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育児ファイル

絵本に遊ぶ:1 「じいじ」と孫の不思議空間 飫肥糺

2007年09月16日

 7歳の孫と過ごす時間は無条件に楽しい。何事か機関銃のようにまくしたてる孫。とてもおしゃべりに追いつけないが一言二言ぼくも口をはさむ。「どうだい、学校は?」とか、「友だちできたかい」とか、じいさんの言はありきたりで芸がない。こんなちぐはぐ会話でも結構ぼくは楽しめるのである。

 多くは戸外へ飛び出し公園で遊ぶ。駆けまわる孫の体力には広がる自然が相手となる。自然はときに孫の好奇心を満たす「本」ともなる。自然が孫の「本」となるなら、年かさのぼくは恥ずかしながら「絵本」に遊ぶ。で、ときに「絵本」がふたりをつなぐ。

 ぶっとびそうなノンセンス話「超じいちゃん」(光村教育図書)を声に出して読む。主人公は93歳。よれよれのじいさんで寝込んでいるが、孫娘の作ったジュースを飲むと大変身、すっくと起きだし走るは走る。軽快にも屋根から屋根へヒョイヒョイと……。

 ばかばかしい話だが愉快でもある。そこに聞き耳を立てた孫が「じいじ、何だよ。その絵本?」と、ひざに割り込むではないか。「もう一回、読んで」と迫るのはうれしいけれど、「じいじもジュースを飲めば」ときては、気遣いにうれしくもあり情けなくもあり。孫の心をとらえたのだろうか、絵本はあっさりと奪われてしまう。ふたりの不思議な会話空間。ふんわりとして結構いい気分なのである。

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 おび・ただす エッセイスト。記者活動を経て長く書籍編集に携わる。著書に『たましいをゆさぶる絵本の世界』など。

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