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東京家政学院大学学長・河野重男



   今回の「総合的な学習」をとらえる視点として重要なのは、いわゆる「情報化社会」の中で「情報の主人公になれる人間」の育成ということであろう。
 この情報化社会のとらえ方は、人によってさまざまであるが、その特質の一つは多情報社会だということである。しかも、(ある意味で)周到に計画され、計算されて提供される情報や、陳腐化の速度も非常に速い情報が大量に氾濫し、人々を圧倒し、はては人間がその情報の渦の中に巻き込まれ、引き回されて、あたかも人間が機械に使われているのと同じような状態が現出してくることも十分に考えられるのが情報化社会なのである。臨教審が指摘した「情報化社会の光と影」の問題である。

 このような情報化社会への傾向の増大の下では、教育、とりわけ学校教育の重要な役割として、多彩で豊富な複雑な情報を、あくまでも主体的に処理し選択する「情報処理能力」ないし「情報選択能力」の育成ということが強く要請されることになる。これまでの教育を知識注入主義の性格の強い情報伝達型の教育だったとし、したがって、これからの教育をたんなる情報伝達の教育から主体的情報選択の教育へという方向に切り替えるべきことがしきりに強調されるのも、この意味においてである。また最近よく言われる「受信型知識」の教育から「発信型知性」の教育への転換という主張も、このことを指しているといえる。

 こうした多情報社会の中での学校教育のめざすべき人間像として決定的に重要なことは「主体的思考力をもった、情報の主人公になれる人間の育成」ということであろう。そして、この点に関連してだいじなことは、「ステレオタイプとしての情報」(バーチャル・リアリティーの問題を含めて)の排除ということであり、したがって学習における「経験・体験による確かめ」の原則を徹底させるということである。


 「総合的な学習」は、これからの社会を「生きる力」として、情報の主人公になれる主体的思考力の育成を重視する。「NIE」の実践をこの観点から意味づけ、重視していきたい。


〜ご協力いただいた先生方〜
 冊子の編集・制作にあたっては、谷田部玲生・国立教育研究所教科教育研究部主任研究官、岸尾祐二・ 聖心女子学院初等科教諭、有馬進一・神奈川県藤沢市立長後中学校教諭から多くの助言をいただき、 具体的な活用例のとりまとめをお願いしました。御三方のほか次の方々にご協力をいただきました。
◇ 瀬野 光孝東京都立山崎高等学校教諭
◇ 鈴木 伸彦静岡県立森高等学校教諭
◇ 鹿野川喜代美東京都昭島市立瑞雲中学校教諭
◇ 原口貴美子大阪市立高津中学校教諭
◇ 小山 茂喜長野県長野市立若穂中学校教諭
◇ 二川 正浩東京学芸大学教育学部附属世田谷中学校教諭
◇ 大西 昭彦大阪府守口市立第二中学校教諭
◇ 臼井 淑子神奈川県横須賀市立走水小学校教諭
◇ 加藤 裕明成城学園初等学校教諭
◇ 白石 孝久東京都新宿区立戸塚第一小学校教諭
◇ 宇田川嘉一東京都中央区立久松小学校教諭
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