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いじめている君へ

できる方法で助けてあげて

スポーツジャーナリスト・増田明美さん

増田明美さん

 いじめられている人をみたら、勇気を持って助けてあげてください。いじめられている人が一番悲しいのは、自分を助けずに、ただ見ている人の眼(め)です。その眼は、いじめられている人の心の中いっぱいに広がり、深い悲しみの川の中へ沈めてしまうのです

 私は小4のころ、背が低くてぽっちゃりしていました。ある日、先生から作文をほめられ、気をよくしていると、突然クラスの男の子から「ちびデブ」という大きな声が。心につきささり、はずかしくて泣いてしまいました。しーんと静まり返った教室に、小さな笑い声が起こり、心が凍(こお)りつきました。それは、ののしる声以上につらかった。その時、同級生の女の子が「おおデブ!」とクラス中に響(ひび)き渡る声とともに、その男の子をにらみました。特に親友というわけでもない女の子のひと言はすごくうれしかった。心の中にやわらかな日がさしたような気持ちになりました。

 その男の子はそれから、その子のことも、ののしるようになりました。でも彼女はぜんぜん気にしない。そんな彼女を見て私は強くなれたような気がします。あのひと言がなければ、私は悲しい静かな空気の中でおぼれていたと思います。

 もしも川を流されている人に気づいたらあなたはどうしますか。助けに行くと自分もおぼれてしまう。飛び込むことができなくても、周りの人に聞こえるように大きな声で助けを求めたり、「大丈夫」と声をかけながら川岸を走ったりすることはできるはずです。

 いじめられている人をみたら、もしも自分だったら、と想像してみてください。そして自分ができる方法で助けてあげてください。

(朝日新聞2006年12月13日掲載)

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