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ゆき姐の子育て応援エッセー

やさしい家族(2)

2007年08月30日

 みんなで涙したフランシスコ家とのお別れパーティー(前回参照)、もうこれでお別れというとき、フランシスコの次男アンドレス(11歳)が、もう一度我が家に遊びに来たいと言い出した。

 うちの息子もそうして欲しいという。

 時刻は夜の9時を過ぎていた。

 が、私たち夫婦も、フランシスコ夫婦も黙ってうなずいた。

 息子とアンドレスは同い年。

 学校はずっと違うところだったが、2歳半の頃知り合ったふたりは、ずーっと仲良しだった。

 アンドレスは休みの日、よくうちに泊まりにきた。

 息子と彼は、いつもケラケラふたりで笑って遊んでいた。

 ついぞ、けんかなどしたことがなかった。

 アンドレスの家に遊びに行っても、お兄ちゃんのデイビットがよくふたりと遊んでくれ、妹のアブリル(8歳)も加わって、仲良く遊んでいた。

 このときも、けんかをしたのを見たことがなかった。

 いつもそんなふうに仲良く遊んでいたので、当たり前に思っていたが、よくよく考えるとこれはすごいことだ。

 フランシスコの子どもたちは、いつどんなときに会っても、みんなニコニコあいさつしてくれ、私を抱きしめ、ほおにキスをしてくれた。

 別れるときも同様に、また会いましょうね、と私を抱きしめ、ほおにキスをしてくれた。

 彼らの心は、いつも安定しているように見えた。

 そして、こちらに愛をいっぱい注いでくれていたように思う。

 フランシスコも妻のパトリシアもあばあちゃんも、私の前で子どもたちのことを悪く言ったことがなかった。

 私が彼らの家で見たり聞いたりしたのは、

 「なんてかわいい私の息子、娘、あなたたちは私の誇りよ」

 「なんてかわいい私の孫、あなたたちは私の誇りよ」と子どもたちを抱きしめ、ほほにキスをする姿や、私の息子に、

 「あなたが来てくれると、家中が本当に幸せな気分になるのよ」と息子を抱きしめ、ほほにキスをする姿だった。

 彼らの子どもたちが、行いがよくて学校でほめられたり、成績がよかったりしたら、彼らは嬉しそうに私に話してくれた。

 それを聞いている子どもたちも、照れたり、恥ずかしがったりせずに、ニコニコと嬉しそうにしていた。

 子どもをほめている親も、ほめられている子どもも、なんだかとても幸せそうだった。それは、珍しいことではなく、フランシスコ家の大人たちの話題の中には、必ず子どもをほめる話が入っていた。

 ほめ方も、ほめている本人が心底それを誇りに思い、嬉しがっているのがこちらにも暖かく伝わってくるようものだった。

 我が家はしょっちゅうフランシスコ家に出入りしていのだが、本当に子どもたちがけんかをしたり、親やおばあちゃんが大声を出して、子どもたちを怒鳴ったりしたところを見たことがなかった。

 大人は、よその人がいるときは、怒鳴らないようにしようと思えばできるだろうが、子どもは、よその人がいるときはけんかをしないようにしようとするのは、これはかなり無理があると思う。

 だから、ここの兄妹はやっぱり本当に仲良しなんだと思う。

 あるとき、その話をパトリシアにすると、

 「特にお兄ちゃんのデイビットが素晴らしいの。あの子は本当にやさしい子で、下の子がちょっと悪いことをしても怒らないで、ちゃんと説明して彼らが納得してやめるように話をするのよ。彼を見ていると、私も見習わなくっちゃって思うのよ」

 と、これまた長男をほめた。

 やさしい親のもとに、やさしい子は育つ、やさしい家族のもとに、やさしい子は育つ、フランシスコ家にはしっかりそれを教えてもらった。

(次回に続く)

兵藤ゆき プロフィール

兵藤ゆき兵藤 ゆき(ひょうどう・ゆき)
 名古屋市出身。血液型O型。東京・名古屋・大阪で深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りに個性的なキャラクターでテレビ番組に登場し、その後エッセー、脚本、作詞、歌手、小説等ジャンルを超えて幅広く活躍。1996年に長男誕生後、ニューヨークに。
 主な著書に、(対談集)「頑張りのつぼ」(2005年7月 角川書店)…ニューヨークで活躍する日本人8人の方との書き下ろし対談集(宮本亜門・千住博・宮本やこ・野村尚宏・平久保仲人・河崎克彦・高橋克明・小池良介)、(翻訳本)「こどもを守る101の方法」(2006年7月 ビジネス社)などがある。

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