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原発の業界地図、激変か 三菱重、東芝参加へ 米ウェスチングハウス最終入札

2005年12月23日

 軽水炉を使う原子力発電システムの名門メーカー、米ウェスチングハウス(WH)が売りに出されている。現在の親会社、英核燃料会社(BNFL)が19日締め切る最終入札には、三菱重工業、東芝という日本の原発メーカーの両雄も名乗りを上げた。世界の主流となっている加圧水型軽水炉に強いWHを傘下に収めれば、新規立地が急増する新興国など海外市場で優位に立てる、というのが両社共通のもくろみだ。WHの行方次第で、業界の勢力地図は大きく塗り替わる。

 WHの入札は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と米国のエンジニアリング会社も交えた4陣営の争いとなりそう。買収金額は2000億円台と見込まれ、来年1月末にも売却先が決まるという。BNFLがWHを買収したのは99年だが、電力自由化の進展で経営が悪化し、早々に手放すことになった。

 世界の原発の大半は軽水炉で、04年末で計356基あり、加圧水型が4分の3、沸騰水型が4分の1を占める。世界の潮流とは逆に、日本では最大手の東京電力が採用したことなどもあって沸騰水型が多い=図。

 WHは57年に加圧水型を世界で初めて商用化、世界の原子炉の4割超が同社の特許を使う。日本では三菱重工が提携している。沸騰水型はGEが手がけ、日本では東芝、日立製作所が提携する。

 WHの最終入札には、三菱重工は単独で応札する方針だ。今年2月には中国で原発4基の新設にWHと共同応札するなど関係が深い。三菱重工首脳は「海外展開には関係維持が不可欠」とする。

 一方、沸騰水型の東芝は、現在もGEと米テネシー州の原発新設の詳細計画調査を進めるなど親密な関係だが、「WH買収で市場がより大きい加圧水型にも手を広げたい」と考えている。

 背景には「海外では、今後も加圧水型の優位が動かない」という業界の見方がある。すでに加圧水型に慣れた技術者が多く、配置転換や新人教育もやりやすいためだ。

 04年末時点で、世界で建設・計画中の軽水炉57基のうち、加圧水型が48基に対して沸騰水型は9基だ。20年までに30基程度の新設を掲げる中国は、建設・計画中の10基すべてが加圧水型。米国も原発推進に政策転換し、10年をめどに新設をめざす。既存原発で数が多い加圧水型が有利といわれる。

 世界の原発業界では、加圧水型の仏アレバと沸騰水型のGEが2強。三菱重工首脳は「WHを買収すれば、アレバと肩を並べ、3強の一角を担えるようになる」と読む。

 一方、東芝がWHを買収すれば、沸騰水型と加圧水型の双方を手がけることになる。「東芝・GE連合がアレバとの差を広げ、圧倒的優位に立つ。三菱重工はアレバなどと提携しなければ、海外事業は難しいだろう」(関係者)

 国内の原発新設は今後も大きな伸びは期待できない。三菱重工と東芝は海外に活路を求めたが、勝ち残りのカギはWH買収の成否が握っている。

(朝日新聞東京本社発行 12月18日付朝刊)

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