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スクリーンって楽しいよ 子ども向け映画教室、各地で広がる 歴史や原理の解説も2007年02月09日
街の映画館や上映団体による子どものための映画教室が、各地で広がっている。家でDVDを見るのもいいけれど、みんなと一緒にスクリーンを見る楽しさも知ってほしい。そんな思いが原点。未来の観客を育てられればという期待も込めて、様々な試みが続く。 (深津純子) 日曜日の朝、東京・渋谷のミニシアター「ユーロスペース」は小さな観客でにぎわった。ボランティア団体「ちいさなひとのえいががっこう」の「親子で映画館遠足」だ。 昨夏に続き2回目。アニメ「一寸法師ちび助物語」(10分)、「チャプリンの勇敢」(20分)、斎藤寅次郎監督の「子宝騒動」(34分)という戦前の無声映画3本を、佐々木亜希子さんの活弁つきで上映した。 「映画館はひとりで見るところではありません。まわりの迷惑にならないように気をつけましょう。でも、笑いたいところは笑っていいんだよ。みんなで楽しみましょう」 映写技師のお兄さんのお話でプログラムは始まる。保護者にも初体験の人が多い無声映画が、子どもにうけるのか。だが、佐々木さんの軽快な語りで上映が始まると、みんなスクリーンにくぎ付け。一寸法師やチャプリンの活躍に身を乗り出し、豚と大人たちの追いかけっこに笑い転げる。 普段は入れない映写室も探検。映写機の光を使って影絵をしたり、本物のプリントにさわったり、全身で映画を楽しみ、最後は佐々木さんから映画の誕生や弁士の仕事のお話を聞いた。 「飽きるかなと心配だったが、最後まで夢中。親と同じところに反応するので驚いた」と3歳の男の子と参加した母親は話す。 学校ぐるみの映画鑑賞教室は昔からあったが、最近の「映画教室」は、映画の原理や歴史などの解説やワークショップにも力を入れる。上映作品もクラシックや実験映画など、ふだんは見る機会の少ないものを積極的に採用する。 東京国立近代美術館フィルムセンターで02年から続く「こども映画館」も、上映、解説、展示などの見学を柱に据える。「初めは上映中心だったが、作品の構造や歴史など理念的なものも提示すべきだと考えた。限られた時間で、何をどうやって伝えるか。試行錯誤しています」と担当の岡田秀則主任研究官は話す。 先駆的な映画教育事業で知られる金沢市の「金沢コミュニティシネマ推進委員会」は昨年、地元小学校の教諭の協力で4年生のクラスで映画の授業をした。 上映作品や解説の要点を委員会側が提案し、先生が進行役になる。最古の映画とされる「列車の到着」の上映では、公開時に観客が驚いて逃げたという逸話を紹介し、「昔の人の気持ちで見てみよう」。迫り来る列車から一斉に逃げ出す子どもたち。イラン映画「友だちのうちはどこ?」の感想文には、驚くほど様々な発見が記されていた。 「素材とレシピはこちらで選び、プロの技で料理してもらった。興味の引き出し方など、様々な方法論を学びました」と同委員会の土肥悦子代表は話す。 地域の上映活動を推進する「コミュニティシネマ支援センター」はこの冬、小津安二郎監督の「お早よう」を解説つきで上映する教室を、高崎市と札幌市で開いた。3月には三重県伊勢市でも予定する。 あらすじや登場人物を紹介するリーフレットも作った。「どこで笑ってしまいましたか?」「カメラの位置は高いかな、低いかな?」など、鑑賞のポイントも示した。 「一元的なマニュアルではなく、これを土台に各地の体験を積み上げたい」と同センターの岩崎ゆう子事務局長。「教育は映画と地域を結ぶ重要な要素。幼い頃から多様な作品に触れることは、映画文化を豊かにすることにもつながる」 各地の実践を近く報告書にまとめ、映画教室に関する相談も受け付ける。問い合わせは電話03・5562・9574(同センター)。
(2007年2月3日付け夕刊 文化芸能1)
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