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07月16日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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(ニュースのおさらい)今年の梅雨、ちょっと変だね

図:偏西風の曲がり方で雨の場所が変化拡大偏西風の曲がり方で雨の場所が変化

 気象庁(きしょうちょう)は今年、九州(きゅうしゅう)から関東(かんとう)にかけての梅雨入(つゆい)りを記録的(きろくてき)に早いタイミングで発表しました。しかし、その後は各地で晴天(せいてん)の日々に。台風(たいふう)3号の影響(えいきょう)もあり、一部の地域では大雨(おおあめ)が降りましたが、6月中ごろまで少雨(しょうう)は解消(かいしょう)しませんでした。原因は上空(じょうくう)の偏西風(へんせいふう)にあるそうです。

■偏西風の通り道、予想誤った

 「春の終わりから夏にかけて、雨や曇(くも)りの日が多くなる期間に入ったとき」。気象庁の梅雨入りの定義(ていぎ)だ。

 今年は関東甲信(こうしん)で、記録のある1951年以降で3番目に早かったのをはじめ、東海(とうかい)では5番目、近畿(きんき)では4番目の早さだった。30年間の梅雨入り日の記録を平均した「平年値(へいねんち)」よりも、いずれの地域でも4〜11日早かった。

 梅雨入り判断のポイントは、高度1万メートル付近を地球規模で西から東に吹(ふ)く「偏西風」だ。日本の南海上から吹き込む湿(しめ)った暖かい空気は、偏西風の南側で雲(くも)になり、雨を降らせる。偏西風の通り道が変われば、雨が降りやすい場所も変わるからだ。

 梅雨入りが発表された5月27〜29日は、偏西風が列島上空を斜(なな)めに蛇行(だこう)し、九州から関東甲信にかけて広い範囲(はんい)で雨が降っていた。この直前、気象庁は国連の専門機関(せんもんきかん)の一つ、世界気象機関(WMO)を通じて得た世界各地の観測(かんそく)データを使って、スーパーコンピューターで偏西風の軌道(きどう)を予想(よそう)。偏西風はしばらく同じ位置を流れ、雨が降りやすい状態が続くという分析結果(ぶんせきけっか)を得た。

 しかし、予想に反(はん)して、6月上旬には、偏西風の通り道が南よりに移動。その結果、湿った暖気(だんき)は列島にまで届(とど)かず、雨が降りにくい状況になった。

 予想を誤(あやま)った主な原因は、東南アジアの海域一帯(かいいきいったい)から立(た)ち上(のぼ)る上昇気流(じょうしょうきりゅう)の強さの読み違いにあった。

 スーパーコンピューターの描(えが)いたあらすじはこうだ。

 東南アジア付近の海面水温がいつもの年よりも高い。海面近くの空気が暖められて軽くなり、より強い上昇気流が立ち上る。気流は上空約1万メートル付近まで立ち上り、天井にぶつかった煙(けむり)のように周囲に広がる。このうち、北に向かった流れがほぼ同じ高さで吹く偏西風の軌道を北側に押し、雨を降らせる雲が列島近くにとどまり続ける――。

 だが、予想したほど上昇気流の勢いは強まらなかった。偏西風は南寄りを流れ、雨の地域も列島に重ならなかった。

■今後、雨降りやすくなる

 気象庁は6月5日と14日に、「少雨に関する注意情報」を出して水不足への注意を促(うなが)した。5月1日〜6月15日の雨量が沖縄を除いて、北日本、東日本、西日本のいずれも平年の4〜6割程度という記録的な少雨だった。

 6月10〜12日にかけて、台風3号の影響で太平洋側の幅広い地域で雨が降ったが、列島全体の少雨を解消するには至らなかった。

 今後はどうなるのか。

 6月中旬後半は偏西風が南寄りに蛇行し、雨が降りやすい場所が列島に重なった。7月中ごろまでの雨量は、東日本と西日本で平年並み、北日本や沖縄では平年より多めになりそうだ。

 雨は人命(じんめい)を奪(うば)うこともある。

 昨年の梅雨シーズンは、7月11〜14日にかけて、九州を豪雨(ごうう)が襲(おそ)った。熊本県阿蘇市(あそし)で1時間あたりの雨量(うりょう)が108ミリ、24時間でみると500ミリ超を観測するなど、各地の観測点で統計史上1位の値を更新(こうしん)。その結果、土砂災害(どしゃさいがい)や河川(かせん)の氾濫(はんらん)が起きて、熊本県や大分県、福岡県で計32人が亡くなったり、行方不明(ゆくえふめい)になったりした。

 ヨーロッパでは今年5〜6月、偏西風の影響で記録的な豪雨になり、ドイツやチェコ、オーストリアで計18人の死亡が確認されている。気象庁は、「これから梅雨らしい日々になる。大雨警報(けいほう)や土砂災害警戒情報(けいかいじょうほう)など、注意の呼びかけに気をつけてほしい」と言っている。(赤井陽介)

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