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2013年度大学入試センター試験
試験日:2013年1月19日・20日

特集

センター試験「一発勝負」から転換 大学の負担は増大

写真:教育再生実行会議であいさつする安倍晋三首相。中央は鎌田薫座長、左は下村博文文科相=31日午後、首相官邸、越田省吾撮影拡大教育再生実行会議であいさつする安倍晋三首相。中央は鎌田薫座長、左は下村博文文科相=31日午後、首相官邸、越田省吾撮影

図:新しい入試方法のイメージ拡大新しい入試方法のイメージ

 知識偏重の「一発勝負」から、課外活動などを含めた「人物本位」の選抜へ。安倍晋三首相肝いりの施策とされる大学入試改革の概要が見えてきた。大学側は「多様性のある学生の確保」の重要性は認めるものの、ペーパーテスト重視からの大転換を迫る内容に困惑を隠せない。

大学入試「人物本位の選抜に」 再生会議が提言

■「停滞」脱却目指す

 【村上宣雄】首相官邸で開かれた教育再生実行会議を終え、文部科学省内で記者会見に臨んだ下村博文文科相は言った。「国際化、そして高齢化が進み、日本は少子化の中でそれを支えていかねばならない。一人一人の人材力を高めることが必要で、そのための改革案と考えている」

 今回、大学入試改革に向けて政府が動いた背景にあるのは、大学の「大衆化」だ。少子化と学校増によって大学進学率は5割を超え、志願者に対する入学者の割合は9割台に上昇。大学の定員と志願者数がつりあう「全入」どころか4割の私大が定員割れを起こしている。「えり好みしなければどこかの大学には入れる」と、高校生の学習時間は減っている。

 そんな中で、延々と点数主義の入試を続けても意味がない。意欲や潜在能力といった観点に切り替え、積極的に人材を見いだして育てなければ、大学教育は停滞から抜け出せない。レベルの違いこそあれ、それは難関大学にも通じることだろう――。実行会議のメンバーは、こんな考えを共有していたという。

 文科省幹部の一人は「合否判断のモノサシを取り換える必要性は、この10年来ずっと感じてきた。教育問題に熱心な安倍政権ができたことで、トップダウンで一気に進める環境が整った」と明かす。

■「究極の理想論」反発も

 新たな入試制度がイメージする「人物本位」の選抜とはどのようなものか。教育再生実行会議が参考にしたのが東北大(仙台市)の「AO入試」だ。募集人員の約2割、約420人の枠に、2、3倍の受験生が集まる。

 面接は、担当教員が4〜6人のグループに分かれ、受験生1人に30分ずつかけて行う。同大の追跡調査では、留年する割合が低く、入学後の成績は一般入試の学生より優れているという。

 ただ、人物評価にかかる労力は大きい。同大の牧野周(あまね)入試センター長は「今の募集人員から増やすとなると、人物評価の尺度がばらつき、雑になりかねない」と話す。

 実行会議の座長を鎌田薫総長が務めた早稲田大は6月、学内に入試開発オフィスを立ち上げ、「ペーパーテスト重視から脱却した評価方法」の開発に取り組み始めた。だが、毎年の受験者は約10万人。担当者は「全員の人物評価、と言うわけにはいかない。米国で一般的な、教員でない入試選抜の専門家の養成も必要だ」と指摘した。

 現行の大学入試センター試験は今年1月、約54万人が受験。国公立大だけでなく、全国に約600ある私大の8割以上が利用している。全受験生の3分の1がセンター試験を利用しているという東海地方の私大の入試担当者は「基礎的な学力があるかをきちんと測れるから、センター試験を利用してきた。段階の境目は1点差で合否が分かれ、同じ段階の中では1点差が問われないのは、かえって不公平になる。人物本位というのは、究極の理想論でしかない」と憤った。

 実は、センター試験の前身である共通1次試験が1979年に導入された当時、「学力試験は1次のみ」という考えが示された。だが、その後多くの国公立大で2次でも学力試験を課した歴史がある。

 代々木ゼミナール入試情報センターの坂口幸世(ゆきとし)統括本部長は「現行でもセンター試験で学力を測ると同時に、面接で人物評価をしている大学は多い。学力テストを出願時のみに使うなら、不合格の学生は面接などの合否の基準が分からず納得しにくい。試験結果をはっきり示し、面接などは、明らかに不適格な学生を見極める程度にするのが現実的では」と指摘する。(河原田慎一、渡辺志帆)

■進路指導、高校にも難題

 高校のカリキュラムや進路指導には、どんな影響があるのか。

 「人物本位」の評価について、名古屋市の公立高校の進路指導担当教諭は「学力に加えて課外活動にも力を入れなければならず、進路指導は難しくなる」と話す。「課外活動は学校で評価しにくい。本来、自発的にする部活動などが『入試のため』になってしまうかもしれない」

 「基礎」テストなどで複数回受験が実現すれば、高校3年間のカリキュラムも変わる可能性がある。静岡県立磐田南高校で進路指導主事を務める駒形一路(かずみち)教諭(50)は「テストには事前準備の指導が求められ、対策に追われる。授業時間が減って、教育課程の空洞化を招くのでは。未履修問題の可能性も出てくる」。発展テストのランク表示化について、埼玉県立高校の教員は「ランク分けをしても境界線は1点刻み。生徒にとって1点の積み重ねが入試の結果になるという現実は変わらない」と話した。

 河合塾の近藤治教育情報部長は、受験日程が早まる可能性を指摘する。「発展テストの結果を出願のためだけに使って、面接で選ぶのなら、高3の12月ぐらいにテストを済ませないといけない。実施時期が早まると、学力の低下につながる恐れがある」と指摘した。

 私立の文教大付属中高(東京都)の星野喜代美校長は「一発勝負で本当の力が測れるのか、など現行の試験には問題があり、改革に異論はない」と評価した上で、大学側からの変革の必要性を訴えた。「たとえば一定レベルを満たした生徒をすべて入学させ、卒業要件を厳しくするように変わるなら、よりよい入試になるだろう」(高浜行人、編集委員・氏岡真弓)

    ◇

■「詰め込み型の一掃を」

 《大学入試に詳しい北星学園大の佐々木隆生教授の話》 人物本位の選抜には賛成だが、論文や面接を大学入試で課すなら、まず小中高校での詰め込み型の教育をやめ、論理的で批判的な思考を教える必要がある。達成度テストも複数回行うという理念は良いが、「基礎」と「発展」を切り分けなくても、1種類の試験で絶対的な到達度を測ることができる。新しい評価方法の開発を積極的に進めるべきだ。

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