現在位置:asahi.com>教育>NIE>ののちゃんの自由研究> 記事 ワシントン条約ってなあに?2007年07月28日 朝日NIEスクール ●野生生物の取引を制限する約束ごと かば焼き、うな丼(どん)、ひつまぶし……。日本人は昔からウナギが大好きな国民です。1年間に国内に出まわるウナギの量は約10万トン。ふつうのウナギは1匹200グラムぐらいですから、その数はざっと5億匹にのぼります。 最近は、このうち6割以上が中国で養殖(ようしょく)された輸入ものですが、ウナギは人の手で卵から育てるのが難(むずか)しく、養殖には天然(てんねん)の稚魚(ちぎょ)が欠かせません。中国では、この稚魚の1〜3割程度をフランスなどヨーロッパの国々から仕入れているのですが、どうやらとりすぎが原因で、稚魚の数が20〜30年前に比べて100分の1ほどに減り、このままだと絶滅(ぜつめつ)の心配すらあることが分かってきました。 そこで6月、世界の国々がオランダに集まって、稚魚の国際取引を制限することに決めました。そのルールが「ワシントン条約(じょうやく)」です。
●ゾウの牙やラン ウナギに限らず、ゾウの牙やトラの毛皮、野生のランなど高値で売り買いされる珍しい動植物は、とりすぎなどで数が減りがちです。ワシントン条約は、こうした野生生物の取引に歯止(はど)めをかける約束ごと。正式な名前は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」といい、73年に米国の首都(しゅと)ワシントンで交わされました。日本は80年に加わり、現在169カ国がほぼ2年ごとに国際会議を開いて、新たに守るべき生き物がいるかなどを話し合っています。 現在、条約で保護されているのは動物が約5千種、植物が約2万8千種。これらの野生生物は数の少なさなどによって3段階(だんかい)(〈1〉〜〈3〉)のリストに分類(ぶんるい)されています。 最も厳しく取引が制限されているのは、(1)すぐにも絶滅しそうな約900種(オランウータン、ジャイアントパンダ、トラ、アフリカゾウ、アカウミガメ、コンゴウインコ、サボテンやランの一部など)。研究(けんきゅう)や繁殖(はんしょく)などをのぞいて、商売目的での輸出入はかたく禁じられています。 次いで、(2)いまは大丈夫でも将来(しょうらい)絶滅のおそれがある約3万2500種(ホッキョクグマ、カメレオン、トリバネアゲハなど)、(3)国内で保護するのに他の国々の協力を求める約300種(カナダのセイウチなど)。いずれも商売で取引するには輸出国(ゆしゅつこく)の許可書(きょかしょ)などが必要です。ヨーロッパウナギの稚魚は、(2)に分類されています。 日本では、条約に違反すると罰金(ばっきん)刑や、監獄(かんごく)に入る懲役(ちょうえき)刑などに問われることがあります。 ワシントン条約のほかにも、渡(わた)り鳥のすみかを守るための「ラムサール条約」や、絶滅しそうな生き物を動物園や水族館で計画的に増やす「ズーストック計画」などの取り組みがあります。
●毎日100種が絶滅 それでも、毎日100種類近くの生き物が、この世から姿を消しているともいわれています。 なぜ、絶滅してしまうのでしょうか。環境問題(かんきょうもんだい)について相談や質問を受けている財団法人(ざいだんほうじん)・日本環境協会(東京都港区)は、次の四つを主な原因にあげます。(1)人間が必要以上に捕獲(ほかく)する、(2)開発などですみかやえさ場が減る、(3)気候や環境の変化に対応できない、(4)外国から持ち込まれた生き物(外来生物〈がいらいせいぶつ〉)に生存競争(せいぞんきょうそう)で敗れる。 ある生き物が絶滅すると、同じ地域にすむ他の生き物のバランス(生態系(せいたいけい))も崩(くず)れ、絶滅の波はさらに広がって人間にまで影響が及ぶことも少なくありません。野生生物をむやみに捕まえたり、外来生物のペットを捨てたりすることは絶対にやめましょう。(玉川透)
<調べてみよう!> ●日本ではどんな生き物がワシントン条約の対象になっているのかな ●最近絶滅してしまった生き物や、その原因について調べてみよう ●野生生物を守るために、どんな取り組みが行われているか調べよう
◆絶滅の原因 ●外来生物による圧力 ●不必要な捕獲 ●開発ですみかやエサがなくなる ●急激な気候変動 * ヨーロッパウナギの稚魚 70年代の1〜5%に減少 ヘサキリクガメ 85年、100〜400匹。さらに減少か カメレオン マダガスカルのロゼッタヒメカメレオンなど スローロリス サルの仲間。ペット人気で乱獲、減少 センザンコウ うろこに覆われたほ乳類で、主にアリを食べる。食肉、うろこを漢方薬にする地域も ケープペンギン 30年、少なくとも120万頭。78年、約10万頭 ワニ 皮革が装飾品などに。イリエワニなど サボテン 牡丹(ぼたん)属全種、兜丸(かぶとまる)など フンボルトペンギン 19世紀半ばごろから減少。野生では3000〜9000頭程度 アフリカゾウ 70年代、約120万頭。90年、約60万頭 トリバネアゲハ 30センチ近くの世界最大級のアレキサンドラトリバネアゲハなど ジャイアントパンダ 80年代、約1000頭。現在、約1600頭 シベリアトラ 98年360〜400頭余 オランウータン 90年、3万〜5万頭。年1000頭ずつ減少との報告も ラン パフィオペディルム属やフラグミペディウム属など アカウミガメ 日本の砂浜も産卵場に。剥製(はくせい)やペット用に捕獲も ホッキョクグマ 2万2000〜2万7000頭 コンゴウインコ 開発ですみかの森林が激減。スミレコンゴウインコなど オオカミ 12平方キロに1頭から、120平方キロに1頭まで生息密度に地域差 セイウチ 北極海周辺などに生息。カナダ産が条約の規制対象 (数字はいずれも推定数。国際自然保護連合〈IUCN〉や動物保護団体のサイトなどから) ののちゃんの自由研究 バックナンバー
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