■長野・松本市立山辺小学校 伊藤茂さん(49)
【山根由起子】6年3組の子どもたちが体育館に集合した。フロアいっぱいに「地上絵」を描く算数の授業の始まりだ。
伊藤先生がフロアの端で模造紙を広げた。子どもたちの案から採用された幾何学模様の鳥が描かれている。翼の先の点を「中心点O(オー)」と定めて支柱を立てると、ひもを何本も結びつけた。
ここからは子どもたちの仕事だ。「チームで協力してやってくださいね」と先生。
みんなは2、3人ずつの組に分かれた。1人が点Oからひもをのばし、絵の角のところ(頂点)で押さえる。別の子は、さらにひもをのばしてピンと張り、点Oから頂点までの距離を20倍した地点を巻き尺ではかって粘着テープで目印をつける(図参照)。
大切なのは、ひもをまっすぐにのばすこと。「3歩ぐらい左かな。もっとピンと張って!」。支柱の根元でひもを押さえていた男の子が、相手に声をかけた。別のチームの女の子は、「左に少しだけ寄って。いい感じ」。
点Oと反対側の翼の先を延長した地点までは27メートルある。距離をはかっていた子はフーフー息を切らしながら「ここが一番長い」とつぶやいた。
先生と子どもたちは、18カ所にはられた目印をつないで赤いテープをはった。
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テキパキ作業できたのにはわけがある。これまでもどうしたら手際よく拡大図が描けるかを試してきたからだ。