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ゆき姐の子育て応援エッセー

筋肉トレーニングのつけ(2)

2007年04月12日

 さあ、どうするこの肩の痛さ。(前回参照)

 こういう時、ニューヨーク(NY)に暮らすもどかしさを痛烈に感じる。日本なら、そうだ、あの医者に相談しよう、とすぐに頭に浮かぶが人が何人もいるが、NYだとそうもいかない。もちろんNYにも、この手の患者を治すことのできる、すぐれた医者がたくさんいるに違いないが、さて、どこに行ったらいいものやら……。

 NYに暮らすようになり、早10年あまり過ぎようとしているが、幸いなことに我が家では今までに誰一人、病気らしい病気も、けがもしていない。

 もし、息子が病気をしたら、大けがをしたら、どうしよう。

 まだ赤ちゃんだった息子を連れて、夫の留学先のNYに移り住んできたときの最大の心配事はそれだった。

 NYにある日系の病院や、生活・医療・法律相談などに対応してくれるというNY日系人会、在NY日本国総領事館領事部、はたまた、緊急事態が発生した場合、「ジャパニーズ・プリーズ」と告げれば、日本語通訳を介しての通話が可能という、現地NYの警察、救急車、火事対応の911番など、なにかあったらすぐにそこに連絡がつくよう、キッチンの壁に取り付けてあるボードに、それらの電話番号を書き出してあるのだが、まだ一度も利用したことがないのは幸いなことでもある。

 しかし、とうとう今回はこれを利用することになるのか、そう思いながら肩を冷やしていると、また痛みが少し和らいできた。

 どうやら、寝転んで腕を横たえると痛みが増すようで、立ち上がって家事などをしているときは、さほどでもなくなってきた。

 緊急ではないようだな、

 と、またもや素人判断をして、日常の仕事をこなし、午後、息子を学校に迎えに行くと、息子のクラスメートのママ、ジーンに会った。

 それで、ハタと思い出した。

 2、3年前、近所のアメリカ人のカイロプラクターを彼女に紹介してもらったことがあるのだ。

 本の原稿締め切りが間近に迫り、一日中パソコンに向かっている日が続き、肩がガンガンに凝(こ)ってしまったことがあった。ジーンに相談すると、そのカイロプラクターを紹介してくれたのだ。

 彼女も医療関係のリサーチの仕事をしていて、一日中パソコンに向かっていることが多く、万年肩凝りだったのだが、そこに通うようになり、かなり改善されたというのだ。

 そうだ、あそこに行ってみよう、あそこなら近所だし、もう知り合いだし、この肩の痛みを何とかしてくれるかもしれない。

 そう思いつくと、なんだかちょっとホッとした。

 NYに移り住んできた頃は、この街に知り合いはほとんどいなかった。

 が、息子が学校に行くようになると、子どもつながりの友だちがごっそりできた。

 息子が病気をしたら、けがをしたら、どこへ行ったらいいのだろうと心配していたことも、今では彼の友だちの父母たちという現地での強い味方を得て、心配の必要もずいぶん少なくなった。

 子どものお陰で、私もずいぶん助けられているなあ、ありがたいなあ、と実感しながら、早速カイロプラクターのところへ行ったのである。

 と、私の肩を診るなりそのカイロプラクターは言った。

 「ありゃー、こりゃ、相当ひどく傷めましたねえ……」

 えー、そんなにひどいんですかあ?なんとかしてくださいよー、私は祈る気持ちで、彼を見つめたのだが……。

 (次週に続く)

兵藤ゆき プロフィール

兵藤ゆき兵藤 ゆき(ひょうどう・ゆき)
 名古屋市出身。血液型O型。東京・名古屋・大阪で深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りに個性的なキャラクターでテレビ番組に登場し、その後エッセー、脚本、作詞、歌手、小説等ジャンルを超えて幅広く活躍。1996年に長男誕生後、ニューヨークに。
 主な著書に「ぶんちんタマすだれ」「ゆき姐のニューヨーク裏うら散歩」「でこぼこなクラス写真〜子どもたちは黙っちゃいない〜」(いずれもワニブックス)、「ニューヨーク熱血井戸端会議」(集英社be文庫)などがある。

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