戻ったことになりますので、翌朝の4時にやっと着いたと。

本来ですと1時間ちょっとくらいで到達する距離なのですが、13時間かかったということでした。たまたま私が乗っていた車にはテレビがついていたものですから、その映像的に私の知っている、私が住んでいる、私が通っていた中学校の同一エリアがもう大津波で、どんどん浸食されていく映像が出て、屋根の1軒1軒の農家の人の名前もわかるという状況で、それを当然、携帯電話は全く何回もかけてもつながらないわけですから、心配しながら、急遽戻ったというのが、そのときの状況でした。そして、そのとき、6センチぐらいの雪が降って、3月11日は東北仙台ではそんなに雪はめったに降らないわけですが、ほんとうに地震の影響なのか、大気に恐ろしいぐらいのプラズマでも発生されたのかわかりませんが、一気に、ほんとうにびっくりするぐらい雪が降り始めまして、真冬の中で戻ったというのが今覚えている状況です。

その中で、私たち舞台ファームは、もともと私の家の屋号が舞台と言われていまして、15代続いている伊達藩の農家であります。そして、屋敷の中に神様が2つありまして、1つは屋敷を守ってくれる神様と、あとは地域を守る神様がありまして、昔は7代目、8代目のときに小作人の方が春と秋の五穀豊穣をお祝いするために、仮設の舞台を組んで、そこでいろいろ皆さんで楽しんだと。屋敷の中に舞台がある家ということで、屋号が舞台と言っていただいておりました。舞台というのは、新しい農業の壇上という意味もありますから、舞台農場というのは非常にいい名前だということで、もともとつけたわけですが。

そのときには、ちょうどうちのほうの、先ほどで言うカット工場とか、組立工場が約1年ちょっと前に新築いたしまして、多分、宮城県沖地震が来るということで、震度7の地震ぐらいでは壊れないように建設会社にお願いをしてつくったものですから、多分残っているだろうという思いはあったのですが、帰ってみないとわからないときに、我々の約120人程度いる社員とパートの方で緊急的に地域の皆さんに飲み物とか食べ物、また社員の皆さんに食べ物を全部持たせて帰していたということで、うちの家内であり、うちの舞台ファームの上席の皆さんたちが適切な判断をして、皆さんが何とか1人も亡くならないで終わったという状況でありました。

一色

農地の被害はどうだったのですか。

針生

農地は約40ヘクタールありまして、65%ぐらいはダメージといいますか、大津波ですべてかぶったというところです。特に兼業農家から多く田んぼとかを借りていたものですから、変な話、半農半漁、もしくは第二次兼業農家の方が非常に仙台は多いわけなので、その人たちの農地が――やはり仙台平野というのは皆さんも東北の地図を思い出してもらいますと、実はリアス式が多くて、仙台の港から第一次原発のちょっと手前までが平野があるわけですから、そこの部分に集中的に農地を借りているということで、やはり25ヘクタールぐらいはダメージを受けました。

一色

それで、その後、復興への取り組みが始まるのだと思うのですが、ここに9月1日付の日本経済新聞がありますが、この1面トップに「被災地にエコタウン」という記事があります。これは要するに自然エネルギーを活用して、仙台に野菜工場をつくるのだという新しい試みで、非常に私は注目している試みなのですが、これの中心になっているのが舞台ファーム、針生さんのところであると聞いております。太陽光発電を使いながら、そこで野菜を周辺で育てて、それを、その中心のところで水耕栽培などで育てるのですかね。それで、そこからまた加工してということだと思うのですが、このあたりのところのねらいと実際にどういう動きをされて、これからどうなっていこうとしているのか。針生さん、お願いします。

プログラム・記録一覧 このページトップへ