現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. ライフ
  3. 教育


いじめている君へ

大人のまねはしないで

ジャーナリスト・むのたけじさん

むのたけじさん
 私は最近の小、中学生のみなさんと話し合ってみて、みなさんに共通する特徴(とくちょう)があることに気がつきました。

 話す相手の年齢(ねんれい)や社会的地位、お金もちか貧乏かなどに関係なく、対等の立場で向き合う。考え方がしっかりしていて、不確かなものはあてにしない。友達を大切にする。相手の気持ちを思いやる。もちろん友達の命の尊さを知っています。

 そんなすてきな素質(そしつ)をそなえたみなさんの姿を知ったとき、これは今までの日本人の歴史の中で、最高にすばらしい世代だとわかりました。

 今の大人たちを見ると、そうは思えないかもしれませんが、むかし、みなさんと同じ長所をもっていたときがありました。戦争に負けてから15年間ほどの時期です。

 古い考え方が通用しなくなって、みんなが一人の人間として向き合った。日本は負けるはずがないという思いこみがはずれたので、現実をしっかり見ようとした。生き残ったものどうし、みんなの命を大切にした。

 でも、大人たちは変わった。あのころの思いを忘れた。相手の年齢や地位で態度(たいど)を変えるいまの大人は、みなさんにとって、つめたい氷のように見えるでしょう。

 みなさんのまわりに、いじめがあるなら、それはみなさんが悪いのではない。あのすばらしい素質をすててしまった大人の責任(せきにん)です。友達を大切にするみなさんがつらい気持ちになったとき、安心して相談できる相手になれるよう、大人が気持ちをいれかえなければいけません。

 大人たちがどうあろうと、みなさんは、自分たちのよいところをつらぬいてください。それが大人たちを変える力になっていくでしょう。

(朝日新聞2006年11月27日掲載)

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介

[PR]注目情報