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町の「お宝建築」多彩 登録文化財6000件、マンホールも像の台座も

2006年12月15日

 東京・歌舞伎座から、大阪・通天閣、山あいの二宮金次郎像の台座、マンホールまで。8日、新たに151件が仲間入りすることになった国の登録有形文化財(建造物)は、驚くほど多彩だ。制度が始まり、今年で10年。重要文化財ほど評価は定まっていないが地域にとって大切な建築などを広くリストアップし、今回で登録数は6000件を超える。「わが町のお宝建築」が次々に文化財に登録されている。(新谷祐一)

 大阪・新世界に立つ高さ103メートルの通天閣は、56年建設の2代目。通天閣観光の西上雅章社長は「苦楽をともにしてきた地元の人や社員にも誇りを感じてほしくて登録をお願いした」と語る。

 この制度は96年、開発の中でも残すべき建物を登録し、景観を守る狙いで始まった。最初の登録は東京大の安田講堂など重厚な顔ぶれだった。

 登録の基準はかなり緩い。文化庁や自治体の調査や所有者の自薦で、互いが相談して申請。通天閣のように築50年が経過し、「国土の歴史的景観に寄与」「造形の模範」などの条件のいずれかを満たせば原則、登録される。文化庁が申請を却下した例は数件だけだ。

 建物の固定資産税の5割が免除されるなどの優遇措置の一方、外観の4分の1を超える修理などは届け出が必要。しかし内部の改修は自由だ。そんな間口の広さでユニークな建造物も次々と登録された。旧鈍川(にぶかわ)小学校二宮金次郎像台座(愛媛県今治市)は、36年に校長の呼びかけで児童が河原から石を運び、約2.6メートル積み上げた。1882年ごろ造られた旧横浜居留地煉瓦(れんが)造下水道マンホールは、日本人の計画による近代初の下水道施設だ。

 中世の面影が残る茨城県桜川市の真壁地区、石川県七尾市の一本杉通りなど、住民が登録を働きかけ、町づくりに生かす地域も出てきた。申請手続きの代行を仕事にする建築家もいる。登録制度は建造物以外にも広がり、05年からは民具や公園なども対象となった。

 一方、10年で21件が取り壊された後、登録を抹消されている。所有者は取り壊しの30日前までに文化庁に届け出が義務づけられているだけで、同庁は保存の勧告までしかできない。

 香川県の登録文化財の約3分の2の申請を手がけた高松市の建築士・吉村俊則さんは「思ったほどメリットがないという所有者もいる」と明かす。文化庁によれば、税の平均的な免除額は1件あたり年に数千円ほどだ。

 大阪市立大の橋爪紳也教授(建築史)は「この制度は『建て替えた方が資産価値が上がる』と古い建物を見ていた人に『手直しして価値を上げていく方がいいかも』と気付かせる。街には何が大事かを考えることになる。ただ、今の優遇措置は手厚くなく、所有者の意志がないと建物の維持は厳しい」と話している。

■主な登録文化財

1 根室市の明治公園のサイロ

2 十和田ホテル本館

3 東京大学大講堂(安田講堂)

4 歌舞伎座

5 黒壁ガラス館本館

6 通天閣

7 旧鈍川小学校二宮金次郎像台座

8 三菱重工業長崎造船所の起重機

(2006年12月10日 朝刊1総合面)


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