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自然に触れる:3 繭いただき知る命の大切さ 杉原五雄

2008年2月24日

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 繭(まゆ)を見たことがありますか。蚕が吐き出した糸で作られたそれは一般に、長径が3センチほどの楕円(だえん)形をしています。

 「かわいそう」。生糸は繭を煮て取り出すので、中のサナギを殺すことになります。理科や総合の授業で、この作業をしようとすると子どもたちが必ず叫ぶ言葉です。その声に押されて学習が止まってしまう風景をよく見かけます。でも、本当に「かわいそう」の一言でストップしていいのでしょうか。

 人間は食べ物や服を手に入れるため、家畜など他の生き物の命を大量に奪っています。蚕も同じです。繭から引いた生糸で衣服が出来るおかげで今日の私たちが存在できるのです。そのことに無関心な人が多いのが気になります。

 ペットとは違うことを教えるのは大人の役目です。自分が育てた「特別の命」であっても、その命をいただかなければ衣服はできません。

 一見残酷に思える「命を絶つ」という行為を経験し、心のかっとうを乗り越えて初めて命の存在に気づくのです。それによって、命の大切さを発見できると言ってよいと思います。

 以前はほとんどの小学校で蚕の学習がありましたが、最近は教科書の隅っこに追いやられているようです。でも、桑の葉さえ与えればどんどん大きくなり、約1カ月で繭を作ります。その様子は神秘的で、大人でも興奮してしまいます。

 画面の中で虫を育てるゲームもありますが、それはバーチャル(仮想)体験。決して自然への興味は深まりません。だから私は毎年、子どもたちと蚕を飼ってたくさんの繭をいただくのです。

(自然体験塾主宰)

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