昔の「ガキ大将」になって
俳優・高見のっぽさん
君が一人で、一人の友だちと向き合うとき、その友だちを「好きだ」とか「嫌いだ」とか言うのは自由です。気が合わなかったら、けんかしたってよいと思います。でも、その一人に対して、君が大勢と一緒になって向き合っているときは、ぜったいに「嫌いだ」と言ってはいけません。それは、ひきょうです。
いじめがいけないのは、大勢で一人の友だちを傷つける、ひきょうなことだからです。
私が子どものころは、「ガキ大将」と呼ばれる子どもが、どの町にもいました。みんな、とても強い子どもでした。でも、いじめをするのとは、まるで違います。
ガキ大将は、けっして大勢で一人をたたいたり、悪口を言ったりしませんでした。もし、そんなことをしたら、まわりの「手下(てした)」に信用されなくなりました。
みんな、ひきょうなことが、大嫌いだったからです。ガキ大将は、友だちにたいする優しさを、どこかに持っていました。
それが、いまはちがってしまっているようですね。でも、それは君だけの問題ではないのです。いまは大人も子どもも、そんな気持ちをなくしたようです。
お金もうけのためには、何をしてもよいと考えている人たちがいます。でも、世の中には、お金もうけがへたな人たちもいるということを考えていれば、自分はどんなにもうけたかを大声で自慢(じまん)しないはずです。それが、もともと人間のもっている優しさというものなのですがね。
私は、君がひきょうなまま大人になってほしくありません。もし君が強い人なら、私が思うような、むかしのガキ大将になってくれませんか。
(朝日新聞2006年11月29日掲載)
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