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自然に触れる:1 心育む「命」への驚き 杉原五雄

2008年2月10日

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 「えっ、本当にあのドングリから出てきたの?」。東京都渋谷区で小学校の校長をしていた8年前、古びた給食トレーに盛った培養土から顔を出したコナラの芽を見せた時の子どもたちの反応です。

 ドングリは、遊んだり図工の素材にしたりした後は捨てるだけの存在で、硬い殻を破って命が誕生するなど思いもよらなかったに違いありません。私自身も小さな芽がこんなに子どもの心を打つとは、その瞬間まで想像もしませんでした。

 約250人の全校児童が代わる代わる「ドングリの誕生祝い」に集まり、目を輝かせています。「ドングリはもうないですか」と、自分でやってみたいという子も出てきました。

 理科の授業でもアサガオなどの発芽を観察しますが、教科書を使った知識の押し売りのような学習では決して得られない素直な驚きや感動を自然界で拾ったドングリが与えたようです。

 子どもの将来を思うあまり、よい点をとることが大事と思う親も多いようです。しかし、それでは世間の「常識」とか「当たり前」という言葉で縛られ、自然に触れた子どもが発するメッセージを見逃しがちです。

 大人が当たり前と思っていることも、子どもたちの目は違うことを発見します。自然は驚きがいっぱい詰まっている「宝の山」なのです。驚きが興味や関心に発展し、命の大切さを思う心として育まれていくのです。

    ◇

 すぎはら・いつお 自然体験塾主宰。4年前まで36年間、東京の小学校に勤務。著書に「どんぐり校長の自然塾」など。

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