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特集:家族で学びあうファミリーフォーカス

 ここでは五感を使って記事を探し、その探した記事を手がかりに、体験したり調べたりしてみましょう。五感で楽しむ新聞めぐりをしてみませんか。

 次のような記事がありました。

緑の中で散策を楽しむ人たち=東京都渋谷区の明治神宮で 緑の中で散策を楽しむ人たち=東京都渋谷区の明治神宮で

■森林浴を調べてみました 五感を癒やす緑の効果

 夏は森林浴に最も効果的な季節です。緑の中を歩くだけで、日々のストレスが癒やされます。林野庁が森林浴という言葉を打ち出して22年。科学的にも、癒やしの仕組みが少しずつ解明されています。森林が持つ不思議なパワーについて調べてみました。(岡崎明子)

 7月上旬、東京都渋谷区の明治神宮の森を訪ねた。林野庁と緑の文明学会が86年に選んだ「森林浴の森100選」の一つ。この森に20年間通う森林インストラクター米澤邦昌さん(73)に案内を頼んだ。

 森に入った途端、車や人のざわめき音がスッと消えた。代わりに聞こえるのは、サワサワと木の間を風が通る音。気温が30度を超えているのに、涼しい。

 「これ、何かのにおいに似ていませんか」と、米澤さんがクスノキの葉を差し出した。樟脳(しょうのう)のにおいだ。約17万本の木が茂っている森の中は、独特のにおいに満ちている。

 森にはなぜ、癒やし効果があるのだろうか。

 重要な要素が、樹木の葉や幹から発散される芳香性物質フィトンチッドだ。アロマテラピーに使われる精油もこの一種で、殺菌や殺虫作用がある。森の中は揮発性のフィトンチッドで満ちている。

 「なぜフィトンチッドが体にいいのか、その仕組みはよくわかっていない。ただ、疲れやストレスが取れ、安らぐ作用のあることがだんだんわかってきました」

 東京大の谷田貝(やたがい)光克教授(天然物有機化学)は、揮発性フィトンチッドの主な成分であるテルペンの変動を調べた。7〜8月が最大で、冬に比べると5〜10倍多い。1日のうちでは午前中から正午にかけての濃度が最も高かった。

 小田急電鉄(東京)は4年前から、6〜9月の間、通勤電車の偶数車両でフィトンチッドの一種であるローズマリーとラベンダーの香りを流している。同社のピーク時の乗車率は188%。「少しでもリラックスして頂きたいのと、消臭効果を狙っています」と広報担当者は話す。

 森林浴の効果は、香りだけではない。「フィトンチッドばかりが注目されるが、森は五感を介して感じるもの」と、独立行政法人森林総合研究所の宮崎良文・生理活性チーム長は指摘する。

 宮崎さんは大学生13人を対象に、70インチの大画面に映したパリの森林風景と、日本の満開の桜の風景を90秒間見せた。パリの森林風景を見たときの方が、血圧が下がり、脳のヘモグロビン濃度が減少するなど脳活動が沈静化していることがわかった。

 さらに、木材と金属を常温と冷やした状態で触ってもらったところ、主観的には冷やした木材が最も不快感が高かったが、血圧は上がらず、木材は人間にストレスを与えないことが裏付けられた。

 こうした効果を医学的に研究しようと、林野庁は今年3月、森林セラピー研究会を発足させた。医療関係者や自治体の関係者らが参加し、森林療法が生理的・心理的にもたらす効果や、関連商品の開発などを目指している。

 林野庁は公募した20代の男女20人を対象に、岐阜市内の都市部を2.1キロ歩いた時と、岐阜県馬瀬村(現下呂市)の森林で同じ距離を歩いた時の前後の状態を比較した。

 その結果、(1)免疫機能の一種NK細胞の活性度は、都市部では統計的に意味のある差がなかったが、森林では37%から44%に上がった(2)ストレスホルモンの指標とされる血中のコルチゾールの量は、運動前でも都市部より森林にいる時の方が17%少ない――などがわかった。

 調査を担当した群馬県立医療短大の下村洋之助・教授(内分泌学)は「森林浴が体にいいことが確かめられた」と話している。

 日本の国土の3分の2は森林。少し足を延ばせば身近にある存在だ。気軽に森林浴を楽しもう。

 ◆詳しい成分は

 ハッカに含まれるメントールには鎮痛、清涼作用がある。ヒバやタイワンヒノキに含まれるヒノキチオールには抗菌作用、トドマツやエゾマツに含まれるボルネオールには眠気覚まし、ローソンヒノキに含まれるリモネンにはコレステロール系胆石溶解作用、クスノキに含まれるカンファーには清涼作用などがある。

 ◆もっと知るには

 森林浴の森100選一覧は、財団法人森林文化協会のホームページ(http://www.shinrinbunka.com/)の「データ集」に掲載されている。

 森林セラピーは、森林浴を健康回復や増進に役立てる活動。森林セラピー研究会のホームページ(http://www.ringyou.or.jp/mori-therapy/)には120年の歴史があるドイツの先進事例などが載っている。

(朝日新聞東京本社発行 04月7月27日付朝刊)

 

 また、山下柚実『五感生活術』(2002年、文春新書)という本があります。この本のなかで、山下さんは、「失われた嗅覚を再生する」「触覚の心地よさをさぐる」「経験で味覚は磨かれる」「音の風景を立ち上げる聴覚」「視覚世界を組み立てる」「眠った五感を呼び覚ます」という章立てをしています。

 自然や都市の中での体験を通して、五感を癒したり呼び覚ましたりすることが提起されています。では、五感を癒したり呼び覚ましたりすることに新聞は役立つことができるのでしょうか。筆者は役立つと考えています。さらに、新聞を読んで調べることに五感は大きな役割を果たすと考えています。

 ここでは、嗅ぐ・触れる・味わう・聴く・見るの五感を活用して、家族で新聞をどのように読んで、体験したり調べたりするか考えてみます。そのことが結果的に五感を癒したり呼び覚ましたりすることにつながればうれしいことです。家族で楽しんで試みてください。

 ◆五感を活用して記事を探し、体験したり調べたりする

 新聞は読むものという常識がありました。目で追うことが当たり前と考えられてきたのです。でも本当にそうでしょうか。写真や文章から、におい・触れる感じ・味わい・音などが感じられるでしょうし、そのような視点で記事を探し、体験したり調べたりすることも可能です。

 まず、五感を活用して記事を探してみましょう。そして、記事を手がかりに、五感を生かし体験したり調べたりしてみましょう。

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