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NIE「この記事を手がかりに」

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(日本一のローカル線を途中下車)江ノ島電鉄・神奈川

2007年11月12日

写真  
地図  
写真七里ケ浜に沿って走る江ノ電300型=神奈川県鎌倉市で、内藤久雄撮影

 乗りたいローカル線、1位は知名度抜群の江ノ島電鉄、2位にはSLも走る大井川鉄道が入った。ローカル線は「乗っているだけで旅気分」(40代女性)、「車窓の景色が魅力」(60代男性)というイメージが強い。「地域の生命線」(50代女性)、「大切にして欲しい」(20代女性)というエールの一方で、「自動車中心で乗る機会がない」(40代男性)、「本数が少なく不便」(40代男性)と突き放した声もあった。アンケートの対象の中に、JR羽越線・大糸線・参宮線・伯備線や流山電鉄などが漏れ、悔しがるファンもいた。

 ■案内人と決める「日本一」は? 回答総数2万1322人

 1位 江ノ島電鉄(神奈川)      4250人

 2位 大井川鉄道・井川線含む(静岡) 3979人

 3位 わたらせ渓谷鉄道(群馬・栃木) 3616人

 4位 JR宗谷線(北海道)      2536人

 5位 三陸鉄道(岩手)        2428人

 6位 JR釧網線(北海道)      2404人

 7位 津軽鉄道(青森)        2358人

 8位 JR五能線(秋田・青森)    2322人

 9位 銚子電鉄(千葉)        2230人

10位 北近畿タンゴ鉄道(兵庫・京都) 2076人

   *

 アンケートは、矢野直美さんと編集部で候補を選び、朝日新聞の会員サービス「アスパラクラブ」のホームページで実施しました。(複数回答)

 ◇冬には北へ、夏には南へ 矢野直美さん(今週の案内人)

 すてきなローカル線を「日本一」候補としてリストアップする作業は、とても楽しかった。どの路線も魅力的で絞り込みが難しい。読者のみなさんがどこに投票してくれるか楽しみでした。

 江ノ電は、鉄道の魅力がそろっています。海あり山あり、トンネルや鉄橋、路面を走る区間まである。地元で本当に愛されている鉄道ですしね。

 車窓からの紅葉なら、釧路湿原を走る釧網線、山の奥に入っていく秋田内陸縦貫鉄道が感動的。大井川鉄道井川線も好きです。渓谷を行く山口の錦川鉄道もきれいですね。釧網線は冬の雪原やオホーツクの流氷もいい(タンチョウやエゾシカにも会えるかも)。雨上がりに五能線から見た夕日は、この世のものではないほどでした。冬には北へ、夏には南へ行くのがお勧めですが、季節によって表情が変わるので、違う季節に再び乗ってみるといいですよ。

 鉄道ファンにもいろいろいます。私は乗るのが好き。知らないまちを運ばれていく感覚。のんびりと土地の空気のにおいを感じてみる。耳を澄ませば、独特のイントネーションが聞こえる。ローカル線は地域の生活列車なんですね。朝夕は学生たちであふれます。

 私はひとり旅が多いんですが、行く先々で交流があって、一人だと感じないほどですよ。

 ◆湘南走る「俺たちの電車」

 車窓の眺めが楽しく「乗って良し」、沿線に見どころ多く「降りて良し」、かわいい車両を「撮って良し」。三拍子そろって人気の江ノ電。鎌倉駅から乗り込んだ。

 最前部に陣取ると、ガラス越しに視界が開け、気分は運転士。家並みすれすれに電車は進む。7分後、唯一のトンネルを抜けると、極楽寺駅に着いた。

 江ノ電は映画やテレビ、雑誌に引っ張りだこ。取材対応のため本社に専任の「マネジャー」がいるほどだ。人気のきっかけは76年10月放送開始の「俺(おれ)たちの朝」(日本テレビ系)だろう。極楽寺周辺を舞台に、主人公「オッス」の勝野洋さん、「チュー」の小倉一郎さん、「カーコ」の長谷直美さんらが繰り広げる青春ドラマ。大ブームとなり、沿線に若者が押し寄せた。

 「静かな極楽寺駅のホームが突然、人であふれるようになった」。全15駅を管轄する小松清二駅長(56)は当時、運転士だった。

 実はこのころ、乗用車の普及で江ノ電は苦戦していた。乗客数が伸び悩み、鉄道廃止を検討したほど。しかし、ドラマが追い風となり、77年度の乗客数は前年比90万人増、営業収入も3割以上アップ。勝野さんらをあしらった記念乗車券は3万5000枚を完売した。

 勝野さんは「撮影用の電車は止まったり、バックしてくれたり。とても協力的だったことを覚えています」と懐かしむ。「自然がいっぱいで落ち着く場所だった」という極楽寺周辺。木造駅舎は今も木々に囲まれてひっそりと立つ。

 ついでに、ほかのロケ地も見に行こう。映画「稲村ジェーン」で有名な稲村ケ崎駅を過ぎ、七里ケ浜駅で降りた。橋の先にあるバス停は、映画「タイヨウのうた」に登場した。でも、ちょっと雰囲気が映画と違う。

 江ノ電本社に聞いてみた。

 「映画に出てくるベンチ、自動販売機、停留所の標識はスタッフの持ち込み。風雨よけの上屋も、映画ではあえて、落書きされているアクリル板に換えていました」

 納得したところで、もうひとつ先の鎌倉高校前駅へ。国道134号を挟み、すぐ目の前に太平洋が広がる人気の駅だ。車のエンジン音に交じり、波の音も聞こえる。

 ここと似た駅舎が、アニメのプリキュア・シリーズ「ふたりはプリキュア スプラッシュスター」に出ていたと聞いた。江ノ電は人気アニメにも進出したのか?

 放映した朝日放送に確かめると「海や山など自然の多い場所を設定したら、結果として似ただけです」だって。がっかり。(岡田昇)

 ▼次回は「日本一のそば」を訪ねます。

 <お役立ち情報>

 ■交通 江ノ電へは、JR横須賀線なら鎌倉駅で、JR東海道線・小田急江ノ島線なら藤沢駅で乗り換える。

 ■基礎データ 1902年、藤沢―片瀬(現・江ノ島)間で開業、10年に全線が開通した(当時は小町まで)。15ある駅のうち無人駅が6ある。2両または4両編成で平均時速は22キロ、約10キロを34分で結ぶ。江ノ島―腰越間のうち480メートルは路面を走る。日中はおおむね12分間隔で運行。沿線を満喫するなら、1日乗車券(大人580円、子ども290円)が便利。

 ■問い合わせ 沿線は神社仏閣、水族館など見どころが多い。詳しくは鎌倉市観光協会(電話0467・23・3050)▽藤沢市観光協会(電話0466・22・4141)へ。

 ■おみやげ お菓子やおもちゃなど江ノ電グッズは種類が豊富。鎌倉・長谷・江ノ島・藤沢の各駅で販売している。

(10月30日付け夕刊5ページ 夕刊be1面)

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