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ペットがいるということ

2007年12月20日

  • 筆者 兵藤ゆき

 ニューヨーク(NY)に時折戻ってきても、それなりに生活ができるように、鍋、フライパン、包丁、食器などの最低限必要であろう台所用品や、寝具、テーブル、椅子などもアパートにそのまま残しておくことにした。

 ソファーやベッドなどの大物家具やテレビ、冷蔵庫、オーブンレンジなどの電化製品も、NYから送ればかなりの運賃がかかるので、それもそのまま残しておくことにした。

 だから、NYから日本に完全帰国、とはいうものの、なんだか引越し自体はそんなにたいそうな感じにはならなかった。

 NYに移り住んできたときも、夫が先に暮らしていたので、息子と自分の着る物をちょっと持って来たくらいで、ほとんど観光客の荷物という感じだった。

 結局、気楽な感じのNY行き帰りになったわけである。

 夫は荷物の送り出しやもろもろNYに残ってやらなければならないことがあったので、息子と私は夫より一足早く日本に帰ってきた。

 まずは名古屋の実家に戻る。

 実家には息子が欲しくてたまらなかった犬(柴犬とシェパードの雑種)、アチャがいる。

 NYの息子の友だちの中にも犬を飼っている子がたくさんいた。

 特にひとりっ子の場合は、たいてい犬を飼っていた。

 息子はそれをとても羨ましがり、自分も犬を欲しがった。

 が、夏休みと冬休み、長期間日本に帰って来ていたので、その間、犬をNYに残しておくのもかわいそうだし、かといって、毎回日本に一緒に連れて帰ってくるのは、犬には負担が大きすぎるということで、飼うのを我慢してもらっていたのだ。

 そのかわりといってはなんだが、名古屋の実家で、姉にお願いして犬を飼ってもらうことにしたのである。

 私が子どもの頃も、我が家には犬や猫がいつもいた。

 友だちからもらったり、拾ったりした犬たちも、捨て猫だったり迷い猫だったりで、我が家の子になった猫たちも、みんないい子だった。

 その愛らしい容姿と無邪気なしぐさ、そして、無償の愛で私たち家族を包んでくれる彼らがそばにいてくれるだけで幸せだった。

 父も母も動物が大好きだった。

 母はよく子猫をひざにのせ、歌いながら子猫を遊んでやっていた。

 父は姉が拾ってきたチンチラをとても可愛がり、彼女も父のそばを離れなかった。

 父が、「チエ」と名付けたそのチンチラは、姉が拾って来たときにはもう成猫だったのだが、前の飼い主に虐待でもされていたのか、人間には決して自分から近づこうとはしなかった。こちらが無理に近づこうものなら、ファーッ!と言いながら体中の毛を逆立て威嚇した。そして、いつも家の隅でじっとうずくまっているような猫だった。

 そんなチエを、父は根気良くなだめ、とうとう彼のひざの上で眠るまでにさせたのである。

 その父の優しさには本当に頭が下がった。

 ペットが家の中にいるということは、それだけで子どもに様々なことを教えてくれる。 日本に帰って来て真っ先にアチャに会いに行くと、いつも彼女は息子と私の前でワンワン吠えながらクルクル回り、体中で嬉しさを表現してくれる。

 今回も、そりゃもう大喜びで迎えてくれた。

 息子も本当に幸せそうにアチャを思いっきり抱きしめ、

「帰ってきたよー」と叫んでいたのであった。

(次回に続く)

兵藤ゆき プロフィール

兵藤ゆき

兵藤ゆき(ひょうどう・ゆき)

名古屋市出身。血液型O型。東京・名古屋・大阪で深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りに個性的なキャラクターでテレビ番組に登場し、その後エッセー、脚本、作詞、歌手、小説等ジャンルを超えて幅広く活躍。1996年に長男誕生後、ニューヨークにで11年余り生活。2007年に日本に帰国。

主な著書に、「子どもがのびのび育つ理由」(2008年4月 マガジンハウス)(対談集)「頑張りのつぼ」(05年7月 角川書店)…ニューヨークで活躍する日本人8人の方との書き下ろし対談集(宮本亜門・千住博・宮本やこ・野村尚宏・平久保仲人・河崎克彦・高橋克明・小池良介)、(翻訳本)「こどもを守る101の方法」(06年7月 ビジネス社)などがある。

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