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ゆき姐の子育て応援エッセー

FUTON(フトン)

2007年07月26日

 夫の留学先のニューヨーク(NY)に移り住んでから、いつ何時日本に帰国してもいいように、最低限生活に必要な物以外、家財道具は極力買わないようにしてきた。

 アパートの各部屋にクローゼットが付いていたので、タンスも買わなかった。

 息子が小さい頃は、そのクローゼットに親子3人分の衣類や雑貨を片付けることができたが、着るものも大きくなり、雑貨の数も増えてくると、そのうち無理やり押し込めて、無理やりドアを閉めて、という感じになっていったが、なんとかそれでやり過ごしてきた。

 ベッドも買わなかった。

 母乳育児をしているときは、ほぼ3時間おきに授乳していたので、息子がそばに寝ていたほうが安心だったし、ベッドだったらうっかり落としてしまうかもしれない心配があったので、NYでも布団を敷いて寝ていた。

 ちょっと大きくなってくると、寝ているときもゴロゴロとよく動くので、やっぱり布団のほうが安心だった。

 我が家によく泊まりに来ていた息子のアメリカ人の友だちたちは、この布団で寝るのをとても楽しみにしていた。

 みんな家ではベッドで寝ている子たちで、夜、布団を敷くと、思いっきり布団にダイビングして、ゴロゴロゴロゴロ転がって、キャッキャキャッキャと遊んでいた。

 もう寝る時間だよ、

 と言っても、なかなか寝ないで布団を楽しんでいた。

 朝起きて布団をたたむと、また布団の山にダイビングして、キャッキャキャッキャと遊んでいた。

 フランシスコ(「サンタの正体」の回参照)の息子もよく泊まりに来ていて、彼もいたく布団が気に入っていた。

 特に、家族が並んでゴロゴロ寝ているのに感動していた。

 そのうちフランシスコの家では、我が家のように2階はすべて靴を脱いで生活するスタイルに切り替え、フランシスコ夫婦の寝室にキング・サイズの布団が入った。

 布団、といっても、日本で通常使っているような布団をNYで探すのはかなり難しい。

 街に、“FUTON(フトン)”と書かれた店はたくさんあるのだが、そこで売られているFUTONは、ソファーベッドのソファーのようなもので、日本の布団のように、折りたたんで押し入れにしまっておけるような代物ではない。

 我が家で使っていた物も、NYで見つけたベッド用の薄型マットレス(6センチくらいの厚さで、折りたたみ可能)の上に、ベッド用の羽毛の敷物(5センチくらいの厚さで折りたたみ可能)を敷いていただけで、日本の布団ではなかったが、見た目も使い心地も満足のいくものだった。

 フランシスコ夫婦の寝室に入った布団も、我が家にならったものだったが、こちらはキング・サイズ。

 週末には、夫婦のベッドの横のカーペットの上に布団が敷かれ、子どもたち3人が一緒にゴロゴロ寝ているのだそうだ。

 ジーン(息子の同級生のお母さん)のところでも、うちに遊びに来るようになってしばらくして、家では靴を脱いでの生活に切り替えたようだ。

 彼女の息子がうちに泊まりに来てからは、彼も布団が気に入り、彼の部屋からベッドが取り払われ、マットレスだけを床に敷いて寝るようになった。

 ときどき親子3人で、ゴロゴロ床で寝ているとも言う。

 私たちを訪ねて日本に遊びに来たら、本物の布団で寝るのを彼らはとても楽しみにしていると言っていた。

 (次回に続く)

兵藤ゆき プロフィール

兵藤ゆき兵藤 ゆき(ひょうどう・ゆき)
 名古屋市出身。血液型O型。東京・名古屋・大阪で深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りに個性的なキャラクターでテレビ番組に登場し、その後エッセー、脚本、作詞、歌手、小説等ジャンルを超えて幅広く活躍。1996年に長男誕生後、ニューヨークに。
 主な著書に、(対談集)「頑張りのつぼ」(2005年7月 角川書店)…ニューヨークで活躍する日本人8人の方との書き下ろし対談集(宮本亜門・千住博・宮本やこ・野村尚宏・平久保仲人・河崎克彦・高橋克明・小池良介)、(翻訳本)「こどもを守る101の方法」(2006年7月 ビジネス社)などがある。

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