2014年春の卒業予定者を対象にした企業の採用活動が1日から解禁になる。内定率は改善傾向にあるが、厳しい雇用情勢が続き、過酷な働き方を強いられるケースが後を絶たない。埼玉労働局は学生に労働法を知ってもらうため、出前講座を始めた。「ブラック企業」を見分けてもらう狙いもある。
駿河台大(飯能市)で11月27日、講座「知って役立つ労働法」が開かれた。労働局の担当者が労働契約のルールを説明し、3、4年生ら200人が聴き入った。大学の担当者は「働く際に身を守るための基礎知識を学生に身につけてもらいたい」と話す。こうした講座は1月中旬まで県内の6大学で開かれる。
労働局が30日に発表した、県内の大学を来春卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日時点)は、前年より8.1ポイント高い38.2%で2年続けて改善した。
今春の卒業時には82.1%まで改善しており、これから就職先が決まる学生も多いとみられる。採用を控えていた企業が求人を増やしたことや、大企業志向が強かった学生が地元の中小企業にも目を向けるようになったことなどが理由という。
ただ、就職活動をする学生を支援するために大学が内定状況を詳しく把握するようになったことも寄与したとみられ、「内定率は大幅に改善したが、雇用情勢は依然として厳しい」(労働局)という。
県内の私立大の就職支援担当者は「就職が決まらない状況が長引くと、焦って『内定が欲しい』という気持ちが強まり、少々のことは我慢をしてしまいがちになる」と話す。
若者の労働相談などに取り組むNPO法人「POSSE」(東京)によると、就職後、低賃金で休みがない▽ノルマが過酷▽パワーハラスメントの常態化――などでうつ病を患ったという訴えが増えている。「内定先にブラック企業といううわさがあり心配だ」という相談も目立つという。
代表の今野晴貴さんは「内定率を上げるため、離職率が高い企業への就職に目をつむったり、雇用条件について詳しく尋ねるべきでない、と指導したりする大学もある」と指摘。「過酷な労働環境から身を守るために労働法などの知識を身につけるべきだ」と話す。(小室浩幸)
■ブラック企業を見極めるポイント
大量に募集……企業規模に対して募集人数が多い場合、離職率が高く、辞めるのを見越して採用している可能性も
若手が中心……社員の平均年齢が低く、平均勤続年数が短い場合、過酷な職場で長く働き続けられない環境のことも
処遇を誇張……初任給が高い場合、基本給でなく長時間の残業代を含む場合も。「○○万円可能」の表現にも注意
<今野さんの著書「ブラック企業」(文春新書)などをもとに構成>