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トピックス

朝日新聞×河合塾 共同調査「ひらく 日本の大学」

教育内容・仕組み

大学が全体として最も力を入れている(または特色ある)取り組みは何か。10項目のうち二つを選んでもらった。選択肢は、入学前教育▽初年次教育▽カリキュラムの体系化▽教育方法の改善▽成績評価の厳格化▽学修成果の把握▽教員の教育力向上▽キャリアガイダンス▽学生支援▽全学的な教育ガバナンスの強化。

その結果、初年次教育が最も割合が高く、2割を超えた。続いて、1割以上だったのが、キャリアガイダンス、学生支援、教育方法の改善、カリキュラムの体系化となった。学部任せでなく全学的に教育に取り組むことは最も低く2%だった。成績評価の厳格化や学修成果の把握、入学前教育も4%となった。

教育の取り組み(全学)
教育の取り組み(学部)

実施率が高い取り組みは学生支援、キャリアガイダンス初年次教育、教育方法の改善

学生の大学入学時の学力が低下していると言われている中、大学は知識基盤社会において解のない課題に対して取り組む人材の育成をめざすとともに、いかに大学教育の質を保証するかという課題に直面している。このような状況の中で、どのような教育に関する取り組みを行っているのかを聞いた。全学的に実施しているもの(全学版)、学部として実施しているもの(学部版)、それぞれの回答をみてみよう。

実施率が高い順に全学版では、「学生支援」(83%)、「キャリアガイダンス」(82%)、「初年次教育」(78%)。学部版では、「学生支援」(78%)が最も高いのは同じで、次いで「初年度教育」(75%)、「教育方法の改善」(74%)となった。

「キャリアガイダンス」は、2011 年度から義務化された影響もあり、実施率が高くなっている。

「初年次教育」の実施率の高さについては、高等教育のユニバーサル化に伴い、高校から大学への移行をスムーズにし、学生を大学教育に適応させ卒業させることが、大学にとって重要な課題であることを裏付けている。

「教育方法の改善」「教員の教育力向上」も実施率が高い。2012 年3月の中央教育審議会大学分科会大学教育部会審議まとめ「予測困難な時代において生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ」(以下、大学教育部会「審議まとめ」)にあるように、主体的に考える力を持った人材は、知識伝達型の講義中心の受動的な学修経験だけでは育成できない。大学の教育においても、教員と学生とが意思疎通を図りつつ、学生同士が切磋琢磨し、互いに成長する課題解決型の能動的学修(アクティブ・ラーニング)が期待されている。そのためには、従来の講義中心の教育方法を、双方向の講義、演習、実験、実習や実技等の授業を中心とした教育方法に変えていくことが求められている。そのことを反映した結果と言えよう。

「カリキュラムの体系化」とは、例えば授業科目の標準的な履修年次や履修順序などを明示する(コード化・ナンバリング)や、科目間の関係を示してカリキュラムの全体像を図示すること(カリキュラム・マップ)などである。何をどのように学べばよいのかを学生にわかりやすく提示するとともに、大学にとっても大学教育の中身を教員個人に任せるのではなく、大学や学部として学士課程プログラムを構築する「プログラムとしての学士課程教育」の実施が求められている。「カリキュラムの体系化」は「実施している」が全学版・学部版ともに7割を超え、「実施の方向で検討中」も14%と8%となっている。

一方で、これからの課題であるのが「成績評価の厳格化」と「学修成果の把握」である。「成績評価の厳格化」とは、例えばGPA制度を導入し、卒業判定や学修指導の基準として活用することである。

「学修成果の把握」は、大学教育の質、授業の質についてPDCA を行う上でも重要なものである。大学教育部会「審議まとめ」では、アセスメントテスト(学修成果の測定・把握のための調査)、学生の学びの行動調査、学修の評価基準(ルーブリック)の作成などが具体例として挙げられている。「成績評価の厳格化」と「学修成果の把握」は他の選択肢に比べてやや実施率が低い。なお、「学修成果の把握」は現段階では多様なものが想定されており、調査では具体的な例示を行っていない。実施率は5〜6割であり、学修成果の把握として具体的に挙げられている例はさまざまであったほか、内容が充実していくのはこれからの課題と回答する大学もあった。

全学版のみで聞いた「全学的な教育のガバナンス」は、「実施している」43%、「実施の方向で検討中」25%、「実施していない」17%と、実施率が最も低く、今後の課題であることが浮かび上がった。先に述べた「プログラムとしての学士課程教育」という概念が大学で定着しないのは、大学制度が大学や学部・学科、研究科という組織に立脚しており、「大学」として学士課程教育を考えにくい組織体制であるからという指摘がある。「全学的な教育ガバナンスの強化」をできるかが、今後大学として「プログラムとしての学士課程教育」を構築できるのかのポイントの1つとなるだろう。

また、これらの選択肢の中で、最も力を入れている、あるいは特色ある取り組みを、各大学と各学部に2つずつ挙げてもらい、取り組みの内容を書いてもらった。

最も力を入れている、あるいは特色ある取り組み

データ一覧(入学前の教育についての取り組み−全学での取り組み)
データ一覧(入学前の教育についての取り組み−学部での取り組み)
データ一覧(初年次教育についての取り組み−全学での取り組み)
データ一覧(初年次教育についての取り組み−学部での取り組み)