【岡雄一郎、河原田慎一】せっかく博士課程まで勉強しても、安定した職に就いたのは半数だけ――。昨年の文部科学省の調査で、そんな実態が明らかになった。成長戦略に欠かせない技術革新の担い手として期待される人材なのに、就職先が足りないのだ。
■教員への就職、難しく
「正規雇用」と「非正規雇用」――。文科省は昨年、博士課程を終えた後の進路について、初めてこんな区分を設けて調べた。
昨春の修了者1万6260人のうち、無期雇用の正規職員は8529人(52%)。一方、1年以上の有期雇用の非正規職員は2408人(15%)、主に1年未満の「一時的な仕事」855人(5%)、進路が決まらない「就職も進学もしない」3003人(18%)。つまり、安定した職に就かない博士が計38%に上った。
この「非安定雇用」の割合は専攻分野で差がある。医学や薬学などの「保健」は24%と低いが、「農学」53%、数学や物理学などの「理学」57%、文学などの「人文科学」は60%。「すぐに利益につながらない基礎研究などの分野は、特に企業への就職が難しい」と文科省の担当者はみる。