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動物愛護週間の行事で外来生物の適正飼育を訴えるキャラクター=23日、東京・上野公園で |
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ボールパイソンを手に話す高田榮一さん=東京都文京区の自宅で |
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子どもたちに大人気のクワガタムシやカブトムシだが……=東京都内の昆虫ショップで |
もともといなかったのに、人間の活動によって国内に入ってきた生物。野外で生息する動物だけで、日本国内に約700種いるとされる。外来生物のうち、生態系や人体に被害を及ぼす恐れがある特定外来生物は、6月施行の外来生物法で輸入や販売が規制された。
●逃亡爬虫類、各地に
体長約4メートル、胴回り約50センチの黄色い大蛇を埼玉県上尾市の土手を散歩中の男性が見つけた。今月9日のことだ。
110番通報で上尾署員が駆けつけた。のたうちまわる大蛇を5人で押さえつけ、捕獲したのは約2時間後。ビルマニシキヘビだった。
今月に入って各地で珍しい生物が見つかっている。さいたま市のJR浦和駅で、小型のニシキヘビのボールパイソン。大阪府内の自営業者の家からダイオウサソリ、埼玉県内では体長約1メートルのグリーンイグアナが見つかった。神奈川県の相模川ではワニが確認された。
東京都葛飾区のビルの一室にあるペット店「バーデン」。約70平方メートルの店内に爬虫類(はちゅうるい)を中心に約600種類がうごめく。ほとんどが東南アジアや南米、アフリカ産だ。真っ白な体長約50センチのリクガメには300万円の値がついていた。
「ピンク色のヘビだって手に入れますよ」と二階堂貴之社長(29)。「他人が持っていない珍しいものを」が愛好者の心理だ。海外の繁殖業者に発注し、客の要望に応える。
二階堂さんによると、米国の業者はインドネシアで東京ドーム4個分の「囲い付きジャングル」を設け、爬虫類を種類ごとに放し飼いにしている。ドイツでは7階建てのビルをまるごと繁殖場にし、マスクに手袋姿の人たちが変わった模様の動物を交配させ、珍種をつくっている。「まるで病院だった」という。
政府の03年度世論調査によれば、爬虫類を飼育する人の割合はペットを飼っている人全体の2.4%。ウサギと同率だ。79年度の調査では0.4%だった。ペット業界誌を発行する野生社によると、04年時点で、爬虫類を扱うペット店は794店。10年前に比べて2倍以上に増えたという。
●法規制追いつかず
外来生物法が指定する特定外来生物は、(1)人の生命、身体に被害をもたらす(2)農林水産業に被害をもたらす(3)生態系を乱す、などの恐れがあるとされるものだ。アカゲザルやアライグマ、カミツキガメ、タイワンハブなど37種類。飼育や販売、輸入などが、同法で原則禁止になった。
「インターネットなどで情報が飛び交い、簡単に手に入るようになった」。環境省の長田啓・移入生物専門官は法整備の背景をこう説明する。
カミツキガメは「かっこいい」と数年前までペットとして大量に流通していた。千葉県の印旛沼周辺で繁殖が確認されており、規制しないと今後取り返しがつかなくなるという。
同省はさらに42種類を追加指定する予定。しかしダイオウサソリやニシキヘビは規制対象外だ。
動物愛護管理法も6月に改正され、動物遺棄の罰金は30万円以下から50万円以下に引き上げられた。ニシキヘビなど危険動物にはマイクロチップなどの個体識別措置が義務づけられる。
とはいえ、根本的な解決にはなっていない。同省動物愛護管理室の東海林克彦室長は「法律以前に飼い主のモラルの問題」と話している。(高田誠)
◆「日本産も愛して」 愛好家・高田さん
「好きという次元を超えている。爬虫類のいない暮らしは考えられない」。東京都文京区の高田榮一さん(75)はそう言って、腕に巻き付けたボールパイソンの頭をなでた。
「爬虫類の面白さを大衆に広めたパイオニア」として知られる。1960年ごろ、高田爬虫類研究所を設立、全国の百貨店で「爬虫類展」を開催するなどしてきた。約70種類を自宅や沖縄県で飼育している。
多くの人に興味を持ってもらうことはうれしいが、昨今のブームには顔をしかめる。「飼うのは外国のものばかり。なぜ日本産を愛さないのか。アオダイショウは古来、ネズミから日本の家や倉を守ってくれた。だから立派な名前をもらった。そんなことにも関心を持ってほしい」
無責任な飼い主に対しては、「刺激的なものを追い求め、すぐに飽きてしまう。動物が持つミステリアスな部分への敬意が薄れてきたのではないか」と不満を語った。
(朝日新聞東京本社発行 9月27日付朝刊)
外来カブトムシ・ミドリカメ・浮草…規制ないけど、捨てないで 生態系への影響、心配
外来種のカブトムシ、ミドリガメ、金魚用の浮草ホテイアオイ……。環境省はこのほど、こうした身近な動植物を含めた148種を、要注意外来生物(キーワード参照)に選んだ。飼い主は、主に子どもたち。規制すれば、野外に捨てられる可能性もあるとして、売買や飼育の規制は見送られた。ただ、生態系への影響は特定外来生物と同様に指摘されており、同省は「捨てないで」と呼びかけている。(秋山惣一郎)
東京都練馬区の幼稚園児成沢諒くん(6)はこの夏、飼っていた外来種マレーコーカサスオオカブトを部屋の中に逃がしてしまった。家の中でみつかったが、母親は「霧吹きをして、ふたを閉め忘れたみたいです」。遊んでいるうちに逃がすケースも含め、外来種が野外に出る典型例だ。
環境省は、外来のカブトムシ、クワガタムシが、野外に定着すれば、在来種との交雑や、エサや生息域の奪い合いにより在来種を駆逐しかねないとして、専門家会合で規制を検討した。
しかし、大量に輸入が始まったのが99年で、生態系への影響についての情報は少ない。子どもの飼育まで規制するのは無理なうえ、業者による大量の「不法投棄」を生み出す可能性が高いと判断。現在、549種のカブト、クワガタが輸入されているが、要注意外来生物とするにとどめた。
●捨てる業者も
ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)は、60年代に大手菓子メーカーが景品としたのが普及するきっかけになったという。現在、米国産を中心に、年間数十万から100万匹が輸入されている。雑食性で繁殖力が高く、各地の川や沼で生息が確認されている。大きなものは28センチ、2・5キロほどにまで成長する。南アフリカや韓国は禁輸、輸出が認められている米国でも、4インチ以下の子ガメの国内での販売は禁止されている。
専門家会合では委員から、保管の際に保温コストがかかるため、業者が冬に捨てて春に新たに仕入れる事例もあると紹介された。規制すれば、代替用に別の外来ガメが流通するおそれもあると指摘した。
●拡大する分布
金魚用の浮草として使われるホテイアオイは、南米原産で、明治中期に導入され、70年代に本州以南に定着した。水面を覆い、光を遮るため、ほかの水生植物の光合成を阻害する。
熱帯魚店、ホームセンターなどで幅広く売られている。水中の窒素やリンを吸収するため、自治体が水質浄化目的で放流したケースもある。学校ビオトープでも、導入されている。
園芸植物と違い、ペット店や金魚生産者ルートでも生産、販売されており、輸入、流通量は不明だ。危険性への認識も薄い。専門家会合では、あまりに分布が広がっているため、規制の効果が疑問視された。
世界自然保護基金(WWF)ジャパン自然保護室の広報・普及教育担当大倉寿之さんは「自然に返すことが、生き物のためになるという『放生(ほうじょう)』の文化がある。だが、逃がすことは生態系への罪、との認識が広がってほしい」という。手元で死なせるぐらいなら、と野外に放つケースも多い。環境省は「飼いきれなくなったら、飼い主が責任を持って殺してほしい」と呼びかけている。
◇キーワード
<要注意外来生物> 生態系への被害が不明、もしくは明らかだが、外来生物法の指定種として規制する効果が不確定な動植物。環境省は今後、流通実態などの情報を集め、指定による社会的、経済的影響などを考慮し、指定を検討する。シマリス、ニジマス、アメリカザリガニ、セイタカアワダチソウなども選ばれた。
(朝日新聞東京本社発行 9月29日付朝刊)