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トピックス

朝日新聞×河合塾 共同調査「ひらく 日本の大学」

秋入学

全面秋入学に大学及び腰 「実現性ある」14%

東京大が本格検討している秋入学への全面移行(注)をめぐって、全国の大学のうち、自分の大学で「実現性がある」と考えているのは約14%にとどまることが朝日新聞社と河合塾の「ひらく 日本の大学」調査でわかった。「メリットがある」としたのも約16%。大学全体として移行に積極的とは言えず、小規模な大学ほど二の足を踏む傾向が見られた。

(注)秋入学への全面移行

東京大が1月、この先5年前後をめどに、秋入学への移行を目指すとする素案を公表。欧米などの大学と入学時期が合うため、学生の海外留学を促進できるなどのメリットを挙げた。議論を主導した浜田純一総長は「東大単独での実施は困難」として他大学の連携を求めており、5月に主要11大学と協議の場を設けた。

調査は、すべての国公私立大学計741校を対象に実施。611校から回答があった(回収率82%)。東大は回答しなかった。

自分の大学での全面移行の実現性について、「ある」と答えたのは13・8%だった。その割合を、1学年の学生定員数による規模別に見ると、3千人以上の大規模校では30・4%、千人未満の小規模校では9・8%で、大きな差が出た。逆に「実現しようと思わない」は全体で32・9%だが、大規模校で8・7%、小規模校では38・4%だった。「実現は困難」とする回答は全体で50・2%だった。

さらに、全面移行に「メリットがあると思う」と答えたのは16・1%。一方、「メリットは明らかでない」が60・3%を占め、「メリットがあるとは思わない」(21・3%)と合わせると、8割以上の大学が積極的な評価をしなかった。ただ、「メリットがある」と答えた割合も、大規模校では39・1%、小規模校では11・6%と差が出た。

各大学での検討状況も聞いた。「移行を前提に検討している」は1・2%、「前提を設けずに検討中」は25・7%あったが、7割以上が「検討していない」と答えた。また、大学の国際化のために優先すべき事項について、8項目から一つ選ぶ方式で尋ねた。最も多かったのは「留学プログラムの実施、拡充」で55・0%。「英語の授業を増やす」(17・4%)などが続き、秋入学への全面移行を挙げたのは1・4%だけで優先度が低かった。

※(注)秋入学への全面移行

東京大が1月、この先5年前後をめどに、秋入学への移行を目指すとする素案を公表。欧米などの大学と入学時期が合うため、学生の海外留学を促進できるなどのメリットを挙げた。議論を主導した浜田純一総長は「東大単独での実施は困難」として他大学の連携を求めており、5月に主要11大学と協議の場を設けた。

秋入学への全面移行は重要である

「導入するなら小中高も」 秋入学、大学に戸惑い

秋入学への全面移行について、東京大との協議に参加している11大学の回答
  実現性があると思うか メリットがあると思うか
北海道大 ある ある
東北大 明らかではない
筑波大 ある ある
早稲田大 ある 明らかではない
慶応大 困難 明らかではない
東京工業大 ある ある
一橋大
名古屋大 困難 明らかではない
京都大 困難 明らかではない
大阪大 ある ある
九州大 ある ある
(「―」はこの質問については無回答)

東京大が1月に秋入学への全面移行案を打ち出してから半年。朝日新聞社と河合塾の「ひらく 日本の大学」調査の結果からは、移行実現へ向けた盛り上がりは見られない。メリットを感じている大学でも、社会や他大学と足並みがそろわない限り実現困難とみていることが多いようだ。

「特に地方の小規模大学は先行移行できない」と指摘したのは新潟産業大。1学年の定員が160人の小規模校だ。春入学の大学に学生が流れる恐れがあることを理由に挙げた。「秋入学に移行しようと決めればできる」というが、「全大学が一斉に移行することが必要」という立場だ。
東大が「ギャップターム」と呼ぶ、春の高校卒業から秋入学までの約半年のずれの問題を指摘する意見が多かった。
神田外語大は「外国語を学ぶためには、高校卒業後すぐに開始した方が効果的」。広島国際学院大は「就職戦線への参加時期のずれで、内定率に悪影響を与える可能性がある」と問題点を挙げた。
関西学院大は、秋入学移行のメリットは「ある」と答えたが、導入は検討していない。「小学校から高校、就職も含めた社会全体の制度変更を行う必要がある」と問題提起する。
ギャップタームを有効活用する上での負担増への懸念も。下関市立大は「学生の経済的負担も大きい」、名古屋大は「大学の持っている資源で対応するには限界がある」と指摘した。
自校だけ突出するのを避けたい意向も見える。
秋田大は「教員採用試験や医師国家試験などの社会制度が春に適応しているので実現は困難」と考える一方で「他大学が全般的に移行するのであれば、考えなければいけない」。北見工業大は「周りの状況を見ながら、その都度、検討、対応する」とした。

東大内、残る異論 他大との協議も進まず

東大の全面移行案は、浜田純一総長が主導した。3年程度の告知期間を経た上で5年前後先の全面移行を想定するため、来年中には東大全体としての結論を出す必要がある。しかし、学内にも異論があり、意見をまとめ切れていない。

浜田総長は一方で、旧帝大や早慶など11大学に協議を呼びかけ、全面移行への課題などを検討する協議体「教育改革推進懇話会」が5月に設置された。しかし、総長・学長による会議は発足時の1回のみで、議論は進んでいない。11大学のスタンスもまちまちだ。今回の調査では、「移行を前提に検討している」と答えたのは、回答しなかった東大を除くと北海道大のみ。京都大は「検討していない」とした。

データ一覧(秋入学への全面移行の検討状況)