近年は家庭のパソコンを通じて株式などの売買を毎日行う人も増えました。いま、株価の下落が大きな話題となっています。また、円高が加速して外貨預金などで痛手を被っている人も多くいるでしょう。まさにマネーゲームがお茶の間に広がっている印象です。
一方で、はじめはクレジットカードを上手に利用していたにもかかわらず、次第に借り入れを増やし、返済と借り入れを繰り返し、借金が増えやむなく破産に至る人も、この5年間で100万人に達しています。
お金は生活を楽しんだり、他人を喜ばせたりする魅力あふれる道具です。しかしながら、お金には、生活を危機に陥れたり、人間関係を険悪にしたりする魔力も潜んでいます。
私がこの連載のなかでお話したかったのは、子どもにお金の価値と有用性を肌で感じてもらうことです。お金は木になるものではありません。一生懸命働いてこそ得られるもの。社会にはさまざまな職業があり、人はいずれかの仕事につくことで収入を得ます。町のお店をのぞいてどんな仕事をしているのか観察してみましょう。おこづかいをくれる祖父母は、働き続けた結果として手にしている年金がおもな生活の原資です。大人は、小さい子どもにもわかる範囲で話してあげてください。
この数年、金融教育(金銭教育)や消費者教育へのニーズが高まっています。食品偽装、製品事故、悪質商法の被害も多発しています。お金を通して世の中を知ること考えることは、小さな市民としての最初の一歩なのです。
(横浜国立大学教授)