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アフガンへ届け、思い出のランドセル メーカーが呼びかけ

新井美香さんと母親の里美さん
「何度も使ってほしい」という新井美香さん(写真手前)と母親の里美さん=神戸市で

全国から集まったランドセル
全国から集まったランドセル=東京都江東区の倉庫で

 卒業して使わなくなったランドセル、押し入れの奥に眠っていませんか。そんなランドセルをアフガニスタンの子どもたちに送ろうというメーカーの呼びかけに、全国から続々と思い出の品が集まっている。阪神大震災の後、見知らぬ人から届いた贈り物、幾度もの転校を共にした宝物……。第1便は6月中にも、海を越え子どもたちに届く予定だ。

 ●震災・転校…大切な宝物も

 屋根裏部屋にしまっていたランドセルを、神戸市立伊川谷中3年の新井美香さん(15)は久しぶりに引っ張り出した。腕を通してみると、まだ背負える。小学校の6年間使い通した。見知らぬ人からの大切なプレゼントだ。

 美香さんが小学校に入る3カ月前、阪神大震災で自宅が全焼した。暮らしていく場所さえ決まらず、母親の里美さん(38)らに入学準備を進める余裕はなかった。

 春が近づいたある日。里美さんが美香さんを保育園に迎えに行くと、園長先生から、「お預かりしたんです」と真っ赤なランドセルを手渡された。被災したことを聞いたカバン屋の人が置いていったという。

 「『この子は小学生になるんや。祝ってあげないかん』って、やっと思えたんです」と里美さん。「今度は、アフガンの子どもたちを励ましてあげてほしい」

 的場翔希(たつき)さん(12)は身長168センチ。広島市立梅林小の6年生の中でもかなり大きい方だ。母親の直子さん(38)は「もう窮屈なんじゃない?」と聞くが、友だちのほとんどがほかのカバンに替えても、「これがいい」とランドセルを使い続けている。

 父親の雅之さん(39)の転勤で、翔希さんは入学直前から計3回引っ越した。広島市から大阪府吹田市へ移り、そこで入学し、3年の秋に名古屋市へ。5年の冬、再び広島市に戻った。

 友だちと別れるのがつらい時もあった。ランドセルはどんな時も一緒だった。宝物としてずっととっておきたいと思ったが、「大切に使ってもらえるならその方がいい」。

 東京都町田市立鶴間小では、卒業式の後、卒業生と保護者、教諭らが集まり、ランドセルや文具を荷造りする。アフガンに送る企画を知り賛同した保護者と学校が呼びかけた。

 双子の息子が卒業する大継貴代美さん(41)は「小学校生活最後の思い出をみんなで作りたい」と話す。

 ●希望者3万人、まず1000個

 ランドセルを募集しているのは、人工皮革メーカーのクラレ。同社にはランドセルの購入者から毎年、数万通のアンケートが集まり、「捨てられない。何かに使えないか」という声も多かった。世界各地に学用品を送っているNGOジョイセフ(家族計画国際協力財団)から、アフガンの子どもたちは学用品を布きれに包んで登下校をしていると聞き、企画した。

 軍用の背嚢(はいのう)から生まれたランドセルは日本特有のもの。せっかく送っても使ってもらえないと困るので、アフガン東部ナンガハル州で活動する現地NGOに写真を送って、学校で使い方を説明してもらった。「雨や風にも強そう」「勉強の励みになる」「兄弟みんなで使いたい」と好評で、送られてきた希望者リストは3万人分を超えた。

 2月初めからインターネットなどで呼びかけたところ、全国から問い合わせが相次ぎ、これまでに約700個の提供の申し出があった。「反響の大きさに驚いている。4月中にまず1000個送り、状況を見て活動を広げていけるか検討したい」とクラレの担当者、山本恵一さん。

 輸送費用は1個当たり1800円程度で、配布までに約2カ月かかるという。

 輸送を担当するジョイセフの高橋秀行国際協力推進部長は、「送る側にとっても、ランドセルは思い出深い大切なもの。いい贈り物になる」と話している。

 ○作文・文具も募集

 募集しているのは、壊れていないランドセルと、ランドセルをめぐる思い出の作文(400字以内)。鉛筆やノート、クレヨンなど未使用の文具も受け付けている。作文のいくつかはアフガンで紹介する予定。

 申し込みは往復はがきで、〒151・0051 東京都渋谷区千駄ケ谷3の3の13の3B 株式会社デジタルライズ「ランドセルは海を越えて」係へ。31日必着。問い合わせは同社(03・3746・6655、午前10時〜午後6時)。ホームページは(http://www.omoide-randoseru.com

(朝日新聞東京本社発行 3月3日付朝刊)


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