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 21世紀の学校の姿はどう変わるだろうか。「総合的な学習の時間」は、公教育が息を吹き返すきっかけとなるだろうか――。2000年度からの新学習指導要領案が描く小中学校の姿をイメージしてみた。=98年11月19日付け朝日新聞(東京本社発行)
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 小学校4年1組の5、6時間目はぶっ通しで「総合」の時間だ。9月から環境をテーマにした学習に取り組んでいる。最初の時間に何をやりたいか、子どもたちが意見を出し合い、考えが一致したグループで、さらに具体的にどうするかを考えてきた。
 マユミちゃんとシンゴくんは理科の実験室で、古新聞を使って再生紙を作ることに挑戦した。マユミちゃんが家の近くの図書館から借りてきた「再生紙の作り方」の本を見ながら、作業を進める。
 まず、新聞紙を細かくちぎって、なべで煮る。それをまな板の上にのせてすりこぎでトントンたたいてやわらかくする。そして―。授業の終わりを告げるチャイムが鳴るころ、ちょっと厚めのごつごつした再生紙ができあがった。

 2人は「すべすべした紙を作るには、どうしたらいいんだろう」と疑問が膨らみ、工場の人に話を聞けないかなと考えた。来週までに、インターネットのホームページで手がかりを見つけることにした。
 男子5人のグループは、泥水を飲める水にする方法を試行錯誤してきた。お笑いタレントが無人島で生活するテレビ番組を見て、水の大切さを知ったからだ。
 炭を使ってろ過したり、泥を沈殿させたりしたが、まだ飲めそうにない。失敗を繰り返したあげく、泥水を沸騰させて、水蒸気を冷やして水に戻す方法を担任のタカハシ先生から教わった。理科室ならフラスコやアルコールランプなどの器具がそろっている。
 5人が喜んでいると、タカハシ先生が近寄ってきて「よくできたね。でも、無人島には器具がないよなあ」。次の時間は、器具なしでどうすればいいかを考える予定だ。

 同じ時間に、6年生は算数の授業。教室ではなく、校庭で角材を使って立方体の枠を作ろうとしている。算数でも体験的活動が重視されているため、担任のフジモリ先生が考えた工夫だ。自分はくぎを打つのが苦手なので、近所に住む、大工を引退したおじいさんに来てもらった。核家族化がきわまり、28人のクラスに祖父母と同居している子は1人しかいない。お年寄りと話をしたことすらない子どもが多いのだ。
 おじいさんに手本を見せてもらい、まず正方形を作った。ところが、子どもたちのは、ぐらぐらして不安定。すると、おじいさんが「こうすればいいんだよ」とはす交いにもう1本角材を打ち付けてくれた。
 それを見ていたトモヒロ君が「あれ、三角形が2つできた」と声をあげた。「そうか、直角三角形を2つ合わせれば、正方形になるんだ」。5年生の算数の授業では理解できなかった三角形の面積の求め方を納得したようだ。

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 隣にあるY中学校。6時間目は、3年生の選択Vの時間だ。2年までは、「総合的な学習の時間」を年100時間と多めにしていたので、3年生は選択を最大(年165時間)にして「総合的な学習の時間」は最少(年70時間)に抑えた。高校入試のことを考えれば、そろそろ教科中心にならざるをえない、というのが、スズキ校長ら先生たちの考えだった。
 学習指導要領が告示されたころ、文部省は学力検査も調査書も使わない高校入試ができるように制度を変えたが、Y中学校から行ける公立の普通科高校でそんな入試制度を導入したところはなかった。学力検査と調査書を同程度の比率で評価する相変わらずの入試が続いている。

 3年生の2学期は週当たり5時間の選択のうち、英語と数学は 各1時間を全員が選ばないといけないので、生徒にとっては必修とかわらない。残りの3時間が時間割り上でも選択T(月曜日)、選択U(水曜日)、選択V(金曜日)と記され、複数の講座の中から生徒ひとりひとりが選べる時間だ。
 教育課程上は、選択の時間が大幅に増えたが、生徒から見た選択の幅の広がりはちょっとだ。
 「英語討論」は、コミュニケーション能力の強化を目指した講座。英語で討論(ディベート)をする。この日のテーマは、「政治家のウソに対する国民感情の日米比較」。近所に住む米国人の主婦に来てもらい、20世紀末の米国大統領が裁判の中でついたウソで社会がどう動いたかを紹介してもらい、日米の政治風土の違いを議論した。

 かなり高度な講座なので、選んだのは3クラスで100人いる 3年生のうち10人しかいない。英語が好きでふだんの授業を物足りないと感じている生徒たちなので、ここぞとばかりに活発なやりとりが続いた。
 一方の「英語ベーシック」は、1年生で習った内容にまで立ち返って勉強するグループ。
 スズキ校長は「教える内容が減っても、3年生ともなると、生徒によって理解度に大きな違いがある。授業が分からないのに、机に座らされている状態をなくしたい」と考えている。英語と数学は必修の時間も習熟度別に編成したグループ学習にしたいのだが、親の反発が怖くて言い出せない。
 せめて、選択の時間で、理解の遅い生徒向けの時間を設けようと、小学校で習う分数の割り算、小数の割り算も勉強できる「数学・計算」を作った。こちらも、少人数だ。
 「スポーツ」「絵画」「手芸」「舞踊」の講座は、地域の人たちにも開放した。学校側が一方的に協力してもらうのではなく、地域の人たちが余暇を楽しむきっかけにしてもらえれば、との考えからだ。

 この日の「スポーツ」は体育館でバドミントン、運動場でサッカーとソフトバレーボール。クラブ活動が廃止されたので、「スポーツ」の人気は高い。3組の母娘がバドミントンをしていた。

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