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トピックス

朝日新聞×河合塾 共同調査「ひらく 日本の大学」

今後の入学者選抜

推薦・AOから一般へ回帰

入試の方法は、今後どうなっていくのが望ましいか。各大学に聞いたところ、約6割が「一般入試を拡大の方向」と答えた。AO入試については、「拡大の方向」とした17%を上回る43%が「縮小の方向」と回答。推薦入試は「縮小」との回答が35%で、「拡大」とした30%より多かった。推薦、AO入試よりも、一般入試に回帰する傾向が読み取れる。一般入試については、大学の入学定員規模別にみると、規模が小さくなるほど「拡大」とする比率が高くなる傾向が見られた。

愛知工業大は、2012年度入試から、それまで全学部で実施していたAO入試をすべてやめた。ペーパーテストだけでは見いだせない力を見ようと導入し、3年間続けた。しかし、入学後の追跡調査の結果、AO入試による入学者が、授業についていくのに苦労する傾向が見られたという。

また、AO入試は審査に約2カ月かかることも負担になった。高校からは「AO入試は早く合格が決まるので、生徒は合格後の勉強が手につかなくなる」と聞いたという。

推薦入試については、同じ年から、一般推薦で出願できる評定平均値を3・3から3・4に上げた。数年前からは、面接に口頭試問も加えている。同大は「学生の質を重視し、入学した学生は責任を持って送り出したい。そのため、選抜方法は毎年見直している」という。

中部地方のある国立大は、一部のコースで14年度からAO入試や、センター試験を課さない推薦入試を廃止し、一般入試の募集人数を増やすことを決めた。推薦、AO入試で入学した学生の一部で基礎学力が足りなかったことや、学部によっては志願者が少なかったことが理由だ。

入試の方式を多様化することで、様々な能力や個性のある学生を受け入れようとしてきたが、高校の成績の評定平均値も高校によって基準が異なり、「基礎学力を適切に把握するのが難しい」という。

岐阜経済大は一般入試を「拡大」、推薦とAO入試は「縮小」が望ましいとした。その理由に「学力重視」を挙げる。「受験者数は横ばい」というが、同大では現在、推薦とAO入試による入学者が約半数を占めるという。学力以外の良い面を見られる長所がある推薦、AO入試を実際に縮小することは「なかなか難しい」と、具体的な検討までは至っていない。

文部科学省によると、AO入試を実施する大学はこの10年で増え、11年度入試では国立大の約6割、公立大の約3割、私立大の約8割にのぼった。しかし、その数は頭打ち。11年度には初めて、私立大の実施校が前年度の464校から463校に減った。私立大のAO入試による入学者数は、4万8654人と、前年より1330減り、公立大も537人で139人減っている。

今後の入学者選抜の在り方

センター試験は「現状維持」だが、教科学力以外の能力・適性を測る試験への期待も

大学入試センター試験(以下、センター試験)の在り方について5つの選択肢を設けた。

センター試験の内容や方法についての要望や考え

 「A.難易度」については、「現状のまま」が9割を超えた。「難しくする」は全体では4%だが、設置者別にみると、国立大12%、公立大5%、私立大2%と差が見られる。「B.教科・科目数」は77%が「現状のまま」だが、17%は「減らす」と回答している。「増やす」は全体では6%と少ないが、設置者別にみると、国立大では13%が「増やす」と回答しており、公立大(5%)、私立大(5%)と比べて高くなっている。

「C.複数回受験」については、「反対」が50%と、「賛成」(29%)を上回った。設置者別の差もみられない。出題内容・方法について学長の考えを聞いたが、その回答をみると、2012年度入試における「地歴・公民」の問題冊子配布ミス、リスニングテスト実施の煩雑さなどから、センター試験が「一発試験」であることに対する懸念はあっても、試験の実施・運営面からみて困難だと感じる学長が多いようだ。

 「D.教科学力以外の能力・適性を測る試験」の作成については、「作るべきだ」が49%と「作らなくてもよい」(34%)を上回った。また、「E.Dのような試験があった場合、採用を検討するか」は、「採用したい」「採用を検討」を合わせると78%となり、8割近い学長が、採用について前向きな回答をしている。設置者別にみると、国立大は「採用したい」「採用を検討」を合わせて84%となっており、国立大の学長の期待感が高くなっている。

出題方法・内容についての記述欄をみると、国公立大では、大学が求める人材についてアドミッション・ポリシー(入学者選抜方針)に基づき選抜するためには、センター試験だけでは困難と感じている学長が多かった。「現状、センター試験が1次選抜入試として資格試験的に運用されている実態を踏まえ、正式に大学入学資格試験として各大学でアドミッション・ポリシーに基づいた特色ある入試を行い、魅力的な人材を確保すべき」といった意見や、「センター試験を各大学の個別試験を補完するものとして位置づけた場合、現在のセンター試験にあたるものは全教科の達成度を測る試験の方が望ましい」といった意見が複数あった。

また、「D.教科学力以外の能力・適性を測る試験」については、「大学の個別試験で実施すればよい」という意見も多かったが、「センター試験に記述式の回答を期待する」意見や、「出題された題材(文章、図、グラフ等)について自ら得た知見や考えを、文章で表現する」といった内容を期待する意見も複数あった。また、「現在のセンター試験の内容は知識を問うものが多く、大学が今、社会から求められている課題発見、問題解決能力のある人材養成にはそぐわない」あるいは、「学生の論理的な思考力、ディスカッション力、記述力等の基礎能力の不足を招く原因となっている」「センター試験が『学ぶ力』を測る試験に対応する試験になっていないのではないかという危惧を持っている。センター試験は、大学入学のための資格試験となるような改革(方法・内容を含めて)が必要だと思う。今の入試に直結するシステムでは、現在の国際情勢に対応しうる人材は育たない」と指摘する意見もある。

学長の回答をみると、センター試験の位置付けは何か、大学が期待するような資格試験という位置付けにするのか。大学入学時に求められているものは何か。高校段階までの学習の達成度を測るのか、論理的思考力や大学での学びに必要な力なのか。何を基準に入学者を選抜するのかなどについて、本格的な検討を要する段階に来ているのではないか、ということが感じられる。

データ一覧(大学入試センター試験の内容や方法についての学長の考え)