【動画】小日向えりさんから受験生へメッセージ=戸田拓撮影

写真・図版「歴史アイドル」(歴ドル)として活躍中の小日向えりさん

写真・図版2006年度センター試験の数学Ⅱ・数学B第1問

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 センター試験ではこけちゃいました! 志望は横浜国立大学のメディア系学科。理系だったので数学・物理はできて当たり前、という感覚だったんですが、2日目の数Ⅱ・Bが50点くらいしか取れなかったんです。

 大問1でいきなりピンチ。あっ、わかんないわかんない、と頭の中が真っ白に。「ここで詰まっていたら先が全部埋められない、どうしよう……」。焦るうちに時間ばかりが過ぎてぼうぜん。1日目に、苦手だった英語と国語が予想外にできたので安心しちゃったのかな。得意科目の過去問をあまりやらなかったのが致命的にダメでした。

 2次試験でなんとか挽回(ばんかい)しようと過去問を解きまくり、過去問対策の大事さを痛感しました。受けた学科の2次は例年、英語と頭の体操みたいな総合問題で、他の受験生は総合問題は対策のしようがないと過去問を軽視していたのですが、やったおかげで傾向がわかりました。本質は一緒だったんです。

 教訓は、とにかく「歴史に学ぶ」ということ。テストの歴史、すなわち過去問をしっかりやることに尽きます。歴史を学ぶことは受験だけでなく人生においても役立ちます。例えば織田信長は、家臣に裏切られた武将が歴史上大勢いたことを意識していれば、明智光秀に恨まれるのを避けたでしょう。徳川家康の、武田信玄に敗れた三方原の戦いの大失敗を忘れないため苦渋の表情の肖像画を描かせて残した、というエピソードは有名ですね。

■歴ドルに歴史あり

 奈良出身です。聖徳太子好きのお父さんが法隆寺の近くに家を建てました。庭を掘ると古墳が出そうな家で育ち、幼い頃から神社仏閣に親しみました。

 芸能界は中学のときからの夢でした。高校生のときは大阪の事務所に所属していましたが、東京に出ないと勝負できないと思い、関東の大学に行こうと決めました。しかし親は東京行きに猛反対! あきらめさせようと「お金がないから私立はダメ。国公立に受かれば進学させてあげる」と無理難題をふっかけました。到底国公立に行ける成績ではなかったのです。

 しかし、私はそれを真に受けて1年間必死に勉強し、憧れていた眞鍋かをりさんの出身校・横国大に合格。念願の首都圏行きを果たし、縁あってサンミュージックに移籍し、夢をかなえることができました。

 歴史に本格的に目覚めたきっかけは実は三国志のTシャツ。張飛のTシャツを購入し、これは誰だろうと調べていくうちに三国志に興味を持ちました。横山光輝版「三国志」全60巻をひと夏で読み、吉川英治や北方謙三の小説、映画やドラマ……。そして「レッドクリフ」関係のイベントに出ることになり、主催者が付けてくださった肩書が「歴史アイドル」でした。

■「坂本くん」と友達に

 全然自覚はなかったのですが、「歴ドル」を名乗ったとたんテレビや雑誌インタビューなど仕事の依頼が相次ぎました。最初は「歴ドルなんて無理ですー」とマネジャーに泣きながら訴えたこともありましたが、覚悟を決めて、本の執筆にも取り組んでいます。好きな時代の三国志、戦国、幕末を入り口に、歴史小説をたくさん読んでいます。通史を勉強するために、高校の参考書で勉強することもあります。

 歴史を楽しむには、まず人物に興味を持つこと。好きな彼・彼女のことはどんなささいなことでも知りたいじゃないですか、交友関係とか育ちとか。そういう感覚で好きな人をひとり見つけるとヨコにもタテにも全部つながっていくんです。たとえば坂本龍馬を好きになれば、そこから幕末全体に興味が広がりますね。戦国なら、今度の大河ドラマの主人公の黒田官兵衛は、天下人3人に仕えて長生きしているから人間関係が広くていいかも。

 入り口は「銀魂」みたいなマンガでもゲームでもいいし、武将を美形キャラにしたり性別を変えたりするのも面白ければOK。そこから歴史ファンが増えているのが現実ですもの。「坂本くん」とか友達みたいに思えれば歴史はぐっと身近になります。龍馬のいた土佐藩では、戦国時代の山内家と長宗我部家の勢力争いが幕末まで影響していたんだ、と点と点がつながる瞬間があると楽しいですよ。

■歴史を学んで大志を抱け

 歴史ほど、どういう師と巡り合うかが大事な科目はないでしょう。史実を面白く伝えられる先生に習えるかどうかで好きになるか嫌いになるか大きく変わります。自分から探せば、いい先生と出会えると思うんですよね。学校の先生は選べないけど、予備校は選べるしインターネットでも授業が見られる。幕末の志士たちが教えを請うため師のもとを遠路はるばる訪ねていたことを思えば、今はとても恵まれた時代だと思います。私のトークで戦国が好きになったと言ってもらえたことがあって、すごくうれしかったです。歴史の伝道師として子供たちに歴史をキャッチーに楽しく教えるお姉さんになりたいですね。

 私はこれまで夢に向かって突き進み、好きなことを仕事にしてきたので、同年代の子が「やりたいことがない」「好きなことがない」と言うのは寂しいです。歴史上の人物の伝記を読むと、大きい夢を持てていいんじゃないかな。みんな大きい志を持って生きていたんですから。(聞き手・戸田拓)

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 こひなた・えり タレント。横浜国立大学教育人間科学部マルチメディア文化課程卒業。「歴史アイドル」(歴ドル)としてNHK高校講座・世界史などに出演。「歴史人」ウェブサイトで「小日向えりの歴史をもっと知り大河!!」を連載中。