隣にあるY中学校。6時間目は、3年生の選択Vの時間だ。2年までは、「総合的な学習の時間」を年100時間と多めにしていたので、3年生は選択を最大(年165時間)にして「総合的な学習の時間」は最少(年70時間)に抑えた。高校入試のことを考えれば、そろそろ教科中心にならざるをえない、というのが、スズキ校長ら先生たちの考えだった。
学習指導要領が告示されたころ、文部省は学力検査も調査書も使わない高校入試ができるように制度を変えたが、Y中学校から行ける公立の普通科高校でそんな入試制度を導入したところはなかった。学力検査と調査書を同程度の比率で評価する相変わらずの入試が続いている。
3年生の2学期は週当たり5時間の選択のうち、英語と数学は
各1時間を全員が選ばないといけないので、生徒にとっては必修とかわらない。残りの3時間が時間割り上でも選択T(月曜日)、選択U(水曜日)、選択V(金曜日)と記され、複数の講座の中から生徒ひとりひとりが選べる時間だ。
教育課程上は、選択の時間が大幅に増えたが、生徒から見た選択の幅の広がりはちょっとだ。
「英語討論」は、コミュニケーション能力の強化を目指した講座。英語で討論(ディベート)をする。この日のテーマは、「政治家のウソに対する国民感情の日米比較」。近所に住む米国人の主婦に来てもらい、20世紀末の米国大統領が裁判の中でついたウソで社会がどう動いたかを紹介してもらい、日米の政治風土の違いを議論した。
かなり高度な講座なので、選んだのは3クラスで100人いる
3年生のうち10人しかいない。英語が好きでふだんの授業を物足りないと感じている生徒たちなので、ここぞとばかりに活発なやりとりが続いた。
一方の「英語ベーシック」は、1年生で習った内容にまで立ち返って勉強するグループ。
スズキ校長は「教える内容が減っても、3年生ともなると、生徒によって理解度に大きな違いがある。授業が分からないのに、机に座らされている状態をなくしたい」と考えている。英語と数学は必修の時間も習熟度別に編成したグループ学習にしたいのだが、親の反発が怖くて言い出せない。
せめて、選択の時間で、理解の遅い生徒向けの時間を設けようと、小学校で習う分数の割り算、小数の割り算も勉強できる「数学・計算」を作った。こちらも、少人数だ。
「スポーツ」「絵画」「手芸」「舞踊」の講座は、地域の人たちにも開放した。学校側が一方的に協力してもらうのではなく、地域の人たちが余暇を楽しむきっかけにしてもらえれば、との考えからだ。
この日の「スポーツ」は体育館でバドミントン、運動場でサッカーとソフトバレーボール。クラブ活動が廃止されたので、「スポーツ」の人気は高い。3組の母娘がバドミントンをしていた。
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