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ゆき姐の子育て応援エッセー

あっぱれ! アメリカのパパ

2007年11月08日

 3時間ほどのマンハッタン2階建てバスツアーを切り上げ、ご一行様は一旦マンスリーマンションに戻った(前回参照)。

 「おもしろかったー」

 兄の祐君とお母さんの京ちゃんが待つ部屋に入ると、亮君は大声で言った。

 「よかったねえ」

 笑顔で迎える京ちゃんの後ろで、祐君もニコニコしている。

 「熱はどうなの?」と、聞くと、

 「どうやら下がったみたい。ご心配をおかけしました」と京ちゃん。

 それを聞いて一番喜んだのは亮君だ。

 「じゃあ、2階建てバスに一緒に乗れるねえ。2階建てバスはすごいんだよ。天井がないから信号機にぶつかりそうになったし、看板がこーんなに大きく見えたんだよー」と、大はしゃぎ。

 京ちゃんが言うには、祐君の熱は、風邪からというより、やはり疲れからくるものだったようだ。

 ただ、熱が下がったとはいえ、ここで無理をしてはいけない。

 午後からも、のぞみちゃんについていてもらい、祐君は亮君と一緒に部屋でビデオでも見ながらゆっくり過ごしてもらうことにした。

 その間、京ちゃんをニューヨーク(NY)見学&買い物に連れ出すことにした。

 子連れでの旅行は、お母さんの個人の時間はなかなか取れないことのほうが多いと思う。

 でも、せっかくNYに来ているのだから、京ちゃんも子ども抜きで楽しむ時間があってもいいというものだ。

 子どもが小さいうちは、お母さんの自由な時間が取れないのは重々承知しているとはいえ、息抜きの時間はとても大切だと思う。

 子育てに時間が取られ、自分のやりたいことができなくてイライラがつのり、しなくてもいい八つ当たりを子どもにしてしまうのは、両者にとっていいことではないのだから。

 NYに移り住んでまだ間もないある土曜日の午後、赤ちゃんだった息子を抱っこしてセントラルパークまで散歩に行くと、ブランコや滑り台など子ども用の遊具が設置してあるセントラルパーク内の小公園に、赤ちゃんを連れたパパと思(おぼ)しきアメリカ人の男性がいっぱい来ていたのには驚いた。

 その日に、何かパパと赤ちゃんの為のイベントが行われている様子でもなかった。

 ただ、普通に赤ちゃんを連れたパパたちがたくさんいたのだ。

 彼らは赤ちゃんのオムツをかえたり、ミルクを飲ませたり、よだれを拭いてあげたりと、赤ちゃんの世話を実に手際よくしていた。

 ブランコに乗せたり、一緒に滑り台を滑ったりと、赤ちゃんと遊ぶのも、実に楽しそうにやっていた。

 そして、ほかのパパたちとも、なんだかんだと話をしている。

 離婚率の高いアメリカだから、ひょっとしたらシングルファーザーもいたのかもしれない。

 でも彼らは、ママたちが日頃やっていることを、ただパパがやっているだけ、という感じで普通にやっていた。

 パパたちの中に入っていって、ちょっと聞いてみた。

 「今日は、ママはどうしているんですか?」

 すると、あるパパが言った。

 「美容院に行ってるんだよ」

 またあるパパは、

 「友だちと旅行だよ」

 そして、「家で寝てるよ」

 なんて言うパパもいた。

 「毎日子育てに大変なママの、土曜日は休日だからね」

 と続けたそのパパの言葉に、ほかのパパたちもニコニコしながらうなずいていた。

 あっぱれ、アメリカのパパ!

 という感じだった。

 さて、お母さん業から一時解き放たれ、NYの街をゆうゆうと闊歩(かっぽ)する京ちゃんは、なんだかいつもよりリラックスして見えたのは言うまでもない。

兵藤ゆき プロフィール

兵藤ゆき兵藤 ゆき(ひょうどう・ゆき)
 名古屋市出身。血液型O型。東京・名古屋・大阪で深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りに個性的なキャラクターでテレビ番組に登場し、その後エッセー、脚本、作詞、歌手、小説等ジャンルを超えて幅広く活躍。1996年に長男誕生後、ニューヨークに。
 主な著書に、(対談集)「頑張りのつぼ」(2005年7月 角川書店)…ニューヨークで活躍する日本人8人の方との書き下ろし対談集(宮本亜門・千住博・宮本やこ・野村尚宏・平久保仲人・河崎克彦・高橋克明・小池良介)、(翻訳本)「こどもを守る101の方法」(2006年7月 ビジネス社)などがある。

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