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諫早の干拓工事、差し止め取り消し 「被害立証足らぬ」福岡高裁

2005年05月20日

写真

諫早湾干拓事業工事差し止めの取り消し決定を読み上げる弁護団長(左)と、肩を落とす支援者ら=16日午前11時7分、福岡市の福岡高裁前で、溝越賢撮影

 農林水産省が進める諫早湾干拓事業(長崎県)の工事差し止めを命じた佐賀地裁の仮処分決定を不服とした同省の保全抗告申し立てで、福岡高裁(中山弘幸裁判長)は16日、工事差し止めを取り消し、国の抗告を認める決定を出した。農水省が見送った干拓堤防水門の中・長期開門調査については「国は実施すべき責務がある」と指摘した。差し止めを求めてきた有明海沿岸の漁民側は最高裁に抗告しないことを決めた。同省は近く工事の再開手続きに入り、06年度末の完成を目指す。

 仮処分手続きと本訴では、訴えを起こした有明海沿岸の漁民が被っている漁業不振と、干拓事業の因果関係が争点になっている。

 決定で高裁は、00年度の凶作で社会問題化したノリについては「傾向的に減少しているとは言えず、干拓との関連性は今のところ認められない」、タイラギやアサリといった二枚貝については「干拓と減少との関連は疑われるが、関連の証明は十分でない」とした。

 その上で、「干拓工事の差し止めを認めるには事柄の性質上、一般の場合よりも高い疎明が必要」と、証明のハードルを佐賀地裁決定よりも高く設定。「漁獲量の減少と干拓工事の関連性は疑われるが、疎明されるまでには至っていない」とし、被害の立証が不十分との理由で工事差し止めを取り消した。

 佐賀地裁の決定では、干拓工事と漁業被害の関連の証明は「一般的に疑われるという程度で十分」とハードルを下げて差し止めを認めたため、福岡高裁の判断が注目されていた。

 漁民側は最高裁に特別抗告か許可抗告をする方法がある。憲法判断か重大な判例違反を指摘するという法律論の争いになるため、最高裁で福岡高裁決定を覆すのは困難で、漁民側弁護団は「抗告しない」と決めた。

 また、干拓工事と漁業不振の因果関係の認定を求めている国の公害等調整委員会の原因裁定に期待する一方、農水省に干拓堤防の水門開放を求める行政訴訟を起こすことも検討していく。

 工事は佐賀地裁が差し止めを命じた昨年8月26日に止まり、すべての契約も解除された。再開は最初の工事契約ができる2〜3週間後と農水省は見ている。高裁が指摘した中・長期開門調査は実施しない方針だ。

 ○余りに不当

 馬奈木昭雄・諫早湾干拓差し止め訴訟弁護団長の話 余りにも不当な結論だ。(干拓事業との)被害についての証明が十分でないと言われたが、到底納得できない。私たちは被害を証明したいと言っていたが、裁判所がさせなかった。困難は増したが、これまでの方針通り一歩も揺るがず、ひるまず、有明海の再生に向けて闘っていく決意だ。

 ●「お墨付き」は早計〈解説〉

 一般に公共事業の差し止めは難しいとされる。高度な専門知識を有した官僚の正当な判断と、政治の民主的な手続きがあるという前提があるからで、それゆえに司法は必要以上に介入すべきでないとの考えが根強いからだ。

 しかし、諫早湾干拓ではその前提が崩壊している。何度も規模を縮小した結果、事業に対する投資効果を示す費用対効果は、「効果あり」の1.0を切り、今や農水省の公式見解でも0.83。干拓の根拠法である土地改良法の基準もすでに満たしていない。

 一方で、有明海で二枚貝などの漁獲被害が発生し続け、連動するように赤潮被害といった環境異変が恒常化している。農水省自らが招いた専門家が干拓堤防水門の中長期開門を提言しても、官僚側の抵抗に屈した政治があっさり断念し、放置され続けている。

 佐賀地裁は国の姿勢を「漁民にのみ一方的に不利益を課す」と批判し、中長期開門調査の実施といった改善策の実施を求めた。それは「発生した損害の賠償よりも損害の抑止を」と訴える最近の環境訴訟の傾向と、司法は行政の誤りを早期にチェックすべきだとする司法改革論議の流れに沿ったものだと評価された。

 証明のハードルを上げた点で福岡高裁の決定は後退した。しかし、国が見送る開門調査について、「環境悪化の調査、研究を実施する責務がある」とあえて指摘した。農水省が事業続行にお墨付きを得られたと考えるのは早計だ。

 漁民側は争い続けるだろう。完成が06年度末に間に合わず、07年度にずれ込めば、事業再評価(時のアセス)に引っかかる。農水省はどんな事業意義を説明できるのか。開門調査の実施という提言の原点に立ち返るべきだ。

 (公共事業担当・今村建二)

 ◇決定の骨子

 ●工事は行政権の発動ではなく、事実行為に過ぎないから、仮処分申し立ては適法。工事の差し止めを認めるか否かは、事柄の性質上、証明に近いものが要求される。

 ●工事と漁業環境の悪化との関連性は否定できないが、その割合・程度という定量的関連性を認めるまでには至らない。

 ●00年度のノリ養殖の不作は工事との関連性が疑われる。タイラギやアサリ漁獲量は減少傾向で工事との関連性が疑われるが、確実と推測できるまでには至っていない。

 ●九州農政局は中・長期開門調査などを実施すべき責務を負い、費用対効果の面からも、その必要性は大きい。

 ●しかし、工事により漁業行使権を侵害されたと確実に推測できるだけの証明があるとはいいがたい。

5月16日付夕刊)


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