ニューヨーク(NY)もすっかり秋が深まった。うちのアパートの庭にある大きな木々の葉っぱも、あざやかな赤や黄色に色づいた。
庭に住みついているたくさんのリスたちは、木々から落ちてくる豊富な木の実をいっぱい食べて、今年も寒いであろうNYの冬に備えて丸々と太ってきた。
天高く、リス肥える秋である。
さて、息子が学校外活動で参加しているトラック・チーム(陸上競技チーム)の秋の種目はクロス・カントリー。
10月上旬から11月中旬まで、毎週土曜日は練習、日曜日は競技会というスケジュールなので、土日はNY郊外のグラウンドのある大きな公園に出かけて行っている。(雨天は中止)
公園にはサッカーや野球ができる大きなグランドが二つあり、周辺は大きな木々の足元に草花がいっぱい咲いている 小山を利用した自然公園。
中に入っていくと空気がおいしい。
マンハッタンの高層ビルや車の群から離れ、車でほんの20分ほど郊外に出ればあふれるほどの自然に出会えるわけだ。
この公園のなだらかな山道を、落ち葉をガサガサ踏んで、息子たち9歳、10歳児たちは1マイル(1.61キロメートル)を走る。
練習のときは、付き添いの父母たちも子どもたちと一緒に走る。私も走る。
走り出しは、「なんていいお天気なんでしょう、気持ちがいいねえ」などと父母たちはニコニコ話をしながら走っているのだが、ものの5分ほどでスピードは落ち、そのうち歩き出してしまう人たちもいる。
子どもたちはみんな元気に走る。
1マイルは意外にあっという間に終わってしまうので、走り足りない子どもや父母たちは、また山道に入って行ってしまう。
結局、いつもみんな1時間ほどは走っている。
走り終わったときの達成感と気持ち良さは、空の青さと空気の美味しさもあいまって格別な味わいだ。
父母も子どもも、互いの健闘をたたえ抱き合う。途中でリタイアした父母たちが、スポーツドリンクやお菓子を配ってくれる。
なんともほのぼのとした光景である。
しかし、競技会となると、この様は一変する。
1マイルを走りきれなかった父母たちが、
「おらー、しっかり走らんかーい、ギブアップするなー、ベストを尽くせー」
と、自分の子どもたちを大声で応援するのだ。
あんたは、ギブアップしたでしょうがと、はたから見ていて思うのだが、そんなことはおかまいなし。ほかの親が見ていようが、自分は走りきれなかったろうが、そんなことは知ったこっちゃない。血管が切れるのじゃないかと思うほど、大声で叫びまくっている。
ゴールが近づいてくると、声の大きさはピークに達し、叫びながらコースの外を子どもと一緒に走り出す親はざら。
それに答えて、子どもたちも最後の力を振り絞って走る。
そしてゴール。
走り終わった子どもたちを抱き止める親たちは、「あなたは素晴らしーい、最後まで全力を尽くしたあなたは素晴らしいー!」と、これまた大声で叫びながら、たくさんのキスを子どもたちに浴びせるのだった。
いやはや、なんともにぎやかな競技会である。
(次週に続く)