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自民党本部の開票速報場で笑顔を見せる小泉首相=11日午後10時38分、荒井聡撮影 |
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党派別の当選者数 |
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比例区で無党派層はどう動いた |
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各都道府県の1区の当選者の所属政党 |
第44回総選挙は11日、全国300の小選挙区と11ブロックの比例区(総定数180)で投票が行われ、即日開票された。自民党は公示前勢力を大幅に上回る296議席を獲得し、中曽根内閣だった86年衆参同日選挙での300議席に次ぐ地滑り的勝利となった。自民党が衆院で単独過半数(241議席)を回復したのは15年ぶり。公明党と合わせて定数の3分の2を超える327議席を占めた。小泉首相は自公連立政権を維持するが、今後の政権運営で自民党が主導権を強めることは必至だ。首相は今月下旬召集の特別国会に改めて郵政民営化法案を提出する方針で、この圧勝を受けて成立は確実となった。与党内では首相の自民党総裁任期の延長論が広がっている。民主党は惨敗し、岡田代表は辞任を表明した。小選挙区の投票率は、朝日新聞社の集計で67.5%程度で、前回より7ポイント以上増えた。
圧勝した自民党は、なお参院では過半数割れしているため、公明党の協力が不可欠になる。だが衆院での多数派形成に成功したことで、今後の政権運営や個別の政策判断で党の独自性を強めていくことは間違いない。
与党で3分の2を超える議席を占めたことから、法案が参院で否決されても衆院での再議決で成立させることができるなど、国会運営での主導権も高まる。
小泉首相は11日夜、「来年9月いっぱいが私の任期だ。それ以後はない」と述べ、自民党総裁の任期切れで退陣する意向を重ねて示した。ただ、総選挙での圧勝に与党内では任期延長論が広がっており、武部勤幹事長が「大事な課題だ」と語る一方、公明党の神崎代表も「これだけ大勝したら国民の期待に応えるべきだろう」と述べた。86年衆参同日選挙で自民党が圧勝した際には、党則を改正して当時の中曽根首相の総裁任期を1年延長した例がある。
また首相は11日夜、憲法改正について「私の任期1年の間に出来る問題ではない」と述べた。首相は任期中の消費税率の引き上げについても否定してきたが、任期延長が現実となれば、そうした課題を手がける可能性も出てくる。
一方で、首相が発言通り来年9月に退くことになれば、後継の首相が「自民単独過半数」を維持したまま、最長で衆院議員の残り任期3年にわたって様々な政策を展開することも可能になる。
自民圧勝を受け、首相は12日に神崎代表との党首会談に臨み、連立政権の維持を確認する。22日前後に召集される見通しの特別国会で首相指名を受けた後、ただちに第3次小泉内閣を組閣する。基本的に現在の閣僚を再任する方針だ。
首相は特別国会で郵政民営化法案を改めて提出し、10月中の成立を図る。先の通常国会で否決に回った参院自民党の反対派からも、自民党圧勝を受けて賛成に転じる議員が相次いでおり、法案の成立は確実な情勢だ。首相は11日夜、「必ず成立できると思う」と述べ、自民党の青木幹雄参院議員会長も「反対票を入れた皆さんも次の法案にはきっちり対応してくれるんじゃないか」と成立に自信を見せた。
法案成立後、首相は内閣改造と党役員人事に着手する。安倍晋三幹事長代理や谷垣財務相、麻生総務相ら「ポスト小泉」候補とされる議員の処遇が焦点となる。
一方、惨敗した民主党では、岡田代表が11日夜の記者会見で代表辞任を表明し、「速やかに次のリーダーを選定していただきたい」と語った。後継選びでは、小沢一郎副代表や菅直人前代表らベテランに託すか、野田佳彦「次の内閣」財務相ら中堅からの起用で世代交代を図るかで選択を迫られることになりそうだ。
○自民、首都圏で圧倒 無党派3割超、獲得
自民党が圧勝した背景には、前回民主党が善戦した都市部での支持を大幅に伸ばしたことがある。投票率が前回を約7ポイント上回ったことも追い風に、小泉首相が一大争点に掲げる郵政民営化に賛成する有権者や、無党派層を引き寄せたことが地滑り的な勝利につながった。
小選挙区での自民と民主の議席数は219対52。このうち自民、民主が直接対決した280選挙区では214対52と4倍以上の差がついた。
自民党は都道府県庁所在地があり、無党派層が多いとみられる「1区」で32対13と大きく勝ち越した。前回は民主党に26対19と7議席差に迫られたが、今回は東京や静岡、滋賀、佐賀などで取り返した。
また、首都圏1都3県の計71選挙区で自民党は63対5と民主党に圧勝した。民主党は前回は36対33と競り勝ったが、今回の当選者は菅直人元代表、枝野幸男幹事長代理らにとどまった。
自民党は比例区でも大幅に得票を増やした。議席数では民主党と同数の北海道を除き、10ブロックで第1党となった。東京ブロックでは小選挙区との重複24人と比例単独6人の計30人が立候補したが、重複候補23人が小選挙区で当選したうえに比例区で7議席を獲得したため、名簿登載候補全員が当選。さらに1議席を確保する得票だったが、登載候補がいないため、公職選挙法の規定で他党に議席が回った。
朝日新聞社の出口調査では、投票者の2割を占める無党派層のうち、自民党に投票したのは小選挙区、比例区ともに3割を超え、前回総選挙の調査から大きく伸びた。投票した人の6割超が郵政民営化に賛成で、このうち6割超が小選挙区で自民党候補に投票した。
民主党は、旧自由党と合併する前の00年総選挙で得た127議席も下回り、藤井裕久党代表代行らが落選。公明党は31議席を獲得。共産、社民両党は公示前勢力を維持したが、比例区に単独立候補した社民党の土井たか子元衆院議長は落選した。
郵政「反対組」が立候補した33選挙区では「反対組」の15人が当選。国民新党の綿貫民輔氏(富山3区)、亀井静香氏(広島6区)、無所属の野田聖子氏(岐阜1区)、平沼赳夫氏(岡山3区)らが勝った。自民党は小池環境相(東京10区)、片山さつき氏(静岡7区)ら13人が勝った。
○「郵政」以外を明確に語れ 政治部長・持田周三
宰相・小泉純一郎のひとり勝ち。ほかの言葉は見つからない。
理由ははっきりしている。
小泉氏ほど自民党内に「借り」を作らないまま、官邸に入った人物はいない。派閥やカネ集めの中枢にいたことがない。「同志」も少ない分、しがらみもない。
ライフワークの郵政民営化を否決され、政権転落の危険を顧みずに解散に踏み切ったのも、反対派に容赦なく対立候補を擁立したのも、小泉氏なればこそだった。
その捨て身ぶりが「郵政は改革の本丸」という政策論を超えて、有権者に共鳴した。「改革」が唱えられて久しいのに、永田町ではなお、取引、妥協、保身、先送りが幅をきかす。それを変えられるのは、やはり小泉氏しかいない――。
現状打破の期待は、本来なら野党に向かうはずだが、首相は「非情の解散劇」を演じることで、改革の旗手の座を再びつかむことに成功した。
小選挙区選挙は、事実上の首相選びでもある。だからこそ政策も候補者も自ら決める、という小泉流も受け入れられた。有力業界団体との縁切りまで宣言し、低落にあえいでいた都市部で勝った姿を見ると、自民党が政権党としてリニューアルする「05年体制」の始まりさえ予感させる。
しかし、その一方で、「小泉劇場」の是か非かの二分法が置き去りにしたものも大きい。
郵政の「国民投票」という設定は、4年余の小泉政治の業績評価という重要な争点をかすませた。その結果、郵政法案以外、他のどんな政策にも方向づけがなされなかった。
しかし、「白紙委任」はありえない。
首相は一刻も早く、この圧勝で得た力で「郵政後」に何をどうめざすのかを明快に語り、具体的なプログラムを示さなければならない。その政策論議の中で、来年9月までの首相の自民党総裁任期を延ばすのかどうかも決めるべきだろう。
「自民党は変わった」と宣言したのだから、首相が政策決定の中心に座ることや、政策の共有を最優先にした候補者選びを根付かせる党改革も避けては通れない。
政策決定も党の体質も、もし有権者の期待に背くようなことがあれば、いずれしっぺ返しを受けるだろう。
惨敗した民主党は、「小泉マジック」にしてやられたと歯ぎしりしている。だが、最大の敗因はやはり政策の詰めの甘さにある。民営化論から現状維持まで幅がある党内の対立に目をつむり、政府案への「反対」だけを決めた安易さは、有権者に透けて見えた。
政策が選挙の主役たりうる時代になった。小選挙区の特性である、議席の大変動も目の当たりにした。「イメージ戦略」が教訓であってはならない。政策中心の政治を高めていく責任を与野党は負っている。