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初輸出新幹線、軌道乗るか 台湾で試験走行3カ月遅れ

2005年02月11日

昨年5月、台湾・高雄港に陸揚げされた台湾新幹線。東海道・山陽新幹線の「のぞみ700系」の鼻を短くした「700T型」車両だ

昨年5月、台湾・高雄港に陸揚げされた台湾新幹線。東海道・山陽新幹線の「のぞみ700系」の鼻を短くした「700T型」車両だ

 日本が世界に誇る新幹線技術の「初輸出」となった台湾高速鉄道(台湾新幹線)の試験走行が、予定より3カ月遅れて27日、台湾南部で始まった。当初、欧州連合が受注し、途中で日本のシステムが逆転する形で採用された「日欧混在システム」。意思疎通の難しさもあって「10月開業」を目指す工事は遅れ、安全性の面で懸念の声も出ているが、中国大陸やアジアへの新幹線輸出に向けた「試金石」として日本側の期待は大きい。(台北=永持裕紀、後藤絵里)

 白とオレンジのツートンカラーの目立つ車体が、時速30キロで台南駅に滑り込んできた。事業の中心役、台湾高鉄の殷キ(インチー)会長が、駅内に集まった台湾や日本の要人を前に「10月に開業する目標は変わらない」。予定通りの開業は難しいという見方をうち消した。

 とはいえ、試験区間への通電は2日前。この日の試験にようやく間に合った。車両、信号など日本の企業連合が請け負う中心システムの進捗(しんちょく)率はまだ全体の4割を下回る。

 「5回も6回も設計図面を出しても(台湾高鉄の)OKが出ない」。日本の技術陣は嘆く。車両や信号、通信設備などの承認基準は、欧州の高速鉄道に沿ったもの。チェックするのは、台湾高鉄に雇われた仏国鉄経験者など欧州人が中心だ。

 運行や通信方法なども、欧州人スタッフの意向が取り入れられた(「台湾新幹線の欧州の影響」参照)。設計は難航。建設は大幅に遅れた。

 「欧州の影響」が残ったのは、台湾に高速鉄道構想が現れた90年代前半にフランスが先行、ドイツと組んでの欧州連合で請け負うことが97年に決まった経緯からだ。99年秋、死者2千人を超えた大地震で「地震にも強い日本の新幹線」への世論の関心が高まり、欧州よりコストも安い日本勢が逆転受注した。

 欧州勢は多額の損害賠償を求めた。当時、世界貿易機関(WTO)加盟を控えていた台湾は欧州の支持も必要とした。こうした諸要素が生んだ「日欧混在システム」(台湾メディア)の上に台湾新幹線は建設されている。

 試験走行開始で、その安全性を検討すべきだという声は高まりそうだ。

 殷会長は27日、「混在」について「日欧の良い所を採ったベストミックス」とかわした。だがゼネコン経営者2世の殷会長ら台湾高鉄に鉄道事業経験者は少ない。

 「東海道新幹線も64年の開業後1年間はゆっくり走るならし運転をした。鉄道には『なじみ』や調整が必要だ」。「新幹線生みの親」とされる故・島秀雄氏の次男で自らも新幹線設計に携わった島隆氏(台湾高鉄顧問)は、日欧混在という難しい条件で進む建設工事の「拙速」を戒めている。

 ○アジア進出の「試金石」

 新幹線技術を将来、中国大陸やアジアなどに輸出したい国土交通省にとって、台湾新幹線は「今後市場に出ていけるかどうかの試金石」(洞駿<ほらはやお>・国土交通審議官)だ。システム混在などの難しさも、海外展開を視野に今後予想される文化や風土の違いを考えれば、「日本のシステムを100%採用するのはまれ。海外の輸出事業にはつきもののことだ」(森下保寿・技術審議官)と冷静に受け止めている。

 日本側には、昨年、全土に高速鉄道網を敷く中長期計画を策定した中国への関心が高い。中国には鉄道建設の実績があり、独自技術へのこだわりも強い。独力で補えない部分を外国から導入する姿勢で、台湾以上に「技術の寄せ集め」となる可能性もある。このため、台湾で課題を乗り越えて安全な新幹線づくりを目指すことが国交省の「命題」だ。

 ただ工期の遅れについては今月初め、台湾交通部の幹部と協議した鉄道局の大野正人・車両工業企画室長も台湾側から尋ねられ、「各社とも社運を賭けているから心配ない。むしろ開業までの準備が大切」と逆にソフト面の準備の念を押した。運転手の養成や職員訓練などの準備状況は外から見えないためだ。

 すでに、台湾側の求めに応じ、鉄道事業法などの法令類や、昨春の九州新幹線(新八代−鹿児島中央)開業時に行った準備作業を説明した資料などを提供している。

 ■台湾高速鉄道建設の経緯

 1992年 6月 台湾当局が建設計画策定

   97年 9月 欧州連合の建設受注が事実上決まる

   99年 9月 台湾大地震

      12月 車両・信号など中心システムに日本の新幹線方式を採用

 2000年 3月 土木工事開始

   01年 1月 契約変更の補償(8億ドル)を求め、欧州連合が国際商業会議所に仲裁を申請

 ■台湾新幹線の欧州の影響

 ○運行方式

 <台湾> 一本の軌道で双方向の運転可能(フランスと同じ)

 <日本> 一方向のみ

 ○通信システム

 <台湾> 無線方式(欧州鉄道網と同じ)

 <日本> 線路の横の同軸ケーブルを使った有線方式

 ○軌道

 <台湾> 駅前後のポイントは鋼鉄(ドイツ製のため)

 <日本> ポイントはマンガン合金

 ○運転台

 <台湾> 前面の表示灯は15個(欧州鉄道の運転方式採用の結果)

 <日本> 8個

 ◇キーワード

 <台湾新幹線> 台北と高雄間の約350キロを最短90分で結ぶ(在来線は約4時間半)。車両を川崎重工業が、信号・通信などを三菱重工業が、変電・運行管理システムなどを東芝がそれぞれ担当。3社に三井物産、三菱商事、丸紅、住友商事を合わせた7社の日本連合(台湾新幹線株式会社)が中心システムを請け負う。鉄道全体の建設・運営主体は台湾のゼネコン、金融集団、航空会社などが出資した台湾高速鉄道(台湾高鉄)。

(朝日新聞東京本社発行 1月28日付朝刊)


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