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ゆき姐の子育て応援エッセー

姉の思い(1)

2007年09月06日

 私たちが日本に完全帰国することを、日本に住む家族や友だちに連絡をすると、ちょっとあわてた人たちがいた。

 「えー、帰って来ちゃうのー? 私、まだニューヨーク(NY)に遊びに行ってないのに、困るゥー」

と言うのである。

 そんな人たちに、

 「いやー、ごめんね、そうだよねえ、遊びに来たいって言ってたもんねえ。でも、7月の中旬まではNYにいるから、それまでに来れば?」

と、のん気に答えたら、

 「じゃあ、行く!」

と即答してきたのが、私の姉。

 彼女は、15、6年前に、うちの夫がNYの大学のサマークラスを3カ月ほど取ったときに、私と一緒にNYにやって来たことがある。

 そのときは、私もただの観光客だったので、夫の授業がないときに彼にくっついて、街を見学させてもらったり、ナイトクルージングで、自由の女神を見に行ったりしたくらいで、たいしたことはしなかった。

 しかし今回は、私も10年半ほどNY暮らしをしたので、市内観光もしっかり姉にしてあげられそうだ。

 それに、息子や夫のお陰で、フランシスコ・ファミリー(前回参照)や、ジーン、ジュリア・ファミリー(「毎日の生活の中心」の回参照)のような、素晴らしい友だちもいっぱいできた。

 彼らに姉を紹介したら、きっと楽しいと思う。

 さっそく、その話を姉にすると、

 「あと、学校にも行って、彼の友だちに会ってみたいな」

 と言う。

 学校とは、うちの息子が通っていたNYのエレメンタリースクール(日本で言う小学校)のこと。

 日本に一時帰国するたびに、息子から彼のNYの友だちの話を聞いていた姉は、青年や大人になってしまってからの彼らではなく、まだ少年の彼らに会っておきたいと言うのだ。

 子ども時代は、本当にあっという間に過ぎて行ってしまう。

 日々成長して行く彼らに、ほんの2、3カ月会わないだけでも、ずいぶんと大きくなったような感じがする。

 生まれたばかりのときの、息子のぎゅっと握っていた小さな手は、今では、私とほとんど変わらない大きさになった。

 素晴らしい、と思う反面、ちょっと寂しい気もする。

 が、ずっと彼のそばにいた私は、その時々の彼が心に刻まれている。

 それは、実感として、しっかり刻まれている。

 彼の友だちの成長も間近で見させてもらい、同じように実感として刻まれている。

 この実感は、本当に宝だ。

 甥っ子の成長はしっかり見てきた姉だが、遠く離れたNYの彼の友だちの成長は、写真やビデオでしか見たことがない。

 それはなんとも残念だから、ちゃんと子ども時代の彼らを、実感として心の中に刻んでおきたい、という姉の思いもよくわかる。

 というわけで、その思いを実現すべく、彼女は急遽NYにやって来ることになった。

 ウキウキ気分の姉は、その話を彼女の友だちにした。

 と、彼女たちからこんな言葉が返ってきたのであった。

(次回に続く)

兵藤ゆき プロフィール

兵藤ゆき兵藤 ゆき(ひょうどう・ゆき)
 名古屋市出身。血液型O型。東京・名古屋・大阪で深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りに個性的なキャラクターでテレビ番組に登場し、その後エッセー、脚本、作詞、歌手、小説等ジャンルを超えて幅広く活躍。1996年に長男誕生後、ニューヨークに。
 主な著書に、(対談集)「頑張りのつぼ」(2005年7月 角川書店)…ニューヨークで活躍する日本人8人の方との書き下ろし対談集(宮本亜門・千住博・宮本やこ・野村尚宏・平久保仲人・河崎克彦・高橋克明・小池良介)、(翻訳本)「こどもを守る101の方法」(2006年7月 ビジネス社)などがある。

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