◇ののちゃん 先生! しゃっくりが止まらないよ。たすけてぇ〜。ヒック!
◆藤原先生 あらあら。大丈夫よ。落ち着いて。
◇ののちゃん しゃっくりは、ヒック! なんで起きるの?
◆先生 しゃっくりの正体は、突然に起きる深い呼吸なの。胸とおなかの間には「横隔膜」っていう筋肉があるんだけど、この筋肉が不規則に震えてしまうのが原因よ。
◇ののちゃん ふーん。なんだか難しそうだね。
◆先生 息を吸ったり吐いたりすると、胸がふくらんだり縮んだりするわね。ふだんは、これに合わせて横隔膜も上下しているの。ところが、横隔膜が震えてしまうと、このリズムが狂って、一気に空気を吸い込んでしまうのよ。
◇ののちゃん ヒック……。なんでこんな声が出ちゃうの?
◆先生 のどの奥には、声を出すときに働く「声門」という空気の通り道があるの。しゃっくりが起きるときは、声門のまわりの筋肉がふだんとは違った動きをして、狭くなっちゃうの。狭い道を空気が無理やり通ろうとすると、独特の「ヒック」っていう音が出るのよ。
◇ののちゃん 横隔膜は、なんで震えるのかな。
◆先生 横隔膜や声門のまわりの筋肉は、脳と脊髄の間にある「延髄」という場所と神経でつながっているの。そこでの情報のやりとりが何かの刺激がきっかけでうまくいかなくなると、しゃっくりが始まるの。ストレスや体の冷えがきっかけになりやすいけど、原因がはっきりしない場合も多いのよ。
◇ののちゃん しゃっくりを止めるには、どうしたらいいの。
◆先生 こうすれば絶対に止まるという方法はないけれど、おすすめは、冷たい水を飲むことね。体に刺激が加わると、それがきっかけで止まることが多いの。だれかに大声を出してもらって、その刺激で止めようとする人も多いけど、本人が気づいてしまうとあまり効果がなくなるわ。
◇ののちゃん しゃっくりが止まらないと、死んじゃうの?
◆先生 心配しないで。普通のしゃっくりは数分、長くても数時間でおさまるわ。ただ、肺炎やぜんそく、脳の病気のせいで起きることもあるから、半日以上も続いて食欲が落ちたり眠れなかったりするときは、お医者さんにみてもらった方がいいわね。ところで、ののちゃんはどう?
◇ののちゃん ありゃ? いつのまにか、止まってた!
(取材協力=京都府立医科大助教授・三谷和男さん、構成=山本智之)
(朝日新聞東京本社発行 1月29日付夕刊)
◇調べてみよう
(1)しゃっくりの止め方には、色々な説があるよ。あなたの住む地域では、どんな言い伝えがあるかな。まわりの人に聞いてみよう。
(2)声が出るしくみは、どうなっているかな。本やインターネットを利用して調べてみよう。