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2013年度大学入試センター試験
試験日:2013年1月19日・20日

特集

成功よりも成長を 元早大ラグビー部監督・中竹竜二さん

中竹竜二さんからのメッセージ

写真:中竹竜二さん:「チームづくりは入念に準備するが、自分の人生はまったく計画的ではなかった」と語る中竹竜二さん。現在は日本ラグビー協会コーチングディレクターとして、日本で開かれる2019年ラグビーW杯を見据えた指導者の育成という大きな課題に取り組む=東京・青山拡大「チームづくりは入念に準備するが、自分の人生はまったく計画的ではなかった」と語る中竹竜二さん。現在は日本ラグビー協会コーチングディレクターとして、日本で開かれる2019年ラグビーW杯を見据えた指導者の育成という大きな課題に取り組む=東京・青山

 高校3年の秋、ラグビー部主将の僕は全身けがだらけでした。タックルのしすぎで両肩は脱臼癖がつき前歯は3本折れ、座骨神経痛に腰椎ヘルニアを患ったことも。福岡県予選を勝ち抜いて全国大会に出場したらきっぱりラグビーをやめよう、と思っていました。

 学校からは同志社大学への推薦入学の話をいただいたのですが、面接が県予選準決勝の日だったので断りました。仲間が戦っている最中に「きょう俺、受験でいないから」とはとても言えなかったから。でも県予選は準々決勝で敗退。翌週の推薦入学の面接日、僕は何もすることがなくなってしまいました。

 悔しかった。不完全燃焼のまま終わりたくはなかった。地元の大学で1年仮面浪人して勉強し、翌年の試験で早稲田大学人間科学部に入ったのは、「早稲田のラグビー部なら下手なやつでもチャレンジさせてくれる」という先輩の一言があったからです。

 そして僕は、大学4年の時に主将を務め、後には監督として招かれ、このスポーツとかかわり続けていくことになりました。

■誰もの居場所があるスポーツ

 小学1年の頃からやってましたが、僕はいわゆるラグビー狂ではありません。プレーし続けたのは、自分の存在価値を示せる場がラグビーしかなかったのが大きいですね。

 ラグビーって融通が利くんですよ。野球はバットをちゃんと振らなければならないし、陸上だと速い足、サッカーはキック力がなければならない。でもラグビーは個々の能力が劣っていても、先を読んで駆け引きを感じる力があれば自分にできることを探す余地がある。足の遅い僕は、タックルで相手を倒すことで居場所を見つけました。凡人に光を当て活躍の場を与えてくれる。優しくフレンドリーなスポーツなんです。

 早大ラグビー部の監督になってから「ラグビー、あまり好きじゃないんだよね」と学生に話したら「監督としてそういう発言はどうかと思います」と叱られました(笑)。でも監督の仕事のうち、ラグビーの戦術を考えるのは十分の一程度。部員百数十人の個性をいかに引き出し、ひとりひとりにどのような目標を与えるかは組織のリーダーに共通する課題で、車を売ろうがITサービスをつくろうが本質は同じだと思っています。

■最悪に備える視点

 「ネガティブに準備をしてポジティブに実行する」のが僕の信条です。受験生なら、どんなに偏差値がよくて知識が完璧でも、受験当日に風邪でも引いたら大して勉強をしてなかったやつに負けるかもしれない。どうやって当日の体調を万全にするか。雪や交通渋滞に遭ったらどうするか。無駄なプレッシャーを受けないため、最悪の可能性から目を背けず備える、そういう視点を持つべきです。

 そして、成功と成長はきちんと区別した方がいい。成功とは目標達成のことなので、低く設定すればすぐできてしまう。ちっちゃな成功の積み上げより、目指すべきは一貫した成長の継続です。

 成長は一直線ではなく、どこかで下がる局面もあるかもしれません。でも失敗しても「もう1回チャレンジしたい」「今回はだめだったけどいろんなことを学んだ。次は自信がある」と、終わったところから未来を向いているのが成長だと思います。成功はつかんだ瞬間に過去になる。

 いろんなことに挑戦して挫折し、それでも前を向いていく力。これを積み上げた方が、未来に本当に大きな成功を手に入れられるのではないか。本気で頑張ったからよかった、と十年後言えるように、今は堂々と成長を目指してほしいと思います。(聞き手・戸田拓)

     ◇

 なかたけ・りゅうじ。1973年福岡県生まれ。早稲田大学人間科学部卒業後、英レスター大大学院で社会学を専攻。三菱総研を経て2006年に早大ラグビー蹴球部監督に就任、07、08年に大学選手権連覇。2010年から日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター。近著に「人を育てる期待のかけ方」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

 (初出・2011年12月21日asahi.com。内容は掲載時点の事実に基いています)

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