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(ニュースのおさらい)ひらがな、いつごろできたの?

図:ひらがなの成立拡大ひらがなの成立

 日本語の文字には、ひらがなとカタカナ、漢字があります。ひらがなは平安時代の10世紀ごろに完成したと思われていましたが、もっと前から使われていたことが分かりました。最古級のひらがなが書かれた土器が京都で見つかったのです。ひらがなはどのように生まれたのでしょう。

■9世紀の文字が見つかった

 京都にあった平安時代の貴族(きぞく)の家の跡(あと)で、墨(すみ)でひらがなが書かれた土器が約20個出土(しゅつど)した。家の主人が亡(な)くなった867年前後のものとみられ、これまでに見つかったひらがなでは最も古い時期だと分かった。

 ひらがなは10世紀前半に完成したと考えられてきたが、その半世紀ほど前に、すでにできあがっていた可能性が出てきた。

 ひらがなは中国から伝わった漢字から生まれた。日本にはもともと文字はなく、古墳(こふん)時代の5世紀ごろ、日本語の一つずつの音に、同じ音の漢字をあてはめ、漢字で日本語を書く方法が生まれた。8世紀にできた歌の本「万葉集(まんようしゅう)」でも使われたので「万葉仮名(まんようがな)」と呼ばれている。

 9世紀には、その漢字を少し簡単(かんたん)にした「草仮名(そうがな)」ができ、さらに簡単な「ひらがな」になっていった。進んだ文化を学ぶために中国に送られていた遣唐使(けんとうし)が中止され、日本で様々(さまざま)な文化が生まれた時代。和歌や手紙にひらがなが使われ、「古今和歌集(こきんわかしゅう)」(905年)や「土佐(とさ)日記」(935年ごろ)もひらがなで書かれた。紫式部(むらさきしきぶ)の「源氏物語(げんじものがたり)」(11世紀初め)は、ひらがなで書かれた代表的な本だ。

 ただ、ひらがながいつ完成したかは、よく分かっていない。ひらがなの本が登場する少し前の、9世紀の文字が書かれたものが少ししか残っていないからだ。文字が書かれた木の札(ふだ)「木簡(もっかん)」は、奈良時代の8世紀のものが大量に見つかっているが、9世紀になるとうんと減る。古今和歌集や土佐日記も、最初に書かれた本は残っていない。

 草仮名やひらがなが書かれたもので、時期がはっきりしていて一番古い文書は、今の香川県で867年に書かれた役所の書類(しょるい)。だが、ほとんど草仮名で、ひらがなは一部だけだった。

 ところが今回見つかった土器には、色々な書き方のひらがながある。約40字が書かれた皿の「と」や「は」などは今の字と変わらない形だ。さらに、筆でサラサラと続けて書く、新しい書き方の字もあった。

 土器に書かれた文章を学者たちが読もうとしたが、ほとんど意味は分からなかった。

■1音1字は明治時代から

 ひらがなの元になった漢字は、例えば「あ」は「安」、「い」は「以」だ。だが、万葉集ができた8世紀ごろの万葉仮名は1千字ほどあり、「あ」と読む仮名にも「安」のほかに「阿」や「英」があった。

 日本の文字を研究している関西大学の乾善彦(いぬいよしひこ)教授によると、万葉集や古事記で歌の1音に1字をあてる場合は漢字を主に音読(おんよ)みしたが、木簡に使われる万葉仮名には訓読(くんよ)みの漢字がまじることが多かったという。

 万葉仮名の種類が多かったから、そこから生まれたひらがなもたくさんの種類があった。例えば「ち」「す」の元の漢字は「知」「寸」だが、今回見つかった皿には「千」「須」を崩(くず)したひらがながあった。

 実(じつ)は、今のようにひらがなが1音1字になったのは明治時代。政府が法律で学校で教える字を統一(とういつ)してからだ。

 では、今回のひらがなを書いたのはどんな人なのだろう。

 土器があった家の主人は、政治の世界でナンバー3の右大臣(うだいじん)まで出世した藤原良相(ふじわらのよしみ)。貴族の中で強い権力を持った「藤原」という姓(せい)の人たちの一人で、仏教や中国語にも詳(くわ)しかった。

 彼の家には多くの物知りが集まっていたようで、文学にも詳しかった人ができたばかりの字だったひらがなを書いたとみられている。書き方が何種類もあるので、いろいろな人が書いたという意見や、同じ人が目的に合わせて書き分けたという意見がある。(筒井次郎)

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