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諫早の干拓工事、差し止め取り消し 「被害立証足らぬ」福岡高裁

2005年05月20日

写真

諫早湾干拓事業工事差し止めの取り消し決定を読み上げる弁護団長(左)と、肩を落とす支援者ら=16日午前11時7分、福岡市の福岡高裁前で、溝越賢撮影

1.諫早湾の今後をみつめる

 「みんなで有明海を学ぼう」をテーマに「第5回やさしい朝日環境教室」が開かれました。4月23日、24日の両日、佐賀県鹿島市の道の駅鹿島干潟公園で参加者は潟スキーなどの干潟体験を通して、有明海の豊かさを実感しました。

 みなさんはムツゴロウをみたことがありますか。ムツゴロウは日本では有明海と八代海の一部にしか住んでいません。有明海を象徴するような生き物といえるでしょう。たった一度だけの短い出会いではありましたが、ハゼ科の愛嬌のあるムツゴロウは私の心のなかで生きています。

諫早湾の干拓事業は、佐賀地裁が昨年8月、漁業被害を理由に工事の差し止めを命じていました。それが5月16日、福岡高裁が工事差し止めを取り消し、国の抗告を認める決定を出しました。今後諫早湾はどうなっていくのか。動向をみつめていきましょう。

2.ワークシートのポイント

(1)多くの生物を育む干潟

 朝日環境教室で鹿児島大学の佐藤正典助教授は「有明海の干潟は最大6メートルの干満の差があり、空気が奥まで送られて泥が腐らず生きている。ちょっと見ると泥の原のようだが、干潟は多くの生物を育(はぐく)んでいる」と話しておられます。

有明海には、ムツゴロウだけでなくシオマネキ、シャッパ、タイラギ、アゲマキなど珍しい生き物がたくさんいます。自然の姿を知って、そこから学びましょう。

(2)干拓事業の流れ

 諫早湾干拓事業についてはキーワードで解説されています。また福岡高裁の決定の骨子も本紙に掲載されていますが、今回の決定について考えていくには、干拓事業がいつから、なぜ行われたのかを知る必要があります。関連記事をインターネットで検索したり、図書館で調べるなどしましょう。「なぜ」という眼でこの記事を読んでいくといろいろなことが見えてくるでしょう。まずは干拓事業という公共事業の歴史から調べてみましょう。

(3)ムツゴロウには原告資格なし

 2005年3月15日に長崎地裁では「ムツゴロウらに原告資格なし」という判決が言い渡されました。この訴訟の原告はムツゴロウのほかズグロカモメ、ハマシギ、シオマネキ、ハイガイ、諫早湾という「自然物」6種と湾周辺住民らです。1996年7月に提訴し「干拓事業により自然が破壊され、生物たちの生活や『人格』を侵害している」と訴えてきました。今回の判決では「原告不適格」として敗訴しました。諫早湾干拓事業に関する訴訟について調べてみましょう。

(4)地元の反応を知る

 「干拓差し止め取り消し」という決定について、朝日新聞の東京本社、大阪本社……各社の記事の扱いは違っています。地元西部本社では詳しく報道されています。出来事は外からみるとよく見える場合もありますが、詳しく知るためには当事者の思いをまず考えることが必要です。朝日新聞の地域情報は「asahi.comマイタウン」で読むことができます。原告団、ノリ漁民などの声を読んで考えましょう。

発展学習として

関連記事は社会面に掲載されていますが、翌日5月17日付朝刊の「時時刻刻」では「諫早干拓『闘い』新段階」、「社説」では「やはり開門調査が要る」と判決に関する意見が掲載されています。事実と意見を読みわけてこの問題についてあなたも考えましょう。

(大阪市立天王寺中学校・植田 恭子)

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