「すごーい」「食べたーい」――狛江市の市立狛江第6小学校で22日、本物の桜島ダイコンを使った「ダイコン授業」が行われた。児童も教師も、「初体験」の桜島ダイコンに目を輝かせた。
授業をしたのは3年2組の総合学習の時間。届いた桜島ダイコンは「世界一大きいダイコン」のギネス保持者である鹿児島市桜島白浜町、農業大野学さん(68)が「火山灰と格闘しながら育てた」ものだ。重さは約12キロ、長さは葉を含め約80センチ、胴回りは92センチあった。それでも例年より一回り小さいという。
授業では最初に地図や画像で鹿児島県の位置や桜島を確認。その後、担任の名久井千秋先生(30)が段ボールから実物を取り出すと、いっせいに歓声があがった。「なぜ大きく甘く育つんだと思いますか」。先生が質問した。何本もの手が挙がった。「葉っぱが大きいから」と男子児童。
「葉が大きいと、なぜダイコンが大きくなるの」。今度は少しためらいながら、「お日さまからたくさん栄養がとれるからじゃないかな」「正解です」。
ダイコンの葉はふさふさと、白い部分の倍以上ある。「大きいものだと葉は120枚もつくんだって」と先生。
昨年は、桜島の御岳の噴火活動が過去最高を記録。火山灰はダイコンの葉に降り積もり、成長を阻害した。大野さんら農家は毎日、葉から灰を落として回ったという。その灰も一緒に学校に届き、先生が説明した。子どもたちは紙の上に広げて、触ったりにおいをかいだりした。
関西や関東の市場に桜島ダイコンが出ることはほとんどない。重くて輸送コストが高すぎるのだ。その桜島ダイコンを同小に紹介したのは、多摩川を舞台に自然体験活動に取り組む「狛江水辺の楽校(がっこう)」の副代表、竹本久志さん(59)だ。
狛江第六小では、2カ月に一度は自然体験授業がある。近くの多摩川の河川敷で竹本さんたちが講師となり、虫採りや魚採り、川のゴミ拾いなどを教えている。地元農家の畑で、ダイコンやサツマイモなどの収穫もある。
竹本さんによると、以前、世田谷区の小学校で、各地のダイコンを取り寄せて調べる学習があった。「その時の関係者から話を聞いて、狛江市でもやりたいな、と」。学校に持ちかけ、狛江市の複数の小学校でダイコン授業を始めたのは2006年。いつも最後は子どもたちに食べてもらっているという。
「手で実物を触ったり、においをかいだりすることは、図鑑で見る学習とは全く違う。生きた体験を子ども時代にできるだけ積んでもらいたい。桜島ダイコンや火山灰のことは、子どもたちの記憶に長く残っていくのではないでしょうか」と竹本さんは話している。(斎藤智子)