現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. 教育
  4. 子育て
  5. 育児ファイル
  6. 記事

自然に触れる:2 「育てる心」を育てる 杉原五雄

2008年2月17日

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 このエントリをYahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 東京都渋谷区で小学校長をしていた8年前から今もその小学校で続いているのが、「ドングリの森」づくりです。

 遊び道具や図工の素材でしかなかったドングリが芽を出したことに驚く児童らの姿を見て浮かんだアイデアです。自分の手で何かを育てることの大事さを知って欲しいと思ったのです。

 森のある場所は、長野県南部の飯田市を一望する丘の上です。学校で40センチほどの丈に育てたドングリの苗をたずさえ、6年生が毎秋、泊まり込みで地元の農家から提供された土地に植えていくのです。

 終わったら、近くで拾ったドングリ(クヌギ)を東京に持ち帰って学校で発芽させ、卒業時に次の学年に譲り渡します。新6年生はその苗を半年育てて信州へ、という具合です。

 数年たつと最初に植えたドングリはかなりの大きさに。現地へ出かけた6年生たちは「大きくなってね」の思いを込めて植樹をしながら、その隣で先輩たちが植えたクヌギを見て、「えっ、もうこの枝にドングリがなっている」と驚きます。そんな声を聞くのは楽しいものです。

 苗を植えて、急に心が豊かになるわけではないし、森なんてつくってどうするのと思う人も多いでしょう。でも、お金さえ出せば何でも手に入る時代だからこそ、自分の手で何かを作り上げる意味は大きいのです。森づくりの夢が子どもの心に喜びの灯をともしたのは確かです。

 子どもから子どもへ「命の受け渡し」で大きくなる「ドングリの森」も500本近くに。「いつか現地で会えることを楽しみにしています」。そんな卒業生の年賀状が毎年、我が家に届きます。

 (自然体験塾主宰)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内

[PR]注目情報

ここから広告です

広告終わり