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ゆき姐の子育て応援エッセー

ご一行様 無事帰国

2007年12月06日

 とうとうご一行様が日本に帰る日になってしまった(前回参照)。

 ほんの一週間足らずのニューヨーク(NY)での日々だったが、何はともあれ、みんな無事に楽しく過ごせたことが何よりだった。

 とりわけ、小学校3年生の祐君と幼稚園年長の亮君に、何事もなくて本当に良かった。

 NYは随分治安が良くなったとはいえ、日本と比べたら、まだまだ危ない事が沢山起こっている街だ。

 日本の街中では、自転車が走っているのをよく見かける。

 駅やスーパーマーケットの前などにも、たくさん止めてある。

 これはNYにはない光景だ。

 残念ながらNYの街中に自転車を止めておくと、誰かに盗まれる危険性がとても高い。

 日本の商店街を歩いていると、お菓子だったり、果物だったり、洗剤だったりと、店の外に商品がたくさん並べられている。

 寝具屋の店の外にも、マットレス、布団、枕、手ぬぐいなどの小物などがずらりと並べられていたりする。

 これもNYではなかなか見かけない光景だ。

 残念ながらNYで店の外に商品を出しておくと、誰かがこっそり持っていってしまう恐れがある。

 日本に帰ってきて、息子と街中を歩いているとき、あちこちに止めてあるたくさんの自転車や、店の外に出してあるたくさんの商品を見るにつけ、

 「NYじゃあ、ありえなーい!」と二人で叫んでいる。

 先日、武蔵野市(東京都)の街中を息子と歩いていて、道の角に無人の露店を見つけた。

 あたりは畑と住宅が混在しているようなところで、人通りも車の往来もそこそこで、にぎやか、というほどでもないが、寂しいところではなかった。

 その無人の露店は、1メートル四方くらいの扉のない木の棚の中に、さといも、ほうれん草、たまねぎ、にんじん、だいこんなどが、かごに入れられて置いてあった。

 棚の上には、10センチ四方くらいの箱が置いてあり、「野菜、全部100円」と書いた紙が貼ってあった。

 時々人がやって来て、野菜を選び、箱の中にお金を入れていく。

 これも息子と私は、「NYじゃあ、ありえなーい!」と、顔を見合わせて叫んだ。

 NYの治安の悪さは、移民を多く受け入れてはいるが、彼らの生活を安定させる政策がうまくいっていなかったり、格差社会の広がりに歯止めが利かなくなっていたりする、アメリカの深刻な社会事情からきている面が多々ある。

 地下鉄に乗れば、お金を恵んで欲しいと紙コップを片手に回ってくるホームレスによく出会う。街角のそこここにも、ダンボール箱を住処にしたホームレスがいる。

 日本のファッション誌などで、NYの華やかな部分だけを見てNYにやってくると、このホームレスの存在はちょっとショックだったりする。

 でもそれもNYなのだ。

 祐君と亮君には、事前に重々安全についての勉強をしてきてもらったとはいえ、こんな事情のNYだから、慎重に行動してもらった。

 もちろんご一行様全員、楽しみながらも、慎重に行動することは常に心がけてもらった。

 お陰で、無事に帰国の途につける。

 「また、絶対NYに来たーい!」

 ご一行様は、そう言い残し、機上の人となったのであった。

(次回に続く)

兵藤ゆき プロフィール

兵藤ゆき兵藤 ゆき(ひょうどう・ゆき)
 名古屋市出身。血液型O型。東京・名古屋・大阪で深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りに個性的なキャラクターでテレビ番組に登場し、その後エッセー、脚本、作詞、歌手、小説等ジャンルを超えて幅広く活躍。1996年に長男誕生後、ニューヨークに。
 主な著書に、(対談集)「頑張りのつぼ」(2005年7月 角川書店)…ニューヨークで活躍する日本人8人の方との書き下ろし対談集(宮本亜門・千住博・宮本やこ・野村尚宏・平久保仲人・河崎克彦・高橋克明・小池良介)、(翻訳本)「こどもを守る101の方法」(2006年7月 ビジネス社)などがある。

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