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新テストで「学力」チェック

「COMPASS」に取り組む子どもたち=東京都大田区立入新井第一小学校で
「COMPASS」に取り組む子どもたち=東京都大田区立入新井第一小学校で

 子どもの学力が低下しているという指摘が重なる中で、新しいタイプのテストの開発が続いている。今月相次いで発表された国際学力調査や、文部科学省の調査が、子どもの成績を通じて教育政策を検証するためのものなら、新テストは子どもがどこでつまずいているかを調べ、学習に生かすためのもの。問題を解くプロセスに注目しているのが特徴だ。

◆COMPASS どこでつまずくか

 JR大森駅に近い東京都大田区立入新井第一小学校。20日、5年生がテストに取り組んだ。

 「算数・数学力構成要素型診断テスト(COMPASS)」という。東京大学大学院「基礎学力研究開発センター」が、文科省の「21世紀COEプログラム」の研究の一環として開発した。

 子どもは、課題ごとに決まった時間で解く。

 「普通の試験のように全部の問題を一度に解くと、白紙の時、時間不足でやらなかったのか、考えたのに解けなかったのかわからない」と開発責任者の市川伸一教授。

 特徴は実施方法だけではない。「数と式」「図形」などの内容ではなく、問題を解くプロセスに注目した点にある。

 子どもたちがどこでつまずくかを診断するため、設問はプロセスを分解してつくってある。用語の定義とその具体例を書かせる▽表やグラフを完成させる▽消しゴムを使わずに文章題を解かせ、図表の使い方を見る▽計算を工夫して素早く解かせるなどいろいろだ。アンケートでは、予習・復習などの日常の学習のしかたや「問題文に線を引く」などの解き方の工夫を尋ねた。

 たとえば「関数が苦手」と一口でいっても、どの段階が弱いかで対策が変わる。市川教授が小中高校生の学習相談活動を10年余り重ねて感じたのは、そのことだった。

 試作版をこの3月、首都圏の小学5・中学2年の計約500人に実施。その改訂版を今月から1月にかけて約600人に解いてもらっている。

 「教科書をしっかり読まないためか、用語の理解が不確か。図や表を自発的に書かない、計算で工夫をしないなどの子が多いことが改めて見えてくる」と市川教授。「子ども一人ひとりに結果と助言を返している。教員の授業改善のヒントにもなるはずだ」と語る。

◆PA 思考過程まるごとみる

 紙いっぱいに絵が、図が、数字が書いてある。「一つとして同じ答案がない。読んでいると一人ひとりの子と対話しているよう」と京都大学高等教育研究開発推進センターの松下佳代教授。

 松下教授はお茶の水女子大の「21世紀COEプログラム」で算数・数学学力調査のリーダーを務める。そのなかで普通のテストとともに行ったのが「パフォーマンスアセスメント(PA)」だ。

 PAは欧米で広がっている評価法で、問題を解く過程を式や言葉、絵など多様な方法で表現させる。COMPASSがプロセスを分解して問題をつくるのに対し、PAは思考過程をまるごと見ようとする。「演技や演奏(パフォーマンス)の評価に似ている」と松下教授。正解でも考える筋道のたどれない答案と、誤答でも筋道が見える答案では、後者の方が得点が高くなる場合もある。

 設問は日常的な場面を使った物語仕立て。小学校6年生の問題だと、骨子はこんなふうになる。

 〈子ども会のハイキングでゆう子さんのグループは3キロ、あきお君のグループは5キロのコースを歩くことになった。10時に分かれ、ゆう子さんのグループは11時に目的地に着いた。あきお君のグループはその30分後に到着した。2人はどちらが速く歩いたかでもめている。どう考えるか〉

 この考え方を20分かけてB4の紙1枚に表現する。

 答案評価の物差しは速さの概念がわかっているか、絵や図も使ってどう説明できているかなどの採点基準だ。採点しながら基準を検討、改訂してまた採点し直すだけに手がかかる。「作業は大変だが、教師に学力を把握する力がつくと思う」と松下教授。「数学の評価は客観的で点数化しやすいものに偏りがちだが、PAはそんな学力のとらえ直しを迫る」と話す。

 予備調査は昨夏で、小学3・6、中学3年生549人が回答。本調査は10月から今年3月、小学3・6、中学3、高校3年生計約4000人が答えた。

 プロジェクト全体のリーダーであるお茶の水女子大の耳塚寛明教授が普通のテストとPAの得点を分析したところ、普通のテストの方が保護者の学歴や受験塾通塾の有無と強く結びついていた。「PAは家庭的に恵まれない子に福音をもたらす可能性がある」と耳塚教授。「文科省は全国学力調査を検討中だが、方法によって見える学力が違ってくる。どんな学力を評価するかから議論すべきだ」と語っている。

(12/27)








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