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ゆき姐の子育て応援エッセー

兄の本分

2007年10月25日

 なんと祐君、熱が出てしまったというではないか。(前回参照

 そうか、ニューヨーク(NY)に着いた次の日には、うちの息子の誕生会でアメリカ人の子どもたちに混じっても、ものともせず張り切っていたように見えたが、実は彼なりに緊張して、ここに来てどっと疲れが出てしまったのかもしれない。

 NYに来るにあたって、母親の京ちゃんに、心しておかなければならないことをたくさん話しておいた。

 NYは以前よりずいぶん安全になったが、それでも油断をしてはいけない。

 安全について親も子どももしっかり勉強しておかないと、楽しいはずの旅行が残念なことになってしまう場合もある。

 京ちゃんは、しっかり安全について子どもたちと話し合い、NYに行くまでにみんなで街に出て練習します、と力強く言っていた。

 実際、NYへ来るまでに、(休日に)人がいっぱい出るショッピング街などへ祐君、亮君兄弟を連れて行き、3人で真剣に安全について話し合い、安全な行動とはどういうことかの実践を重ねたのだそうだ。

 でも、「もし、迷子になったら、ではなく、NYでは絶対に迷子になってはいけない。だから、必ず親子はどこに行くにも手をつないでいること」と、話し合っても、弟の亮君は、ふっと手を離し、先に行ってしまうことが多々あったのだそうだ。

 そのつど、京ちゃんが亮君を注意する前に、祐君が亮君のところに走って行き、諭していたのだという。

 祐君はまだ小学校3年生。

 本人が街角の何かに気を取られ、ふっと手を離して先に行ってしまっても不思議ではない年頃だ。

 でも、そこはお兄ちゃん。

 弟を心配して、自分も気をつけて、と、NYに着いてからもちゃんとやっていた。

 NYの街を見ているというより、いつも亮君を見ている、と言ってもいいくらい、お兄ちゃんは弟を見ていた。

 ちょっと、疲れたのね。

 京ちゃん、祐君、亮君ファミリーにも、助っ人を頼んでおいた。

 「のぞみちゃん」という、とても子ども好きの優しい女性だ。

 彼女は、NYで活躍している和太鼓とタップダンスを組み合わせたパフォーマンスグループ、「鼓舞」のメンバー。

 実は私と息子も、ここの練習生で、2年ほど前から週1回マンハッタンの彼女たちの

稽古場で和太鼓を教えてもらっていた。

 今回、日本からご一行様がやってくることになり、アダルト組みとチャイルド組に助っ人を頼もうと思ったとき、チャイルド組は、ぜひのぞみちゃんにお願いしたかった。 彼女はうちの息子も太鼓判を押す、優しくって、子どもの目線できちんと物事を進めていってくれる女性だ。

 祐君、熱が出てしまい、残念ながらマンハッタンを走る2階建て観光バスに乗ることはできなくなってしまったが、熱が下がったらバスに乗ることも考えることにして、しばらく、ウィクリーマンションの部屋で休んでもらうことにした。

 亮君は、助っ人ののぞみちゃんについてもらって、2階建て観光バスに乗ることにした。

 ベッドにうつぶして、祐君、悔し涙を流している様子。

 やさしくって気がきくのぞみちゃんは、なんと、ひょっとして、子どもたちが疲れてしまって部屋で休憩することもあるかもしれないと、子ども向けの日本語アニメのビデオを持ってきてくれていた。

 さすがである。

 祐君にビデオを渡して、アダルト組ご一行様と、チャイルド組からは亮君とのぞみちゃんが参加して、私たちは2階建て観光バスで、マンハッタンの街見学へと繰り出していった。

(次回に続く)

兵藤ゆき プロフィール

兵藤ゆき兵藤 ゆき(ひょうどう・ゆき)
 名古屋市出身。血液型O型。東京・名古屋・大阪で深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りに個性的なキャラクターでテレビ番組に登場し、その後エッセー、脚本、作詞、歌手、小説等ジャンルを超えて幅広く活躍。1996年に長男誕生後、ニューヨークに。
 主な著書に、(対談集)「頑張りのつぼ」(2005年7月 角川書店)…ニューヨークで活躍する日本人8人の方との書き下ろし対談集(宮本亜門・千住博・宮本やこ・野村尚宏・平久保仲人・河崎克彦・高橋克明・小池良介)、(翻訳本)「こどもを守る101の方法」(2006年7月 ビジネス社)などがある。

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